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2022年1月12日 (水)

となりの吸血鬼さん レビュー(原作コミックを中心に)

 作品としてはコミカルでライトな雰囲気を楽しめますよね。その中で、灯やソフィー達の関係性が百合的にもけっこう深い気がしています。

 発行KADOKAWA、月刊コミックキューンに連載の、甘党さん作のコミック「となりの吸血鬼さん」は、最新の第8巻が12月に発行されています。作品の発行としては、この巻までとなっています、、、。

 個人的には第8巻はまだ全部読んでいないのですけれど、本作について少し書いてみたいと思います。、、、実はこの文章は、前の記事にも書きましたように、コミックの発行情報の欄に書き添えてみようと思っていたものです。が、文が長くなりすぎてしまったため、レビューとしてこの記事にまとめているというわけです。

 では、よろしければどうぞ。

 十字架や日光は苦手だけれど、食料にしている血液はネット通販で調達し、深夜アニメをリアルタイム視聴しながらネットのつぶやきやイラストを眺めている吸血鬼のソフィー。広い洋館に1人で暮らしながら特に不自由する事もなく永い時を過ごしてきましたが、ある日、彼女は1人の高校生の女の子、天野灯と出会います。元々人形好きだという灯は、ビスクドールのように美しく、永遠に少女の姿をとどめるソフィーに一目惚れ。彼女が吸血鬼である事を恐れもせず洋館に入り浸り、やがては一緒に暮らすようになってしまいます。

 ソフィーやエリーといった吸血鬼達と、灯やひなたなど人間達とは、生きる時間の尺度が全く違っています(昼寝してたらうっかり100年過ぎたとか)。生活の基本も昼と夜で別々になっているのですね。そのギャップが、コミカルなエピソードを生み出しています。

 、、、けれど、ソフィーやエリーが姿を変える事なく何百年でも存在し続けるのに対して、灯達は簡単に年をとり、命を失ってしまいます。ずっと一緒にいようね、と言ってもそれは叶わない夢、そういうはかない関係性が、彼女達の間にはあるのですよね。なので彼女達が一緒に笑い合って楽しい時を過ごしたり、仲むつまじく触れあったりしていても、ともに成長し大人になり一緒に年を重ねていく事が絶対にできない、と思うと、喜びの裏にある切なさを感じてしまいます。(灯がソフィーに血を吸ってもらって同じ吸血鬼になれば実現しそうではありますけれど、ソフィーはそれを望んではいないようです。)

 でも、その寂しい部分を強調するようなエピソードが面だった形では全く描かれない、というのが本作の特徴なのではという気がします。この関係をずっとは続けられない事を、本当はどちらも気づいているのに、決して口には出さず、2人で、皆で、楽しい経験をどんどんしていこうとする、彼女達それぞれの決意のようなものがあるのかもしれません(まあコミカルさがメインの作品なのでそこまでの所は実はないのかもですけれど)。そんな風に考えると、彼女達のふれあいが、より愛しさを増すように感じます。

 百合的には、、、灯の方はもう最初からソフィーが大好きで、隙あらば「結婚」したいとアピールしています。一方のソフィーはというと、灯の明るさや暖かさを心地よく感じているのは間違いないものの、それがラブかというとそこまではいっていないような。さすがに300年以上の人生経験を積んでいる(本人は年齢を気にしているようですが)と、吸血鬼と人間との恋愛には否定的になってしまうのでしょうか。この第8巻では、彼女達の恋愛関係が発展すると素敵かもですね。

 灯の幼なじみのひなたは、昔からかわいらしい灯が大好きだったようですが、恥ずかしさのためなのかなかなか自分の気持ちを告白できずにいます。そうしている間に灯がソフィーにぞっこんになってしまって、ひなた的にはピンチと言えそうです。とはいっても、ひなた自身は嫉妬したりソフィーに冷たく当たったりする事はありません。彼女にとっては、灯が笑顔でいられる事が一番のようです。けれどそれだけだと良くないような気もしますし、ひなたが灯を振り向かせられるようなチャンスもあってもらいたいかもです。

 エリーは、美女や美少女が大好物らしいです。それが吸血の対象としてだけなのか、それ以上の関係になってもいいと思っているのかは何とも言えなさそうです。とらえどころがないのが彼女の特徴? 彼女の場合、ソフィーの近所に引っ越してきてから、自分の屋敷や身の回りの世話をする人間のお手伝いさんを雇った事もあるらしいですから(昔の拷問用器具を見せたら怖がってすぐにやめてしまったみたいです)、そういう所から灯達とは別の人間とのつながりができている場合もあるでしょうか。

 朔夜と夕は、両思いな所が良いですね。といってもいつもいちゃついていて周りの目を気にしない、とかではなく、普段は普通に幼なじみ&クラスメイトのようなやりとりをしながら、時々不意に片方が相手の振る舞いにときめいちゃったりしています。朔夜が夕に、という場合もありますし、反対に夕が朔夜に、という時もあります。基本的には、オカルト大好きな朔夜が、近所の不思議な噂話を聞きつけては突撃していくのを、夕がにこやかに見守っていて、朔夜がピンチになったら夕がさりげなく華麗に手を差し伸べる、みたいな関係性のように思えます。これが彼女達にはしっくりきていて、何かを経験するたびにその絆が強まっていくのでは、という気がします。百合度としては彼女達が一番高かったりする、かも?

 本作はアニメ化もされています。第8巻と同じ12月にはBD-BOXがリリースされていますね。
 アニメ版では、ソフィーが「ある意味同族」と認めている(?)社会人女性の同人作家、美月や、吸血鬼志望の女の子、焔などは登場していません。なので個人的には第2期が制作されて彼女達の出番があっても良さそう、と思っていたのですけれど、少し難しそうでしょうか。

 その代わり、なのかどうか、BD-BOXにはボイスドラマが同梱されていて、美月や焔が活躍するエピソードが収録されているそうです。彼女達の雰囲気が声で確かめられるかもですね。

 他にも年末年始は作品のグッズを販売するポップアップストアも開催されていたりします。これからも何か企画が行われたりすると素敵なのではないでしょうか。

・「となりの吸血鬼さん」レビューリスト

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