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2018年6月20日 (水)

ガールズ&パンツァー 劇場版

 アニメ「ガールズ&パンツァー 劇場版」を見てみました(かなり前の事ではありますけれど、、、)。

 ストーリーは、テレビシリーズの後から始まっていますね。みほ達大洗女子学園の戦車道チームは、知波単学園と合同チームを作り、聖グロリアーナ女学院とプラウダ高校の合同チームを相手に模範試合をしています。会場は大洗の町の中で、また派手な撃ち合いになってますね。
 試合が済めば、皆で仲良くひとっ風呂(サービスシーン?)。こうして彼女達は、戦車道を通じて親睦を深めているのですね。

 ところが、そこへ驚愕の知らせがもたらされます。大洗女子学園は、高校戦車道の全国大会で優勝した実績を持っていますから、お役所も下手な事はできないでしょうし、何より廃校にはならないという約束だったはずでした。
 この辺りの事情には、テレビシリーズにも登場していた、眼鏡のお役人が関わっているみたいです。この人は、本作でも後々までちょっかいを出してきていますけれど、なぜそこまでみほ達を追い詰めようとするのでしょうね。
 もしかしたらそこには、この人の体裁があったのかもという気がします。戦車道の世界大会が何年か後には開催される事になっているため、国としても戦車道を普及させた上で、うちはこんなに戦車道が盛んなんですよ、と、大手を振って各国の選手団を迎えたい所なのでは。そうするには、全国大会9連覇の実力校で、たぶん世界的にも有名と思われる黒森峰や、長い戦車道の歴史を持ち去年の優勝校でもあるプラウダ高校辺りの名前がチャンピオンとして挙がっていれば、海外勢になめられる事もない、と考えたとか。
 それなのに、今年優勝したのは、4月に戦車道の履修を再開し始めたばかりの無名校、大洗女子学園。寄せ集めにしか見えない8両ぽっちの戦車が並ぶ様子は、いかにも箔がつかない、と感じたのかもしれません。どうしたものかと考えた時に、生徒会長の杏との「口約束」を思い出した、みたいな感じなのでしょうか。

 ともかく、みほ達は学園を追われてしまいます。皆ちりぢりになり、彼女が行き着いたのは、片田舎の小学校の跡地のような場所でした。杏の采配だったのか、戦車道チームのメンバーは全員同じ場所に集まる事になりました。が、皆はあまり明るい気持ちにはなれません。

 1人いそいそと食事やキャンプの支度をしていたのは、優花里でした。彼女だって、学校がなくなって寂しくないはずはありません。けれど、みほと一緒にいれば何とかなる、自分達に「優勝」という高みを見せてくれた「西住殿」ならどうにかしてくれるはず、と感じていたのかもしれません。今の窮地を打開するために自分ができる事、それは、徹底的にみほを支える事、自分の持つスキルを使って可能な限りみほの役に立つ事だと、彼女は思ったのではないでしょうか。
 みほのために何かできる、もしかしたらみほも喜んでくれるかもしれない、そう思うと優花里は嬉しくなってしまったのでしょう。野営やサバイバル生活でテンションが上がっているだけでなく、敬愛するみほに自分の持つ力を惜しげもなく注げるのを、晴れがましいと思っているのかも。

 それに比べて、風紀委員のそど子(園みどり子)は全くやる気が出ていません。いつもなら、風紀の乱れにはとても厳しく当たっている彼女ですが、ここでは一番だらけまくっていて、まともに生活するつもりもないようです。
 全国大会の時、学園が廃校になりそうなピンチに、彼女とごも代(後藤モヨ子)、パゾ美(金春希美)の風紀委員3人はチームに参加しています。試合中も、(主に麻子が)規律正しく生活できているかどうか細かくチェックして指導しています。
 あの時は、何もしなければ自分達の学校がなくなってしまう、と思い、いても立ってもいられなかったのでしょう。みほや杏達の努力に、手を貸さないわけにはいかない、という気持ちになったのでは。
 ですがここでは、救うべき学校はもうありません。風紀委員である自分が守るのは、大洗女子学園の秩序、、、だったのに、それがなくなってしまっては何をしたら良いのかわからない。優花里の場合とは違って、支えるべきものを失ったそど子は、もう何の希望も見つけられなかったのでしょう。

 そんな彼女を見ていられなかったのが、麻子、ですね。いつもの威勢が全く見られないので、とても心配になっているようです。
 ここで、とても珍しい事に麻子がそど子にでれるような場面が、、、。ですが肝心のそど子の方はそれに気づくどころではなく。この調子では、彼女達の間の百合はどうなるのでしょうね。

 チームのメンバー達がそれぞれに過ごしている間、杏はあちこち根回しをしていたようです。それが新しいチャンスにつながっていくみたいです。
 たぶん、彼女はテレビシリーズの時も、表向きはのんびりしているようで、裏ではいろいろ活動していたのだと思います。テレビシリーズではその辺りが描かれる事はほとんどありませんでしたが、この劇場版でその一部が見られるのではないでしょうか。蝶野教官との共闘も決まってますね。

 それと、みほと家族のエピソードも、丁寧に描かれています。みほは、学校の手続きのため少しの間里帰りをしました。彼女は、母親のしほとはまだ顔が合わせづらい様子でしたが、そこへ姉のまほが姿を見せます。
 まほは黒森峰の隊長で、去年もチームを指揮していました。去年の全国大会では、副隊長だったみほが、仲間を助けるために自分の戦車を離れた結果、黒森峰は試合に負けてしまい、10連覇も達成できませんでした。
 テレビシリーズでは、今の副隊長のエリカはその事でみほを責めていますが、まほは特に何かを言ったりはしていないのですよね。まあみほにとっては、黙って見られているだけでも、責められているような気になってしまっていたかもしれませんけれど、姉妹なだけあって、もっと深い所ではわかり合えているのでは、と思えます。

