« 「プロジェクト セカイ カラフルステージ!」 応援コミックの公開が始まっています&「重大機能」の発表予定があります | トップページ | アイカツ! 投票企画が行われる予定です他 »

2020年8月15日 (土)

GRANBLUE FANTASY The Animation Season 2 第5話

 カタリナとヴィーラが、お互いに会いたくても会えなかった時間は、とても長かった事でしょう。その間、彼女達はそれぞれに、苦しんだり悲しんだりしていたようです。でもこの時間は同時に、確かに2人を成長させたのではないかという気がします。(前回第4話の記事のようにまた長くなってしまいました、、、。)

 テレビアニメ「GRANBLUE FANTASY The Animation Season 2」、第5話「カタリナとヴィーラ」です。

 カタリナ達のいる祭殿は、フュリアスの乗る帝国軍旗艦からの攻撃で破壊されてしまいます。瓦礫の中から立ち上がったのは、ヴィーラ。星晶獣シュヴァリエの力を失っていなかった彼女は、帝国軍の船を次々に破壊していきます。圧倒的な力で相手をなぎ払った彼女が次に狙いを定めたのは、グラン達でした。

 帝国からの攻撃の後、破壊に巻き込まれたヴィーラは、何とか起き上がります。そこで目にしたのは、カタリナの姿。カタリナは、倒れていたルリアを抱き起こそうとしていました。
 その瞬間、ヴィーラは絶望しきったように目の光を失っています。そこからは、帝国だろうがグラン達だろうが、彼女は見境なく攻撃しています。

 この時の彼女はもう、気が触れてしまって、正気を失っていたのでしょうか。、、、いえ、そうではないですよね。帝国軍に破壊され崩れ落ちた壁が島の人達を押しつぶそうとするのを、彼女はシュヴァリエの力で止めています。彼女はこんな時であっても、島の領主としての自分を見失わずにいる事ができているようです。

 こんな風に自分を保てるのは、彼女がずば抜けた才能の持ち主だから、なのでしょう。普通の人間ならパニックに陥って何も考えられなくなりそうな状況でも、彼女の中にある冷静な何かが、彼女が一線を越えるのを止めていると思われます。
 でもそれは、裏を返せば、取り乱したのを言い訳にわがままな振る舞いをする事ができない、という意味でもある気がします。どんな状態にあっても、誰に何をされても、自分のする事はすべて自分に責任がある。これはこれで、かなり苦しい生き方なのではないでしょうか。

 そうして彼女は自分自身の選択として、ルリアやグラン達を追い詰めます。カタリナがあれだけ安らかな笑顔を向け、危ない目に遭えば誰よりも真っ先に手を差し伸べようとする相手が、悪人なんかじゃない事ぐらいは、ヴィーラもわかっているでしょう。でも、このままでは永遠に、カタリナは反逆者の汚名を着せられ続ける。せっかくこの島を出て、立派な騎士になるために広い空へと旅立ったお姉様の夢を踏み荒らされるのは嫌。それが、彼女の行動力の源なのかも、という気がします。

 カタリナが士官学校を卒業してから6年もの間、彼女と一目たりとも会う事ができなかったヴィーラにとっては、カタリナが語っていた夢だけが、自分に生きる意味を与えてくれるものだったようです。本当はずっと寄り添っていたかった。でもシュバリエとの約定により島を出る事が一生できない自分には無理な事。せめてお姉様が夢を叶えられるようにと祈るぐらいが、彼女にできる事だったのかもしれません。

 たまにでもいいから、お姉様がアルビオンに立ち寄ってくださったら、あの頃と変わらない笑顔でお迎えしよう。お姉様がおいしいと言ってくれたサンドイッチを、さらにおいしく作って、たくさん振る舞ってあげよう。カタリナが喜ぶ姿を思えば、領主の仕事のかたわらに料理の勉強をする事なんて、ヴィーラには何の苦でもなかったのでしょう。

 ところが、、、何ヶ月待っても、何年待っても、カタリナは、島に来るどころか手紙一つよこす事はありませんでした。最初はヴィーラも、盛んに領土を開拓している帝国の仕事が忙しくて、新任のカタリナが休みを取るのは難しいのだろう、なんて考えようとしていたのかもしれません。でも待つ事しかできない彼女には、相手の事情を知るすべはありませんでした。やがて彼女は、こう思うようになっていったのではないでしょうか。自分は見捨てられたのではないか、それどころか存在そのものがなかったかのように忘れられたのではないか、と。

 カタリナが何をしているのかも、どんな事を考えているのかもわからなくなっている時に、「カタリナが帝国軍の秘密兵器を奪って逃亡した」という知らせが、ヴィーラの耳に入ったのでしょう。手紙のやりとりでもあれば事情を察する事はできたかもしれませんけれど、それさえなかったヴィーラにとっては、信じられない突然の出来事だったと言えそうです。

 ではなぜ、カタリナは、ヴィーラと連絡を取らなかったのでしょうか。それほど親しい相手ではなかった? そんな事はありませんよね。士官学校では常に成績トップの2人、というだけではなく、何かと一緒にいて、いろいろな事を語り合った仲です。2人とも、相手といれば自然と笑顔になる、できるならいつまでもこうしていたいと思える、そんな関係だったのではないでしょうか。それにたぶん、カタリナの部屋が元は汚かったとか、彼女がかわいらしいものが大好きだという秘密を知っているのは、学内でもヴィーラだけだけだったのでは。

