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2020年1月28日 (火)

推し武道 第2話

 アイドルはファンに元気を与え、ファンもアイドルに勇気を与える、、、だからこそ一緒に、より良い姿を目指して進んでいけるのかもしれません。では、舞菜とえりはどうなのでしょう。彼女達の場合は、それ以上の関係になってくれるのでは、という気がします。

 テレビアニメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(略称「推し武道」)、第2話「いちばん好きでいたい」です。

 「STARDUST COFFEE」(略称「スタダ」)で、えりはくまさからあるチラシを見せられます。それは、今度開催される「岡山ガールズフェスタ」を告知するもの。岡山中のおしゃれ女子が集まるとも言われるこのイベントに、何とCham Jamがゲストとして招かれているのだそうです。思わずチラシに見入るえりでしたが、彼女は小さく書き添えられている「出演メンバー未定」の文字に気づいてしまいました。

 Cham Jamの基本フォーメーションは前列3人、後列4人ですが、運営は、前列の3人、れお、空音、眞妃を推しているらしいです。外部のイベントなどで参加できる人数が絞られる時は、彼女達が優先されるのでしょう。
(ちなみに本作のオープニング映像でも、前列組と後列組が別々に描かれているカットが多いですね。鏡を見ている舞菜(当然(?)彼女は後列です)の肩をぽんと叩いて呼びかけるのも、後列のゆめ莉、優佳、文です。作品の演出的にも差をつけている、、、?)

 今度もまた同じで、どうせ舞菜は出させてもらえない、というのが、これまでの経験からえりが悟った真実みたいです。先にはしゃいじゃって後で落ち込むよりも、最初から期待しないようにしている、みたいな感じでしょうか。
 じゃあえりはガールズフェスタには不参加、かというとそうではないのですね。こういう行動をとる所が、アイドルファンとしての彼女のディープさを表しているのかもです。

(ところで冒頭のスタダの場面では、後から来た基が家族構成について話しています。これは次回以降への伏線、になるのでしょうね。)

 ガールズフェスタは、雑誌やテレビで活躍するモデル達が、きらびやかな衣装を着こなしてランウェイを歩くファッション系のイベントのようです。客席には本当におしゃれ女子達ばかりが集まっていて、えりやくまさはいたたまれない気持ちになっています。
 アイドルファンならどんな外部イベントでも周りと一緒に楽しむぐらいの心意気で臨む、というのをえり達はポリシーにしているみたいです。が、(もしかしたら単なる被害妄想なのかもしれませんけれど)周りの冷たい視線や見下したような反応に直面して、ますます立ち直れなくなっているようです。

 じゃあ当のアイドル本人達はどうなのでしょう。Cham Jamは、テレビや雑誌に取り上げられる事はほとんどなく、岡山県内でさえ知名度は低いみたいです。彼女達のかわいらしさは認められたものの、有名モデルだけがお目当てのおしゃれ女子達からは冷たい視線を浴びせられています。

 客席にいるえりやくまさでさえ顔が上げられないほどなのに、ステージの上に立って、見られるためにパフォーマンスする事を求められているアイドル達はどんな気持ちになってしまうでしょうか。前にいたグループでいい所までいっていた経験があり、今はセンターでリーダーをつとめるれおでさえ、手が震え、笑顔が硬くなってしまっています。自分が受け入れられていない空気に、どうしたら良いのかわからなくなって不安になっているのではないでしょうか。

 れおのこの不安を救えるのは何なのか、、、という所が描かれていきます。立場は違っていても、友達のような仲じゃなくても、お互いに勇気を与え合える関係というのはなかなかない気がします。同じ現場を知っている者として、協力して共通の目標に向かい進んでいける事に、どちらの側も、特別な何かを感じているのでは。

 この事は、舞菜にも言えるようです。彼女の場合、自分が人気最下位で、いつも後列の隅っこにいて、握手会でも自分の列に並んでくれる人が(えり以外)ほとんどなく、ファンレターさえもらった事がない状態なのを十分すぎるほど見てきていますから、自分は(えり以外からは)誰にも見向きもされないんだという事は疑いようもないと信じ込んでいたのでしょう。(そこで卑屈になったりせず、一生懸命自分なりに良くなろうと努力するのが舞菜の良い所ですね。)
 その舞菜にも、見守ってくれる人はちゃんといます。舞菜にとってその人は、自分がここにいてもいいんだと教えてくれる、前向きな気持ちにしてくれる、だけでなく、仲良くしたい、たくさんお話ししたいと思える人なのですね。

 といった所で、前回第1話ではなかなか舞菜の気持ちが語られませんでしたけれど、ここでははっきりと示されていますね。舞菜の胸の中にある思いはピュアな恋愛感情だと思いますし、これからの話数ではその部分が素敵に描かれていくのではと期待したいです。

