« 神田川JET GIRLS 第2話 | トップページ | アズールレーン レビューリスト »

2019年10月31日 (木)

アズールレーン 第3話

 テレビアニメ「アズールレーン」、第3話「【優雅】或いはヒトのように」です。

 夢の中で姉の空母ヨークタウンとの記憶をたどっていた軽巡エンタープライズが目を覚ますと、そばには「メイド」のベルファストがいました。エンタープライズが戦場である海で力尽きかけていた所を、彼女に助けてもらったのでした。それほどまでに傷ついているのに、エンタープライズは、身支度を調えるとすぐに哨戒のために海へ向かいます。

 自分の傷もかえりみずにすぐに戦おうとするエンタープライズは、自暴自棄というか破れかぶれになっている感じがします。そんな行動をとるのには、彼女の姉が関係しているらしいのですが、その部分はまだ語られていません。彼女にとってとてもナイーブな問題なのでは、と思われます。

 彼女と同じユニオンの艦船、例えば彼女の妹のホーネットとかは、その辺りの事情を知っているのでしょうか。周りが彼女の状況を心得て丁寧に扱うのも大事かもしれませんが、彼女自身が、自分の気持ちを変えて、皆に自分の心情を打ち明けたり、仲間として一緒に問題を解決していこうとするようになる事も必要な気もします。、、、けれど今のこじらせ具合からすると、もしそうなるとしてもそれはずっと先になりそうにも思えますね。

 ロイヤルの艦船達は、エンタープライズの高い戦闘能力に目をつけています。セイレーンや、その力を取り込もうとする鉄血、重桜のレッドアクシズに対抗して行くには戦力をそろえる必要があるからです。

 でも、戦力を確保するためにエンタープライズを大切にしようと考えているのだとしたら、ちょっと打算的すぎますよね。作戦会議上はそういう話し方になってしまうかもしれませんが、彼女達だって、自分達と同じように作られた存在であるエンタープライズに、仲間意識や優しさの感情を抱いているのは間違いないでしょう。
 場合によっては自分達だって、その暗い身の上を呪い、後先考えずに戦場に突っ込んでいこうとする気持ちがわき上がる事があるのではないでしょうか。同じ存在だからこそわかり合える部分というのもあるように思えます。

 戦うために作られた、というのも本当の事。でも休息が必要なのも嘘ではない、、、。笑ったり泣いたり、仲間と遊んだり穏やかな時間を過ごしたり、そうして温かい気持ちになれるのは、彼女達が戦いのためだけに生きているわけではない証なのでは。
 けど人間でもない自分達が、ヒトのように生きていく事など許されるのだろうか? この疑問は、彼女達すべてが、年上であっても幼くても、同じように抱いているものなのかもしれません。

 その疑問への答えが果たして本当にあるのか、戦い続ければそこにたどり着けるのか、誰もはっきりとは言えないでしょう。それでも前に進まなければならない、それだけが、今の彼女達の存在を証明するものなのかもです。

(オープニング曲「graphite/diamond」も、そういう所を歌っているのでしょうね。graphite(グラファイト)は英語で、意味は黒鉛らしいです。黒鉛とは純粋な炭素でできた鉱物で(鉛筆の芯などに使われるらしいです)、ダイヤモンドと同じ質を持つものなのだとか。見た目も使われ方も、人が持つ印象も違うものなのに、どこかでつながっている、、、そういう所は、ユニオン、ロイヤル、鉄血、重桜、各陣営の艦船達、それどころかセイレーンまでも含めて言い表しているようにも感じられます。グラファイトになるのか、ダイヤモンドになるのか、どちらになるべきかというのは彼女達にとっては大きな選択かもしれませんし、無意味な分岐なのかもしれません。けれど選ばなければならない、という立場に、彼女達はいるのかもです。)

 ロイヤルもユニオンも、貴重な戦力であるエンタープライズが、まるで身を滅ぼそうとするかのように戦いに赴くのをどうする事もできずにいるようです。今は彼女の行動を規制したりせず、遠くから見守っている感じです。

 が、ベルファストだけは、かまわずに彼女に積極的に関わっていこうとしています(ユニコーンも彼女と近い位置にいたいと思っているようですね)。それはなぜなのでしょう?

 ロイヤルの戦艦、クイーンエリザベスの思し召しだから? それともユニオンの戦力を把握しておくため?

 もしかしたらそういうものも少しはあるかもしれません。けどそうだったとしても、それは実は言い訳に使っているだけなのかな、という気もします。

 彼女がエンタープライズのそばにいようとするのは、興味があるから、なのではないでしょうか。その美しい肢体に傷を刻んでも戦い続けようとする凛とした横顔、誰も寄せ付けない冷たさを漂わせながら誰かを救わずにはいられない優しさ、愛する姉の名前をつい寝言で口走ってしまうあどけなさ、、、。そのすべてが、ベルファストにとっては愛しいと思える仕草だったのかも。

 そういえば、今の公式サイトのトップにあるメインビジュアルでは、黒煙立ちこめる海の戦場で、弓を引くエンタープライズと、彼女の背中を守って魚雷を放つベルファストの2人が描かれています。このシリーズはもしかしたら、彼女達2人の関係が重要な意味を持つストーリーになっているのかもしれません。できれば彼女達(だけでなく他の女の子達も)の百合なエピソードがたくさん見られると素敵ですね。

|

« 神田川JET GIRLS 第2話 | トップページ | アズールレーン レビューリスト »

百合レビュー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 神田川JET GIRLS 第2話 | トップページ | アズールレーン レビューリスト »