ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第1話
、、、1人だけのステージ。初めてのステージ。不安や悩みもあるけれど、見守ってくれる「あなた」さえいてくれれば、力強く夢へ歩む事ができる。侑の胸にときめきを生み出したスクールアイドルのライブは、歩夢の胸の中ではどんな風に感じられたのでしょうね。
(それと個人的には、侑のキャラデザが彼女の立ち位置を表しているのかな? という所が気になっています。)
テレビアニメ「ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」を見てみました。第1話のサブタイトルは「はじまりのトキメキ」です。
(本放送が始まったのはかなり前ですけれど、登場するキャラ達の人間関係をあれこれ考えている間にタイミングがずれてしまいました、、、。でも再放送もありますし、少し書いてみようと思います。)
高2の女の子、高咲侑(たかさきゆう)は、お台場にある虹ヶ咲学園(通称「ニジガク」)に通っています。同じ学校の同級生で、家もお隣さんの幼なじみ、上原歩夢(うえはらあゆむ)とはとても仲良しで、いつも一緒。放課後に近所のお店を2人で回るのが日課のようになっています。
この日も、今はまっているコッペパンを2人で食べていると、近くの広場から歓声が聞こえてきました。激しいビートの音楽も響いていて、ライブか何かをやっているようです。興味がわいた2人は、音のする方へ行ってみる事にしました。
アニメ版の原作とも言えそうなスマートフォン用ゲーム「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」(略称「スクスタ」)では、プレイヤーは、歩夢や他の子達から「あなた」(または「君」や「先輩」とも)と呼ばれています。ゲーム内では「あなた」のビジュアルはなくて、はっきり性別は示されていませんが、話す言葉の様子や振る舞い方から、女性なのではという雰囲気がありました。その後、アニメ版の制作決定に合わせてビジュアルが紹介され、テレビアニメ版に登場する女の子として告知されました。
ゲーム版のストーリーの流れでは、彼女は歩夢と一緒に見た、音ノ木坂学院のμ'sや浦の星女学院のAqoursのステージに感動して、スクールアイドルを応援するようになっていきます。やがて、虹ヶ咲のスクールアイドル同好会にも大きく関わるようになるのですね。
それでアニメ版の方はというと、侑は同じ学校のスクールアイドル、優木せつ菜(ゆうきせつな)のステージを見ています。この感じだと、このシリーズにはμ'sの穂乃果達やAqoursの千歌達は出てこない? (ゲーム版で描かれているように)彼女達が学校の垣根を越えて仲良く触れあう姿も見てみたいのですけれど、どうなるでしょうか。
この第1話では、ゲーム版と比べて、侑と歩夢の普段の様子が、より丁寧に描かれている感じがします。幼なじみで家が隣同士、同じ高校に通う同学年、という仲ですが、そういう表面的な言葉だけでは表しきれないぐらい、彼女達の関係は深いようです。
朝目が覚めて一番にメッセージを送り合い、ベランダで顔を合わせて挨拶する。1日の始まりから、彼女達はお互いがすぐそばにいていつも寄り添えている事を確かめ合っています。虹ヶ咲に一緒に登校し、授業が終わればお台場のお店に寄り道。自分や相手に似合いそうなきれいな洋服やかわいらしい小物、文房具などを見て回ります。
趣味や好みがちょっとぐらい違っても、それは問題にはなりません。2人とも相手の気持ちを尊重していて、その上で自分の考えを相手とやりとりしています。こんなに安心してそばにいられるのは、彼女達がずっと昔からお互いを見てきて、(他の誰かではなく)お互いを選び続けてきた積み重ねがあるからなのでしょう。
これだけ長く、しかも朝から晩まで一緒にいる彼女達なら、どちらも相手の事はよくわかっているのではという気がします。2人の間では、何も言わなくても気持ちが伝わる、なんて事も多いんじゃないでしょうか。
