戦姫絶唱シンフォギアXV 第９話

　テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアXV」、第９話「I am a father」です。

　起動された「シェム・ハの腕輪」の力から未来を救い出すため、響は浮遊する巨大な構造物を打ち砕きます。が、その中で見つけたのは、自分を「シェム・ハ」、すなわち神だと名乗る未来の姿でした。未来を連れ戻せなかった響は、さらに新武装アマルガムを無許可で使ったためにS.O.N.G.から謹慎処分を言い渡されてしまいます。

　S.O.N.G.の作戦に参加できない響は、父親の所へ行っています。リディアンの寮に帰っても未来はいませんし、部屋に１人でいたらどうしても未来の事を思い出してふさぎ込んでしまうでしょう。
　ちょっと思うのは、第２期「～G」の時の事だったりします。未来が捕らえられウェル博士の所へ連れて行かれた時も、今と同じように、響は未来から引き離されていました。
　どちらの場合も、得体の知れない危険な連中の所に未来はいます。なので、彼女がどんな苦しみを味わっているか、危険な目に遭ったり命が危うくなったりしていないか、響達には全くわからないはずですよね。
　響としては気が気ではない状態なのではと思われます。一瞬でも早く未来を助けようと、すぐにでも相手のアジトに突っ込んでいきそうに感じるのですけれど、第２期の時も今も、彼女は割とおとなしくしていますね、、、。響が未来に対して薄情だとは決して思えませんけれど、ここでの彼女の心情が少し気がかりです。

　響の父親の洸はというと、一応響の母親とは交流しているらしいものの、まだ１人で暮らしているようです。一時失踪していた父親は、第３期「～GX」の時に響と母親、祖母の前に舞い戻ってきました。けれど、家族が大変な時に逃げ出してしまった人が、すぐに元通りになれるという事はないでしょう。母親の方はもう二度と会いたくないと考えていてもおかしくはありませんが、踏みとどまっているみたいです。そうしているのは、響の気持ちを思っての事なのかなと思えます。響にとってはどちらも大切な親ですから、憎み合ったり遠ざけ合ったりするような姿を娘には見せたくない、と考えているのかも。これが、「子はかすがい」という事なのかもしれません。

（この第９話のサブタイトルは、「I am a father」となっています。ここでは、響の父親や翼の父親（彼女の場合、育ての親は八紘ですが、血縁上の親は訃堂なのですね）などが割とクローズアップされています。１人の父親として、という意味で「I am a～」とされているのかなという気もします。でも、響や翼に対して、「他の誰でもなくお前の父親だよ」ってはっきり言いたいという意味を押し出すのなら、「I am your father」という感じでも良いかもと思ったりします。）

　ここしばらく弦十郎と八紘は、訃堂がヴァネッサ達ノーブルレッドを陰で操っているのではと考えて調査していましたが、確証が得られたようです。子供が親を逮捕するなんて真似は本当は気が進まないでしょうけれど、この一大事にそんな事は言っていられないみたいです。

　そこから、翼、弦十郎、八紘、訃堂と、風鳴一族の激しいバトルが、、、！　装者である翼はおいておくとしても、弦十郎や訃堂はもう完全に人間離れしちゃってますね。絵柄の方も、強い力を持つ者が大きく描かれるという、バトル系コミックとかでありそうな遠近法無視の絵になったりしていますし。この辺りはさすが風鳴の人々、という感じでしょうか。

　この辺りで気になっている点としては、訃堂はどういう狙いでこれまで行動してきたか、という事です。装者だけでなく、本当は救うべきはずの一般の人々を苦しめてまで、この人は何をしようとしているのでしょう。
　もしくは、訃堂自身誰かに操られていたりするのでしょうか。実は新しく選ばれた「フィーネの器」が訃堂だった、とか？　黒幕は他にもいる可能性もありそうです。

　後は、未来ですね。シェム・ハの復活はまだ完全ではないらしいのですが、だんだん本当の力を発揮しつつあるようです。シェム・ハが元通りになったとしたら、未来はどうなってしまうのか、とても気がかりです。

　それと、未来自身はどんな気持ちでいるのかを知りたいですね。力でねじ伏せられ体を乗っ取られたのか、それとも自分の意志でシェム・ハの言いなりになったのかなど。

　第２期の時、シェンショウジンをまとったのは、未来本人の意志でもありました。あの時は、体中が聖遺物に侵されていく響をどうにかして止めたくて、彼女は行動に出たのですよね。ここでの未来には、そういう気持ちはあったのでしょうか、それとも抵抗できない何かの圧力に押し切られたのでしょうか。未来と響、彼女達の間にある気持ちはどうなっていくのでしょうね。

・「戦姫絶唱シンフォギア」レビューリスト、レビューセンター