舞台「アサルトリリィ League of Gardens」(キャストコメンタリー配信第2弾)
可憐に舞い、クールに撃ち抜く、戦う少女=リリィ達の姿は舞台の上でも輝いているようです。彼女達のお互いを思い合う気持ちが、何者にも負けない強さを生み出していくのでしょう。
プロジェクト「アサルトリリィ」の舞台版第1作、「アサルトリリィ League of Gardens」を見てみました。舞台自体は1月に行われたものですが、見たのは、「キャストコメンタリー配信第2弾」として8/8にネット配信されたものです。(この映像のアーカイブ配信はないそうです。)
キャストコメンタリー配信というのは、キャストの方達が舞台の映像とは別カットで登場され、配信している映像に合わせてコメントする、というものです。この第2弾配信では、一柳梨璃(ひとつやなぎりり)役の赤尾ひかるさん、石川葵(いしかわあおい)役の広沢麻衣さん、船田初(ふなだうい)役の西葉瑞希さんが参加されています。
物語は、「ヒュージ」と呼ばれる謎の生命体の出現により、人類が滅亡の危機にさらされている世界が舞台です。2年前の大規模な戦いの時、まだ一般人だった梨璃は戦闘に巻き込まれ、ヒュージに襲われそうになります。
そのピンチを救ったのが、白井夢結(しらいゆゆ、夏吉ゆうこさんが担当されています)。彼女は、ヒュージに対抗できる唯一の兵器、CHARM(チャーム、Counter Huge Armsの略です)を扱う事のできる選ばれた女性、リリィでした。
夢結に助けられた梨璃は、彼女のりりしさと美しさに憧れ、自分もリリィになる事を志します。そして現在、梨璃は、リリィを養成する特殊機関である「ガーデン」の一つ、百合ヶ丘女学院へと入学します。
ステージは階段状になっているタイプのものだけで大きな舞台転換などはありませんが、照明や音響、それに何よりひかるさん達の動きによって、そこは百合ヶ丘女学院にも、戦場にも、回想の世界にもなっています。また、白いボードが左右に動く事で、場面を切り換えたり、そこに文字を映し出したりするなどの変化が取り入れられています。
ボードに文字を映し出すのは、物語を説明するのにとても役立っているようです。19人のキャラ達の名前を紹介するだけではなく、独特の用語が出てくる時は、その内容も文字として見られるようになっています。
それに、リリィの世界に詳しいキャラ達がきっちり説明してくれるのもありがたいですね。百合ヶ丘の二川二水(ふたがわふみ、西本りみさんが担当されています)や、私立ルドビコ女学院の松永・ブリジッタ・佳世(まつながぶりじったかよ、緒方ありささんが担当されています。ちなみに私立ルドビコ女学院という演劇の団体が実在しています)などが、興奮と感動をもって(?)キャラ達を説明してくれています。
キャラ達の服装も、髪型まで含めて再現率が高いですね。この舞台では、他の学校の生徒も含めて皆制服を着ています。制服であるためかそこまで派手なデザインではありませんけれど、きりっとした中にも純真さが感じられる気がします。
特に百合ヶ丘の制服は、シックなパフスリーブのボレロタイプの上着に、一本線の入った純白のカラーが映えていますね。キャラデザインのイラストでもスカートは割とふわっと膨らんだデザインですが、舞台衣装版はさらにふんわりとしている感じで、アクションのたびに揺れる裾が、かわいらしさと躍動感を印象づけています。
アクションもなかなかのものですね。バトルの場面では、リリィ達は、もてあましそうなほど大きなCHARMを軽々と操り、ヒュージと渡り合っています。舞台ではヒュージは実態としては登場せず、光や影で表現されるだけですが、リリィ達が様々なタイプのヒュージを相手にしていくのが感じられます。
このバトルでは、リリィ達の動きに合わせて光がほとばしり出たり、剣戟の金属音が鳴り響いたりする事で臨場感がアップしています。動きと光と音をこれだけシンクロさせるのはかなり難易度が高そうです。それができているから、没入感が高まるのかも。
また、アクションが続いても息を切らさずに言葉を続けられるひかるさん達も、かなり練習されたんでしょうね。皆さんは最初と最後に歌を披露されていましたけれど、ここでも動きが多く、それでもきちんと歌いきるのが素敵かもです。(ストーリーの途中で突然歌が入るタイプの演出ではなかったので安心(?)しました、、、。)