でも視聴者の側としては、侑と歩夢それぞれが、相手をどういう風に捉えているのかが気になってきます。彼女達が2人でいる時(特に前半の場面とか)の振る舞いなどについ注目してしまいますね。
例えば、、、ショーウィンドウに飾ってあるかわいらしいピンクの洋服を見た侑は、歩夢に着てみてほしいと言います。けれど歩夢は、今の自分には似合わないと辞退しています。侑はさらに子供服を見つけて、小さい頃の歩夢のかわいらしい姿を思い出しています。それを見ていた歩夢は、自分より侑(ここでは「侑ぴょん」って言ってますね)の方が「かわいい」と言います。
歩夢のその言葉に対する侑の返事は、当たり前のような口調での「それはないぴょん」という言葉でした。彼女は、自分には歩夢のようなかわいげがない、と考えているのかもしれません。
その侑の返事を聞いた歩夢の反応も、ポイントかもです。彼女は何も答える事はせず、ちょっと笑っただけでした。
たぶん彼女達の間では、このやりとりはもう何度も何度も、数え切れないほど繰り返されてきたのでしょう。侑は、自分がかわいらしいなんてあり得ないと信じている、歩夢はそれをわかっていて、「かわいい」という言葉をいつも持ち出しているのではないでしょうか。
そうするのは、歩夢が侑の事を、とても愛らしい女の子だと、胸の底から思っているから、という気がします。侑の反応が良くないのは承知の上で、いつか自分の思いが相手の胸に響き、今以上に美しく可憐な女の子になってほしい、そしてできれば自分が「あなた」に対して抱いている愛情に気づいてほしい、歩夢はそう考えているのかも。
と、いうような彼女達の距離の近さを感じつつも、ちょっと微妙な場面もあるように思えてしまいます、、、。例えば最初の方のコッペパンを食べる所で、歩夢のパンが気になった侑に、歩夢は一口あげています。侑はお返しに、と自分のパンを差し出すのですが、歩夢は、相手が自分に食べさせようとするポーズを写真に撮っていますね。その後ちゃんと食べるのかと思ったら、、、食べない? 歩夢は侑が口をつけたパンを食べたくなかったのでしょうか?
(でもまあ、侑の口の横に付いたパンくずを取って食べたりしていますし、歩夢は別に侑との接触が嫌なわけじゃないですよね。)
他には、お店で小物を見ている時に、侑は気に入ったものが見つからなかったのか、「トキメキがない」と言っています。これが彼女の口癖なのかどうかはわかりませんけれど、せつ菜のライブを見た侑は感動したみたいで、これはもうスクールアイドルにときめきを感じちゃったのではと思われます。「こんなの初めて」と言っている所からすると、もしかしたら彼女は、今までの人生の中で、「これがトキメキだ」と思うものに出会えていなかったのかもしれません。
(ちょっと話題はそれますが、この辺りは、スクールアイドルに憧れた千歌に通じるものがあるのかも。「ラブライブ! サンシャイン!!」の第1期第2話で彼女は、きらびやかなスクールアイドル達に比べて自分の事を「普通星人」とか「普通怪獣チカチィ」と言っていますね。)
、、、でもそうなると、今まで侑は何にもときめかなかったという事で、つまり歩夢にもときめかなかった、のでしょうか? そうは思いたくないですね。いくらずっと一緒にいて隣にいるのが当たり前みたいになっていたとしても、侑には歩夢に一番の「トキメキ」を感じていてもらいたいように思います。(小さかった頃の歩夢を思い出して「かわいかったなぁ」と過去形で昔を懐かしむよりも、今目の前にいる歩夢を大切にしてもらいたいかもです。)
(公式サイトのトップに今あるアニメ版のビジュアルでは、手前にいる歩夢が侑の手を引いていて、さらに侑はせつ菜の手を引いています。さりげなく侑は両手に花? もしくはこの後のエピソードで、侑と歩夢とせつ菜(3人とも2年生です)の三角関係が描かれていったりするのでしょうか。)
後は、せつ菜のライブを見た時や、侑とスクールアイドルについて話し合っている時の歩夢の反応も、最初見た時は気がかりでした。歩夢の物腰は、侑とは明らかに温度差がありそうで、楽しくなさそうにも見えます。