 それほどだったのなら、カタリナは、どんなに忙しくても少しぐらいは時間を作って、会いに行く事だってしても良さそうです。それができなかったのは、、、カタリナがヴィーラに対して後ろめたさを抱いていたから、なのかなという気がします。

 シュヴァリエと契約し領主として島に残る者を決める試合で、カタリナは、一切の手加減をせずにヴィーラに挑みました。その上で彼女に負けたのなら、正々堂々と島を離れる事ができたでしょう。
 でもそこに、ヴィーラの犠牲があったとしたら、、、。実際の所、ヴィーラの剣の腕前は一流でしたが、それでもカタリナと比べれば雲泥の差だったようです。それが互角以上の戦いを見せられるようになったのには理由があるはず。

 カタリナはその意味を、試合が終わった直後に知る事になるのですね。ヴィーラも本当は、自分の胸の内を伝えるつもりなんて全くなくて、カタリナにはなむけの言葉を言おうとしただけだったのでしょう。でも、ずっと一緒にいた2人だからこそ、カタリナはヴィーラのわずかな表情と声の中に、真実を見つけ出したのではないでしょうか。

 それからの6年間、カタリナはずっと、この時の事に悩み続けてきたのでしょう。島を離れた後も、すぐにでもヴィーラに会いに行って、試合の結果をなかった事にしたい、何ならシュバリエ委譲の儀式を行って自分が島に残ったっていい、とも思ったかもしれません。でもそれはついに実現しませんでした。

 その理由は、カタリナにとって、ヴィーラに嫌われるのがとても怖かったから、なのかなと思えます。あんなに偉そうに騎士がどうのと言っていた自分が、後輩を犠牲にして島を出て、あちこちの空を巡りながらのうのうと生きている、そんな姿を見られたら、今度こそヴィーラに幻滅されてしまう、そう感じていたのでは。

 学生だった頃、2人はベンチに座り、カタリナは空を見上げ、ヴィーラに向かって夢を語っていました。立派な騎士になり、苦しんでいるか弱い人達を救いたい、、、。
 素敵な夢ではあるのでしょう。けれどそれは同時に、言ってみれば世間知らずの青二才が思い描く、かなう当てのない夢でしかありません。空のあちこちでは様々な主張がぶつかり合い、帝国でさえ自分達の版図を広げるために、ルリアのような犠牲を出し続けている。この中で、本当に苦しんでいる人を助け出し、世界を正しい方向に導いていくのは、生半可な気持ちで成し遂げられる事ではありません。

 それでもあの時の2人は確かに、その夢が叶うと信じていました。彼女達の純粋な思いには何の偽りもありませんでした。

 離ればなれになっている間、彼女達はそれぞれに、現実に直面していきます。空へと乗り出したカタリナは、様々な島に住む人々の暮らし向きや考え方を学び、また人々に対する帝国の対応を知ります。ヴィーラは、領主としてたくさんの士官候補生を受け入れ、学生達の仕官先となる様々な島の指導者達と交流していきます。

 この積み重ねが、少しずつ彼女達を成長させていったのではないかという気がします。世界は、自分達が思うよりずっと複雑で、正しいとして行われていた行為が、実は他の人を傷つけたりもする。真実を見つけ出し、間違いを正していけるようにするためには、もっと世界を知り、自分を高めていかなければならない。
 カタリナもヴィーラも、お互いに対する感情はずっと同じだったのかもしれません。が、自分達の感情にどう向き合えば良いのか、ヒントのようなものは、実は既に手に入れていたのかも。

(ところで、本作のエンディング曲、「」って、歌詞とかを見ていると、何となくカタリナとヴィーラの事を歌っているような気がしてしまいます。2コーラス目とかも、ちょっとシチュエーションは別ですが、2人を思わせるような。実はこの曲は、彼女達のテーマ曲なのかなとも感じられます。)

 今度の事件を通じて、彼女達の関係は、学生だった頃よりも一段ステップアップできたように思えます。何よりも、直接会ってお互いに言いたい事を言い合えたのが良かったのでしょうね。
 これから先、彼女達は、それぞれの道を踏み誤る事なく進んでいけるのでしょう。また、相手に何かあればすぐに駆けつけて救いの手を差し伸べられる、そんな関係にもなれたのでは。今はまだ少し時間が必要かもしれませんけれど、やがては彼女達も、以前のように、あるいはそれ以上に、親密に寄り添えるようになるのではないでしょうか。

・「GRANBLUE FANTASY」レビューリスト

|

« 「プロジェクト セカイ カラフルステージ!」 応援コミックの公開が始まっています&「重大機能」の発表予定があります | トップページ | アイカツ! 投票企画が行われる予定です他 »

百合レビュー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「プロジェクト セカイ カラフルステージ!」 応援コミックの公開が始まっています&「重大機能」の発表予定があります | トップページ | アイカツ! 投票企画が行われる予定です他 »