グランベルム プリンセプスのふたり 第２話

　テレビアニメ「グランベルム プリンセプスのふたり」、第２話「私がここにいるために」です。

　世界で唯一の魔術師、「プリンセプス」の座を勝ち取るための戦いに巻き込まれた満月。何とか元の世界に帰ってはきたものの、いつの間にか眠ってしまっていて、気がつけばもう朝になっていました。彼女が行方不明になったと勘違いした親と、妹の希望は、無事だった満月を見て怒りを抑えられません。ところが、言い訳をするために一緒に連れてこられた新月がそっと指でサインを作ると、希望達は満月を許してくれます。後で聞いてみると、新月が使ったのは魔法ではなく、磁場を操る「術」なのだそうです。

　自分だけにできる何かがあるなら、その可能性にかけてみたい、というのが、満月の嘘のない気持ちでもあり、切実な願いでもあるのでしょう。自分は、いてもいなくても誰も困らない存在なんじゃないか、そう感じる瞬間が、これまでの満月にとってはこの上なくつらい経験だったのかもです。自分を必要としてくれているか、なんて周りの人に聞いて回れるわけもなく、彼女はますます自分を取り繕うように周りと接してきたのでは、とも思えます。

　満月がずっと胸にしまってきたこの気持ちを、新月は理解できるでしょうか。新月にも、彼女なりの過去があり、グランベルムに参加する理由がありますし、２人が抱えてきた思いはそれぞれ別のものかもしれません。が、彼女達は、お互いを、表面的にではなく奥深い部分で感じようとしているように見えます。

　満月は、誰にも言う事がなかった繊細な気持ちを、新月にだけは打ち明けています。新月も、第１話で、プリンセプスになれたら何をする津もになのかを満月に伝えています。本来なら内緒にしておいていい事を、出会ったばかりの相手に話している、という所が重要ですね。彼女達は、お互いに何か惹かれるものを持っているのでは、という気がします。この感覚を忘れず、この先何があっても彼女達にはお互いに寄り添っていてもらいたいかもです。

　それにしても、満月がプリンセプスになろうとするという事は、いつかは新月とも戦わなければならないという意味なのですよね（新月はとても強いみたいなので、満月と対戦するまで勝ち上がってきそうです（満月が勝ち残っていれば、ですけれど））。今の満月がそれをわかっていて、その上でこの戦いに参加しようとしているのかどうかがよくわかりません。もしわかっているとしたら、強力なライバルの目の前で宣戦布告しているようなものですよね。もしわかっていなかったとしても、いずれは思い知らされる時が来そうです。満月と新月の間に親密な関係が育まれていくのを期待したい所ですけれど、そうなればなるほど、彼女達の戦いは苦しみに満ちたものになっていきそうです。

（ところで、夕暮れの学校の場面で満月が見せた力は、、、別の作品に登場する「黄金」な「体験」の能力っぽい？　アンナの名字は「フーゴ」ですし、何か関連が、、、というわけではないですよね。）

　最初の方の場面では、家の近くまで来た満月が、心配している家族の姿をのぞき込んでいます。彼女の家族構成は、父親、母親、自分、妹（希望）の４人らしいですね。その後家の中の場面で言い訳をしていた相手は、母親と希望だけでした。父親は、たぶん満月がけがもなく帰ってきたため、安心して仕事に向かった、とかなのかも（ちょっと薄情なような気もしますが仕方ないのでしょうか）？
　何というか、この作品って、男性は絵として描かれるものの、せりふとかはなく、ストーリーに絡んでくる事もない、みたいな感じだったりするのかな（でも次回予告のナレーションは男性の声ですね）？　（ちょっとあの作品を思い出してしまいます。あちらの作品に登場する学生アイドル達は、「リリーホワイト」というユニット内ユニットを結成していたりしますし、メンバー９人で音楽活動をするという所が「九音」にも重なりそうです。）だとしたら、女性同士の関係性に集中して物語を堪能できるような気がします。

　そういえば、満月が操るアルマノクス（魔法人形）の名前は「ホワイトリリー」ですし、満月の部屋に敷いてあるカーペットの柄が百合だったり、と、あちこちに合図が仕掛けられているような。この作品では、百合な女の子同士の関係がたくさん見られそうでしょうか。

　この話数になって、登場人物もさらに増えてきています。新月達と同じようにプリンセプスを狙っている林寧々（りんねね）や土御門九音（つちみかどくおん）など。寧々には香港に妹が２人いるそうですし、彼女は希望と同じ学校に通っているのですね。希望と寧々のやりとりを見ていると、寧々は、仲良くしてくれる希望にちょっと気があるみたいですし。満月と新月以外のキャラ達の間でも、百合な関係が描かれていくと良いですね。