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2019年6月21日 (金)

八月のシンデレラナイン オープニング曲「エチュード」

 放送中のテレビアニメ「八月のシンデレラナイン」のオープニング主題歌、「エチュード」について少し書いてみたいと思います。

 歌っているのは、みゆはんさんです。きらめくような柔らかなメロディに乗って歌い出しがあり、その後ドラム、ベース、ギターのロックバンド風な伴奏が始まって、青春な雰囲気のにぎやかな曲になっていきます。

 自分の本当にしたい事から目をそらそうとしていた主人公の胸に響く「君」の言葉が、主人公の抱えていた重荷を解き放ってくれているようですね。相手のまなざしを受けるだけで、呼ぶ声が聞こえるだけで、他のどんな雑音も主人公の耳には届かなくなるのでしょう。

 作中で翼達が取り組んでいる野球で言うなら、試合で白球を追いかける主人公と、それを応援する「君」という感じでしょうか。テレビ放送版で聞ける1番の歌詞は、そういう関係性が描かれている感じがします。

 ですが、2番からがまた違った展開になっています。2番では、主人公は学校の屋上らしい場所へ向かっています。友達の応援を受け、扉を開いて進んだ先には、「君」がいます。

 そこで相手に告げた言葉は、、、。1番の歌詞では隠されていましたが、主人公の本当の思いが、ここで語られています。

 そして2コーラス目の後、ふと曲調が落ち着きます。歌われているのは、相手の事を考えずに自分の気持ちを押しつけてしまった後悔、でしょうか。でもその気持ちを口に出してしまった以上、もう元には戻れません。この瞬間に何もかも失ってしまった、と、主人公は感情をあふれさせます。

 ところが、という切り返しが鮮やかですね。みゆはんさんがささやく一言の後、状況は大きく変わっていきます。

 歌詞では、カギ括弧でくくられている部分があります。これはたぶん「君」のせりふで、その他の地の文は主人公の言葉なのでしょう。そう思って見比べてみると、語っている言葉がとても似ているのですよね。つまり、主人公も「君」も、考えていた事は同じだった、という意味なのではないでしょうか。

 この後歌はどんどん勢いを増し、キーも上がっていきます。主人公と「君」の関係が、感動的に歌い上げられている感じです。

 この歌の歌詞で特徴なのが、主人公の一人称が全く出てこない所です。普通だと安易に「僕」とか歌われちゃいそうな所を、うまく織り込まずに構成されています。こうする事で、主人公が男性でも女性でも無理なく成立するようになっている気がします。

 その上で歌詞を考えてみると、2人とも同じように、自分の気持ちが相手に迷惑をかけてしまうのではないかと思っているように感じられます。男女の恋愛ならそこまで遠慮する事はないようにも思われますし、そうなると女性同士の関係を歌っているのでは、という気がします。

 アニメ本編の第6話「これからの私たち」では、幼なじみ同士の翼と智恵の間で、この歌にあるような出来事が起きていますね。いつでも一緒にいた彼女達が、新しい関係を築いていく姿が感動的に描かれています。百合的にもなかなかな感じです。

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