これがどうしてなのかについて、エピソードを見ながらあれこれ考えてしまいました。実は侑が熱しやすく冷めやすい性格で、何か少しでもときめきを感じられるものを見つけるとすぐに飛びついてしまう癖があるのを知っていて、またか、と呆れていた、とか。でも、上にも書きましたように侑は自分が感じたときめきを「こんなの初めて」と言っていますから、侑がいつも何かに飛びつきまくっているわけではないのですよね。
だったらなぜ、という点については、最後の方で描かれていくようです。1話を全部見た後、もう一度見返してみると、歩夢の心情がうかがえるようで面白いかもしれません。
(それにしても、侑と歩夢がお互いに何でもわかり合っているなら、歩夢の様子がちょっと違う事に侑はすぐ気づいても良さそうに感じたりします。まあそこは、侑がスクールアイドルに魅了されてしまったため気づいてあげられなかったとかなのかもです。)
もう一つ気になっているのは、最初にも書きましたように侑の見た目や声の雰囲気ですね、、、。彼女のキャラデザは、黒目がやや小さく、開いた時の口が大きめで、制服を少しラフに着こなしています。髪も染めているようですし(といっても真っピンクの髪色の歩夢に比べれば全然おとなしい?)、キャラ紹介のページに描かれている彼女が見せる指ハートのポーズにはやや挑発的なイメージも持ってしまいます。また声の方は、少しハスキーで低め、しゃべり方もちょっと語調が強いのが特徴でしょうか。
この印象って、言ってみれば「ヒロインがたくさん登場するアニメで1人だけなぜか女の子達にもてまくる男性主人公」に近い気がしてしまうのですよね(気のせいでしょう(と思いたいです)けれど)。せっかく「あなた」を女性として描くのであれば、ありがちな男子主人公っぽさではない方向性を見てみたい気もします。
(歩夢のような、スクールアイドルっぽさみたいなものを出さない事で、侑が作中でスクールアイドルにはならないと印象づけていたりする可能性もあるでしょうか。)
(その点では、主題歌の歌詞にも注意したくなります。「ラブライブ!」シリーズでもそうですし、一般的にアイドルが歌う曲の歌詞でも、主人公が「僕」になっている場合が割とあるように思います。
そのような歌詞では、男性の目線や男性っぽい(と言えるのかな?)心理状態が織り込まれている感じがします。もし本作でそういう歌詞が使われているとなると、さらに侑が男性の代理っぽく見えてきてしまうような、、、。
ではオープニング主題歌「虹色Passions!」(この第1話ではオープニングには使われていません)やエンディング主題歌「NEO SKY, NEO MAP!」はどうかというと、テレビ放送用のショートバージョンでは、歌詞に「僕」は出てきません(曲名にも含まれていませんね)。、、、これって、実はけっこう画期的な気がします。
第1シリーズ「ラブライブ!」では、第1期オープニング「僕らは今のなかで」、第2期オープニング「それは僕たちの奇跡」、第2シリーズ「~サンシャイン!!」では第1期オープニング「君のこころは輝いてるかい?」、第2期オープニング「未来の僕らは知ってるよ」、すべての曲の歌詞に「僕」が登場します。それに対して作品の内容的にはというと、男性はほとんど登場しません(キャストは全員女性です)し、「僕っ娘」もいないのですよね。
そういう流れが気になっていた後、第3シリーズになってついに(?)主題歌が「僕」から解放された、、、と思ったのですけれど、そうでもなさそうです。「虹色~」には出てこないものの、「NEO SKY~」をフルコーラスで聞いてみると、1コーラス目も2コーラス目も過ぎてラスサビ前、マーチ調に歌う所で1ヶ所だけ「僕」が出てきています。、、、これは避けられない定めなのでしょうか? せっかく侑達女の子が主人公ですし、女性である事を大切にする何かがあっても良いのではという気もします。)
これまでのシリーズとはちょっと別な点としては、学校の雰囲気がありますね。様々な履修科目があって全国どころか海外からも入学希望者が集まるという虹ヶ咲学園は、音ノ木坂や浦の星のような廃校の危機には陥ったりしなさそうです。(同好会だけで100以上もあるそうで、部室棟はまるで大きなビル(見た目は、イベントなどがとてもたくさん開催されるあの場所にそっくりですね)のよう。2年生になる侑と歩夢でさえ今まで行った事がなかったというのですから、大変なマンモス校なのでしょう。なお、校内では女生徒の姿しか見えないみたいで、ニジガクは女子校なのかもです。)お台場という立地だと、周りには遊ぶ所がたくさんあるでしょうから、楽しい学園生活が送れそうです。
