「オトナプリキュア」は、、、？

　シリーズの中でまた新しいストーリーが描かれていきそうですね。「オトナ」になる事で、変わる所や変わらない所がいろいろあるのでしょう。でも彼女達の、あきらめずに希望をつかみ取ろうとする姿や、単なる友情ではないつながりの強さが見られると素敵かもです。

　テレビアニメや劇場版映画が制作されている「プリキュア」シリーズは、様々な女の子達が妖精や魔法の力を借りて変身し、闇の組織との戦いを繰り広げる中で絆を育む物語です。主人公の女の子達は中２ぐらいの年齢がメインになっていますね。
　その主人公達が大人になってからのストーリーが描かれるのが「オトナプリキュア」となるようです。今発表されている所だと、「キボウノチカラ～オトナプリキュア'23～」と「魔法つかいプリキュア！ ２（仮）」がそうみたいです。ここではそれぞれについて考えてみたいと思います。

(1) キボウノチカラ～オトナプリキュア'23～
　本作では、「Yes! プリキュア５」、「Yes! プリキュア５ GoGo!」ののぞみ達と、「ふたりはプリキュア Splash Star」の咲達が登場するようです。ストーリーは、、、夢原のぞみは、サンクルミエール学園の生徒だった頃、希望のプリキュア、キュアドリームに変身し、仲間のりんやうらら、こまち、かれんとともに「プリキュア５」を結成して、闇の組織ナイトメアやエターナルの野望を阻止してきました。そののぞみも大人になり、幼なじみのりんとともに社会人になっています。同じようにダークフォールと戦っていたキュアブルームの咲とキュアイーグレットの舞も成長していました。
　最初に本作の発表を聞いた時は、タイトルに「キボウ」と書かれていたのもあって、「～５」ののぞみ達５人だけが登場するのかと思っていたのですけれど、「～Splash Star」の咲と舞も出てくるのですね。２組はテレビアニメ本放送では知り合っていなかったと思いますけれど、劇場版映画の「プリキュアオールスターズ」のシリーズでは出会っていますから、そちらのストーリーからの続き、みたいな感じ？

　「～５」では、結果として人間界とパルミエ王国がつながって自由に行き来できるようになった、という描かれ方になっているようです。本作ではその世界観は受け継がれるのでしょうか、、、？　さすがにそれはないかな。「～Splash Star」の方では、ダークフォールの配下だった満と薫が、夕凪中学で咲や舞達と触れあう内に正しさに目覚めて、という展開があります。こちらも、満と薫が登場するのかとか気になります。

　プリキュア達が大人になるとどうなるのか、もポイントになりそうですね。変身する力がいつの間にか失われている、という設定もありそうですけれど、、、。大人になると仕事や人間関係が大変で、みたいなストーリーもあるのかもですけど、子供達に夢や希望を振りまいてきた彼女達ですから、もっと前向きに夢に向かって突き進むすがすがしいエピソードを描いていってもらいたいかもです。
　公式サイトにあるストーリー紹介の感じでは、新たに「シャドウ」という組織が現れるらしく、のぞみや咲達がプリキュアとなって戦う姿が見られるのかもです。以前別の記事に書いたように、成長した大人ならではのダイナミックな戦いぶりを見せつけてもらいたい所ですね。

　さて百合的には、、、どうなるでしょうか。りんは、プリキュアになって闇の組織と戦うなんて危険な事をしようとするのぞみの強い決意を止められないと思い知らされ、それなら自分もプリキュアになりのぞみを支えると決心しています。うららは、女優になって舞台に立つためには同世代の人達とのつきあいをしている暇もないと思い込み、学園内で自分から孤立していきますが、手を差し伸べてくれたのぞみのおかげで、その灰色の世界から抜け出す事ができました（その後も、学年ではのぞみが先輩であるものの、精神年齢が近いのか、一緒になってふざけ合ったりする姿が多く描かれています）。こまちとかれんは、同じ生徒会の役員だからという理由からだけではなく、一緒に過ごす事が多いようです。くるみは、元は妖精でしたが、その頃にかれんにいろいろお世話してもらっていて、人間の姿になってからも、かれんにはなついているみたいです。
　、、、という関係性が描かれていくと良いのですけれどどうなるでしょうか。あれから６人がずっと一緒にいたわけではなさそうですけれど、だからといって昔の事をまるでなかったかのように振る舞われたりすると少し寂しいですし、彼女達の間にある絆と親密な関係を取り戻してもらいたいものです。

（それとは別に少し気になっているのは、ココとナッツ、シロップの存在だったりします。本編では、妖精としてのぞみの部屋で暮らしていたココは、その後学園の教師、小々田コージとなっています。ナッツは夏に、シロップは甘井シローにと、それぞれ男性の姿になってのぞみ達をサポートしています。それからだんだんと、のぞみとココ、こまちとナッツ、うららとシロップがやや親密な雰囲気に、、、。一応「～GoGo!」の締めくくりでは、のぞみとココ達の関係はリセットされたような印象で描かれています（さすがに、同じ部屋で女の子と一緒に寝起きしていた妖精が男になってその２人が、、、という展開は、ちょっと続かせるのが難しいような）けれど、どうなるでしょうか。紹介されている予告ムービーでは、のぞみ達５人がくるみに出くわす場面で、６人がいた飲食店に店員らしい男性が２人いました。、、、ココとナッツ？　どうなのでしょうね。）