(ところでこの前半のエピソードの中、ステージの袖で涙を拭う舞菜を、れおが抱きしめて慰めていました。彼女がここまでするのは、同じグループのメンバーだから、というだけではないのかなと思えます。
 れおは、前にいたグループではいつも列の端にいたらしいです。境遇で言えば、今の舞菜にも似ているのかも。ステージの端に立って中央を眺める景色がどんなものなのか、れおは知っているからこそ、特に舞菜を元気づけたくなってしまうのかもしれません。
 これは見方によってはひいきにもなってしまいそうですから、他のメンバーの前やファンの人達がいる所ではあまりやらないのかもと思います。けれど胸の中ではいつも、れおは舞菜を応援しているのではないでしょうか。)

 後半のファンレターのエピソードでは、事務所の控え室で舞菜がれおに質問しています。その内容は、「ファンの人を好きになった事があるか」というもの。、、、舞菜が言うと、相手がえりだというのはばればれになっちゃいそうですけれど、れおはそこにはツッコんでいません。これは、れの優しさなのでしょうか、それとも質問が深すぎて答えるのでいっぱいいっぱいになってしまった、のでしょうか。

(ここでのれおの答え方が、アニメ版ではどうなるのかが気になっていました。原作コミック(今は期間限定で第1巻全体が無料配信されています。公式サイトのspecialのページなどからアクセスできるようになっています)では文字で書いてあるだけなので、アニメ版で声として聞いた場合に、否定的な印象が強くなりすぎてしまう可能性もあるのではと感じていました。
 けどそれは余計な心配だったようですね。れおの言い方からは、ファンの人達に真面目に向き合おうとする姿勢が感じられます(れおのCVを担当されている本渡楓さんの表現力ですね)。)

 こういう質問をする舞菜は、えりを恋愛対象として意識している、のですよね。女の子同士であっても、人が人を愛するのは素晴らしい事なのではと思います。
 、、、なのですが、彼女達の場合はその関係性が問題になりそうです。れおが優しく答えていたように、アイドルとファンの間のマナーとして、踏み込んではいけない部分があると暗示されている感じです。
 Cham Jamが恋愛禁止のグループなのかどうかはわかりません。けれど、アイドル(英語のidolには「偶像」という意味もあるようです)としては、応援してくれるすべての人に同じように愛情を示さなければならず、誰か1人だけの特別になるのは難しいと、ここでは言われている雰囲気があります。

 この事は、たとえ今はそれほどではなくても、いずれ舞菜にとって(えりにとっても)思い鎖になって行ってしまう気がします。舞菜を単推ししているのはえりだけだから問題はない、とも考えられるのかもですが、周りがどう見るかはまだ何とも言えなさそうです。

 舞菜がえりを思う気持ちは純粋なものに感じられますし、何ものにも邪魔される事なくまっすぐ育てていってもらいたいと思うのですが、そこはどうなるのでしょう。このアニメシリーズの中で、原作とは別の形であったとしても、愛に満ちた答えが描かれていくのを見たいものですね。

 その他のメンバーについても、ここでは百合な関係性が描かれています。文と優佳は、同じ学年なのか一緒に勉強したりする事も多いらしく、他のメンバーの目からは仲良しに見えるのでしょう。
 文は、別にそんなでもないと答えています。が、事務所で彼女がしていた事は、優佳への親密な感情の表れと言えそうです。
 文から優佳への思いの深さはどれぐらいなのでしょうか。また優佳は文に対してどういう感情を抱いているのでしょうか。その部分についてのエピソードも見てみたい所です。

 もう1組(?)、ゆめ莉と眞妃の関係は、、、。まあこれはもう間違えようがなさそうです。
 同じグループのメンバーがステージに立つのをこっそり見に行ってしまうゆめ莉。でも彼女の姿をすぐに見つけてしまう眞妃。彼女達の結びつきはとても強いようです。

 この2人については、メンバーの間でも、ファン達の間でも、噂になる事は全くといっていいほどないみたいです。周りは誰も気づいていないのか、それとも気づかないふりをしているのか、、、そこまではわかりません。
 けれど彼女達自身も、メンバーのいる場所やファンが見ている前でわざわざいちゃついたりはしていません。これは彼女達なりのマナーなのかもしれません。

 その分、本当に2人きりになった時は、かなり接近している感じです。この後の話数でも、彼女達のラブがたっぷり見られると良いかもです。

(アニメ版オリジナルの演出としては、駅のホームでいい感じになっている最中に、ゆめ莉の携帯にメッセージが入ってくる場面での眞妃の反応でしょうか。いちゃつきを邪魔されたら誰だってこうなっちゃいますよね。場面としては描かれていませんが、もしかしたらこの後、邪魔された分を取り返すぐらいの勢いでラブラブしちゃったりしているかもです。)

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