それと、やはり皆さん声優なので、演劇的というよりもアニメやゲーム的な声の雰囲気になっていて、他のメディアミックスとの世界観のつながりを感じられます。ひかるさんやゆうこさんをはじめ皆さん、発声が安定していて聞きやすく感じられます。
さてストーリーとしては、梨璃が夢結と出会い、百合ヶ丘に入学して、たくさんの仲間達に巡り会い、気持ちを通じ合わせていく流れが描かれています。他の学校(ガーデン)のリリィ達の登場や、ヒュージとのバトルなど、世界観の要素はかなり盛り込まれている感じです。
アニメ版「アサルトリリィ BOUQUET」やゲーム版「アサルトリリィ Last Bullet」では、このストーリーと同じ流れになるのでしょうか。そちらの展開も気になります。
百合的には、、、かなりある感じですね。楓・J・ヌーベル(かえでじょあんぬーべる、井澤美香子さんが担当されています)は、たぶん自他共に認める女の子好きのようです。が、梨璃と出会ってからは彼女一筋のようにも見えます。
といっても、梨璃が夢結に憧れているのは知っていますし、梨璃が夢結にもっと近づけるように手助けをしたりもしています。楓としては、梨璃が笑顔になれる事が自分の喜びなのかもしれません。
、、、みたいな行動もしつつ、ちゃっかり役得も狙ったりしている様子です。梨璃に必要以上にひっつくだけではなく、さりげなく(ではないかな)ボディタッチまで。彼女は自分の欲望に忠実なのかも?
他には、その楓に、一方的に「ライバル宣言」をして絡んでくるミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス(みりあむひるでがるどふぉんぐろぴうす、高橋花林さんが担当されています)はどういう思いを持っているのでしょう。楓には自分を見ていてほしいと考えている?
優秀な姉と妹にはさまれ自信を失っている王雨嘉(わんゆーじあ、遠野ひかるさんが担当されています)と、いつも彼女を励ましているルームメイトの郭神琳(くぉしぇんりん、星守紗凪さんが担当されています)の関係も気になります。今の彼女達の関係は一方的のようにも見えますが、実は2人とも自分には何かが足りないと感じていて、相手にそれを見つけているのかもしれません。同じ場所に立てるようになった時、彼女達は、胸を張って自分の気持ちを相手に伝えられるのではないでしょうか。
後は、御台場女学校のリリィ、船田初と船田純(ふなだきいと、石井陽菜さんが担当されています)の双子姉妹の絆も強そうです。純は、気にくわないものにははっきりとそう伝える性格のようでいつも憎まれ口を叩いているような具合で、初がそれをなだめているみたいにも見えます。けれど、見た目は違っても双子姉妹である彼女達の中には、通じ合う気持ち、離れられない絆があるのでしょう。
そして、梨璃と夢結、ですね。梨璃は、夢結に助けられた経験をきっかけにリリィになろうとしているのですが、彼女が目指しているものは、他のリリィ達とはちょっと別のように感じられます。
この苦しい戦いを終わらせたい、困っている人達を1人でも多く助けたい、それが、彼女達の共通の願いと言えそうです。梨璃も間違いなくその気持ちは持っているでしょう。
でも、梨璃が百合ヶ丘に入ったのは、夢結に会うため、なのですよね。「自分も夢結のような強いリリィになって、あの時夢結がしてくれたような事を、今度は自分が誰かにしてあげるんだ」、、、という風には、彼女は考えていない気がします。
百合ヶ丘に入ったのは夢結に会うため。リリィになったのは、夢結と特別な関係になるため。梨璃にとっては、世界がどうなってしまうかよりも、夢結と結ばれたい、その事が一番のように見えます。
この百合な気持ちを、アニメやゲームや次の舞台でたっぷりと描いていってもらいたい所です。世界をとるのか愛をとるのか、梨璃の選択が、感動を生むように思えます。
といった感じで、百合的には期待できそうな気がします。アニメ版やゲーム版も楽しみにしたいです。
個人的には、梨璃と夢結が普通にいちゃいちゃする所とか見てみたいですね。そういう辺りはこれから描かれていくでしょうか。
| 固定リンク
「百合レビュー」カテゴリの記事
- 月開発で百合(2023.04.21)
- アサルトリリィ BOUQUET 第2話(2022.11.07)
- 「艦これ」いつかあの海で 第1話(2022.11.07)
- ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第3話(2022.11.06)
- となりの吸血鬼さん レビュー(原作コミックを中心に)(2022.01.12)
コメント