　百合的な期待といえば、咲と舞にはとても期待したい所です。彼女達は、夕凪中学での出会いからとても仲良しで、お互いを信頼してサポートし、穏やかに触れあっています。（「ふたりはプリキュア」のなぎさとほのかは、最初はややよそよそしかったのが第８話で一気に親密になっていたのに対して、咲と舞は最初から仲が良い感じです。）
　実は２人は、中学で会う５年前、「大空の木」の下で一度だけ会っているのですよね（しかもその時その場には精霊のフラッピとチョッピもいました）。彼女達の関係は強い結びつきを持っていると言えるのではないでしょうか。
　その２人は、劇場版映画「ふたりはプリキュアSplashStar チクタク危機一髪！」では珍しく喧嘩をしてしまいます。気持ちがうまく重ならず、変身さえうまくいかないほどに、、、。ピンチの中、離ればなれになった彼女達は、お互いに相手への気持ちに気づき始めます。お互いを理解した後の変身シーンは感動的に描かれています（なぜプリキュアが「ふたり」なのか、についても、彼女達が見つけた答えが示されています）。いくつもの苦難を乗り越えてきた彼女達なら、大人になってもお互いを思い合える素敵な関係を築けているのではないでしょうか。

　「オトナ」のどういう所に注目しているのかによって、ストーリーの語られ方は変わってくる気がします。大人になっても夢を忘れず、苦しくてもきちんと向き合っていく姿が描かれていくのだとしたら、かつて一緒に未来を切り開いていった仲間とのつながりが、暖かくしっとりと紡がれていくのを期待したくなります。

(2) 魔法つかいプリキュア！ ２（仮）
　こちらの作品については、詳しい内容はまだあまり発表されていないようです。タイトルの感じからすると、「魔法つかいプリキュア！」の正当な続編、とも言えそうです。どういう内容になるのでしょうね。

　第１作では、中２になる直前の春休み、みらいがリコに出会う所から物語が始まります。魔法界からナシマホウ界（人間界の事です）へある物を捜しにやって来たリコは、とんがり帽子をかぶりほうきに乗って空を飛ぶなどいかにも魔法使いな振る舞いを見せていて、みらいはすっかり彼女に夢中になってしまいます。春休みの間、みらいは魔法界にある魔法学校に留学して、不思議で楽しい経験をたくさんします。が、やがてみらいがナシマホウ界へ帰る日に。その時リコはどうするのでしょう、、、という第９話があって、みらいとリコはどちらも、自分にとって相手が一番大切な存在なんだと気づけたのではないでしょうか。それからの２人は、同じ家に住み、一緒に学校に通い、またプリキュアに変身してドクロクシーやデウスマストの一味の野望を退けようとします。
　彼女達がお世話をしてきた妖精のはーちゃん（＝ことは）もプリキュアとなり、３人は世界のピンチを救うための戦いを繰り広げていきます。デウスマストを倒し、世界を巻き込む混沌を防いだものの、その影響で魔法界とナシマホウ界はもう行き来できなくなるほど遠くへ引き離されてしまいます。ことはも、マザーラパーパの意志を受け継いで世界を見守るために高次元の存在へと転移し、３人はばらばらに、、、。
　元に戻った人間界で、プリキュアに変身する力も失ったみらいは、普通の女の子として時を過ごしていきます、まるで何かを求めてひた走るように。成長した彼女（雰囲気からすると女子大生ぐらいでしょうか）は、中学の頃の友達とのつきあいも続き、いつもにぎやかな生活を送っています。が、一つだけ、誰にも言えない思いを胸に抱いているようです。それは、、、魔法界の皆にまた会いたい、ことはに、そして何よりリコに会いたい、という気持ちでした（彼女が口にする言葉の中では、特にリコが強調されているように感じます）。果たして彼女の願いは届くのでしょうか、、、。

　という感じの第１作は、いろいろ特徴があるよう思います。２人で同時にプリキュアに変身する、というのは、第１シリーズ「ふたりはプリキュア」と「～Max Heart」のなぎさとほのか、「～Splash Star」の咲と舞以来で、シリーズ全体としても珍しいのではないでしょうか。また、変身すると見た目が少し年上の印象になる、というのも他にはあまりない気がします。（「ドキドキ！ プリキュア」のキュアエースこと亜久里や、「スイートプリキュア♪」のキュアミューズことアコが「黒プリキュア」になっていた時なども成長していましたけれど、あちらは小学生が大人になったみたいな感じですね。）それと、みらい達が成長した跡のストーリーが多く語られている（第４９話の半分ぐらいと、第５０話全部がそうなっているようです）のも珍しいかもしれません。

　なので今度の第２作としては、第１作の直後から続く形になったとしても、「オトナプリキュア」というテーマに合っているのではないでしょうか。女子大生の彼女達が夢に向かってまっすぐ進んでいく姿と、プリキュアとしての華やかなバトルなどが見られると素敵かもです。

　後は、みらいとリコの親密さもたっぷり見てみたい所ですね。プリキュアに変身する時も一緒でしょうから、彼女達はいつもそばにいるのでは、という気がします。もしかしたらナシマホウ界でルームシェアしていたり？
　他の人（特に異性）にはあまり割り込んでほしくないかもですね、、、。「女なんだから男とくっつくのが当たり前でしょ」みたいなありきたりな展開を打ち破る流れになってもらいたいような。
　女性の地位向上のため、というと大げさかもしれませんけれど、彼女達が自分自身の力で夢をつかむ姿が輝かしく描かれると良いですね。その中でお互いに支え合い睦み合うエピソードが見られると素敵ですね。