そうはいっても侑や歩夢達に何も悩みがないわけではないのでしょう。スクールアイドルになる事、スクールアイドルであり続ける事が、彼女達に試練をもたらす場合もありそうです。
冒頭のせつ菜のライブの場面では、建物の一部が屋外ステージとして使われています(この建物もお台場で見た事があるような)。大規模なイベントではなかったのでしょうか、集まっている人達はそれほど多くありません。けれど、その場にいる皆はせつ菜に熱い声援を送っています。
これまでのシリーズと同じように本作でも、スクールアイドルは、皆が憧れる存在のようです。歩夢もそういうステージに立つ事ができるようになるのでしょうか。
さて百合については、、、。ここではやはり侑と歩夢の関係が重要ですね。彼女達の間にある雰囲気は、単なる幼なじみ以上のものを感じさせます。これからのストーリーでは、せつ菜以外にもたくさんのスクールアイドル達が登場し、様々な思いを交わしていく事になるのでしょう。その中でも、侑と歩夢のつながりがまばゆい輝きを放ち、他の女の子達もお互いを思い合う気持ちを大切に青立てていってもらえると素敵かもです。
ちなみにスクスタでは、歩夢のキャラ紹介のページには、「あなたのことが大好き」と書いてあります。また「スクスタでの上原歩夢ちゃんについてもっと知ろう!」という独立した記事の中でも、「「あなた」のことが大好きなあなたの幼馴染」と紹介されています。ここまで書かれていたら、スクスタだけでなくアニメ版でも、侑と歩夢が愛し合っちゃう流れがあっても良いですよね。
その期待に応える(?)ためでしょうか、最後の方の場面で歩夢から侑に大切な一言が。これはもう友達以上の関係の始まり、、、かと思ったらそこまでストレートな表現ではなかったみたいです。
期待が高まった所で肩すかしのような展開になると、かえって百合テイストが望めなくなってしまう気もしてしまいます。けど、何しろ第1話ですから、この後彼女達の愛情がどんどん深まっていくと良いなと思います。
(それに、歩夢的には、今まであまりにも近くにいたために改めて口にできなかった言葉を、スクールアイドルにかこつけて告白した、という風にも受け取れるかもです。彼女がスクールアイドルになるとしても、それは実は侑の気持ちを自分に向かせるためだった、とも考えられそうです。)
、、、1人だけのステージ、初めてのステージ。1人だけのアイドル、1人だけの観客。
ここからストーリーは大きく広がっていくのでしょう。けれど、様々なスクールアイドルが仲間になっても、どれだけファンが増えても、侑と歩夢、彼女達2人を結ぶ愛は、決して変わる事はないのでしょう。
・「ラブライブ!」レビューリスト
| 固定リンク
「百合レビュー」カテゴリの記事
- 星屑テレパス 第2話(2023.11.17)
- 16bitセンセーション ANOTHER LAYER 第1話(2023.11.15)
- 星屑テレパス 第1話(2023.11.09)
- アサルトリリィ BOUQUET 第5話(2023.10.30)
- アサルトリリィ BOUQUET 第4話(2023.10.23)
「作品 ラブライブ!」カテゴリの記事
- 2024年7月からとその後のアニメ作品など(2024.07.07)
- ごちうさ、プリプリ、ラブライブ!、アサルトリリィ、、、の、この時期らしい企画(2024.04.03)
- 2023年10月からとその後のアニメ作品リストなど(2023.10.06)
- ごちうさ、プリプリ、シンフォギア以外にも アニメやゲーム作品の、、、コラボも含めた企画いろいろ(2023.04.19)
- ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第3話(2022.11.06)
コメント