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2019年9月 4日 (水)

スター☆トゥインクルプリキュア 第29話

 テレビアニメ「スター☆トゥインクルプリキュア」、第29話「ただいまルン☆惑星サマーンのユウウツ」です。

 途中で様々な冒険を繰り広げながら、ひかる達はララの故郷、サマーン星へとやって来ました。高いビルが建ち並び整然とした街並みの中には、地面から浮いて走るバイクや、空を漂って世界中に映像を中継するカメラなど、地球にはないタイプの未来な物があふれています。表を歩いている人の姿が少ないのも、高度に発達した通信網のおかげらしいです。とにかく見るものすべてが珍しいひかるは、興味津々で辺りを見回しています。

 以前からララは、サマーン星へ行くという話題になると、いつも表情を曇らせていました。実際に星にやって来ると、彼女はさらに暗い顔になり、元気も出ていません。

 サマーンには、ララの父親のチチと、母親のカカ、双子の兄のロロがいます。3人ともララが久しぶりに帰ってきた事を喜んではいますが、どこか少し素っ気ない感じがします。
 ララは地球人の年齢で言えば13歳ぐらいでひかると同い年に当たります。サマーンでは、この年齢の人はもう大人として扱われるのだそうです。ずっと連絡が取れていなかったララに会ってもあれこれ問いただしたりしないのは、彼女を子供扱いしたくなかった、という理由だったりするのでしょうか。

 さて大人なララがサマーンにいた頃にしていた仕事は、スペースデブリ(宇宙ごみ)の回収だったらしいです。これは「レベル8」の能力を持つ人間向けの仕事です。レベル8というのは、一番低い能力である事を表すのだとか。
 それに対してロロは最高位のレベル1で、星の重要な任務を託されています。以前ララに送ってきたメッセージにあったように、ロロは「プリンセスの力」を見つけたらしく、これはこの星ではかなりのお手柄だったみたいです。

 ロロはレベル1で、宇宙星空連合のトップから直々に表彰されるほどの才能の持ち主。ララはレベル8で、割り当てられた宇宙ごみ回収の仕事を放り出し今の今まで宇宙を放浪していた、と思われています。(宇宙ごみの回収だってかなり能力を必要とする仕事のような気もしますけれど……サマーンでは事情が違うのでしょうか。)

 優秀な兄に比べて、妹は落ちこぼれと言ってもいいほど。でも、チチやカカ、ロロは、ララを見下したりしません。彼女にはぴったりな、レベルの低い仕事がちゃんとある。マザーAIが決めた事に従っていれば何も問題はない。だから3人は、怒ったり悲しんだりしないし、ララをなぐさめたり励ましたりもしないのかも。

 サマーン星人にとっては、これが普通なのかもしれません。でもこれだと、低いレベルを割り当てられた人達の、やる気や個性を、すべて否定しているようにも見えます。
 この星の考え方は、地球人であるひかる達にはなかなか受け入れられないのではとも思われます(レインボー星人のユニはどう思っているのでしょうね)。といっても、うまくいっている(ように見える)星のあり方を、「そんなのおかしいよ」と真っ向から否定するのは、意見の押しつけととられてしまいそうです。彼女達がサマーンの人達に自分達の気持ちを伝えるためには、相手がちゃんと聞く意志を持っている必要があるのでは。1人1人の個性を見つけ出し伸ばしていくためにはどうしたらいいのか、ひかる達と星の人達が皆で一緒に考えて行動できるようになる可能性はあるでしょうか。

 ところでララは、最初から、サマーンへ行く事に乗り気ではありませんでした。彼女があんな暗い表情をする理由は何なのでしょうね。

 優秀な双子の兄と比べて、妹の自分は最低ランク。その事について全く何も言わない家族の存在が、かえって彼女へのプレッシャーになっていた、という事は考えられるでしょうか。プリンセスの力を探すために宇宙へ出た時も、逃げ出すような気持ちだった、とか。

 また、自分が一番下のレベルだという事を、ひかる達に知られるのが恥ずかしかったみたいな事もあるでしょうか? でも生粋のサマーン星人なら、レベルが高くても低くても特に気にはしないっぽいですよね。もしかしたらララは、自分のレベルの低さに甘える事なく、恥じるべき所は恥じた上で、もっと高みを目指して努力したいと考える、サマーン星人としては珍しい女の子なのかもしれません。

 ララ以外のサマーン星人は、自分の星での暮らしにはなじんでいるようです。この星では、マザーAIが様々な取り決めをしていて、人々はそれに従っているみたいです。といっても奴隷になっているとかではなく、決して間違えを起こさないマザーAIを信頼して生活を任せている、という感じでしょうか。
 結果としてそれが、落ちこぼれる人や劣等感を持つ人を生み出している、かどうかはまだよくわかりません。何が起きているにしても、この機会に、星の人々は自分達がこれからどうやって生活していくべきかを考えなければならなくなる展開が、ストーリー上待っているような気もします。

 その時、ララと一緒にいる彼女のパーソナルAIの見聞きしてきた事が、役に立つのかもしれません。このパーソナルAIは、ひかる達が地球人であるのを隠すためにとっさに嘘をついたりしていますし、これまでサマーンで考えられてきたAIとは別の個性のようなものをもたらしてくれるのでは。
 普通の手順だと、旅から戻ってきたパーソナルAIはマザーAIに「同期」されて独自の特徴を失ってしまうらしいです。それをやめさせられるのであれば、サマーンの人々が、宇宙に存在する様々な独特な個性を認められるきっかけになりそうです。

・「ふたりはプリキュア」レビューリストレビューセンター

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