 途中、みほとまほの小さい頃の回想シーンが描かれています。2人とも小学生ぐらいでしょうか、いつも一緒にいて、自然の中でのびのびと仲良く暮らしていたようです(出かけるのに戦車に乗っていく所が、さすが西住流のご令嬢方ですね)。
 2人を隔てるものは何もなく、戦車とともに過ごしていた日々。この時間が、彼女達の絆をとても強いものにしているのでしょう。この関係性が、本作の後半でも重要な意味を持ってくるのではないでしょうか。

 さて大学選抜チームとの対戦では、開始前にみほはピンチに立たされています。大量の車両を投入してくる大学選抜チームに対して、大洗の方から出てくるのは今までと同じ8両だけ。この試合のルールは殲滅戦ですから、車両の数が少ない方が劣勢なのは誰が見てもはっきりしています。
 みほは試合開始の直前まで、この苦しい状況を乗り越える方法を考え続けています(もしかしたら前の日から寝ずに考えていたのかも? でもそれだと試合に万全の体調では臨めませんね)。ついに試合が始まる、という時に、驚くような事が起きていますね。

(こういう登場の仕方でキャラ達が集まってくるのは、壮観ではあるのですけれど、同時に、これがクライマックスなのかな、と思わせられてしまいます。本作もこの劇場版が最後になってしまうのでは、と、寂しい気持ちになってしまいました。まあでも実際には、「~最終章」が制作されているので少し安心(?)しました。ミカやアキ、ミッコ達の学校の名前が「継続高校」なのも、実は伏線だったのかも?)

 大学選抜チームの方は、相手が高校生、しかも全国大会優勝とは言え初出場校だと知って侮っているかというと、そうではなさそうです。相手が誰であろうとも、力を出し切って相手と対戦しようとしている感じがします。

 「選抜」という事で、選手の1人1人は、それぞれ自分達のホームとなる大学のチームがあるのでしょう。選抜チームに集められるのは各校の花形選手ばかりでしょうから、皆自己主張が強く、彼女達をまとめ上げていくのは難しそうにも思えます。ですが、彼女達のチームワークは整っていて、例えば誰かが目立とうとして前線に出すぎるとか、誰かが命令を無視して失敗しそこを突かれるとか、そういった事は全然ありません。ここまで統率がとれているのは、隊長のリーダーシップがとてもはっきりとしているからなのでしょう。

 そのリーダーとは、島田愛里寿です。彼女は他の選手と同じ大学生ですが、実は飛び級をしていて、年齢はたぶん高校生のみほ達よりも下のようです。

 本当の(?)大学生であるメグミ、アズミ、ルミ達にしてみれば、幾つも年下の愛里寿の命令に従って行動しなければならない事について、もしかしたら最初は、気にくわないと思う気持ちもあったかもしれません。それがこの試合では、メンバーの誰も、愛里寿の決定に反対せず、侮ったり意見を言う人さえいません。

 これはたぶん、愛里寿が戦車道の戦略で圧倒的な力量を持っているから、なのでしょう。選抜チームの選手達は、チームを組んだ段階で、彼女の力のすさまじさを嫌と言うほど思い知らされたのではないでしょうか。愛里寿の実力を十分理解したから、選手達は彼女の指揮下で力を尽くす道を選んでいるのでしょう。それが、彼女達の鉄壁のチームワークを形作っているように感じられます。

 そんな愛里寿達大学選抜チームに、みほ達はどう立ち向かうのでしょうか。まほやダージリン達の援護を受けてはいますが、相手の戦力もかなりのものです。あのお役人が反則ぎりぎりで注ぎ込んだ兵器が登場しています。

 カール自走臼砲も、戦車道の試合というものをひっくり返してしまうような威力を見せていますね。この存在を知らなかったみほ達は、その場で戦略の転換を迫られます。
(ところで4DX上映で本作を見た時、このカールが使われる場面ではもう座席が揺れまくって大変な事になるのかな、と思ってました。けれどまあそれほどではなかったかも? リアル感があったのは、草原を戦車が走っている時に風が吹く所とか、雨が降る辺りとかでしょうか(雨の場面は割と長く続いたのでけっこう濡れたような)。)

 大洗チームは、各校のメンバーが急きょ集まって作られていますから、あまり無理矢理統一させたりしない方が良いみたいです。皆がそれぞれの持ち味を生かす事で、ピンチを切り抜けていっているようですね。みほとしては、試合を見た事がない継続高校を除いて、他校の特徴をわかっているのでしょう。一番実力を発揮できる戦法を、さりげなく指示できているのでは。

 大洗女子学園チームと大学選抜チームの試合は熾烈で、様々な場面が展開されていきます。豪快だったり感動的だったりコミカルだったり、、、。大洗側の各キャラらしさを表すエピソードも描かれていますね。

 大詰めには、みほと愛里寿、隊長同士の火花を散らす対戦も見られます。ここにまほみほ姉妹の絆が盛り込まれているのですね。

 といった感じで、劇場版らしい迫力のある作品になっていた気がします。上映時間は2時間となっている(この頃の劇場版アニメにしては大ボリュームのような)みたいですけれど、最初から最後まで没頭して見られる感じです。

 百合的な部分を見てみたいようにも思うのですけれど、なかなか難しいのでしょうか、、、。本作では、麻子がそど子に対して気持ちが動いたりしています。また愛里寿は、対戦相手としてよりは、同じ「ボコ」ファンとして、みほに親しみを感じているようで、その関係が発展していったり、みたいな事はあるでしょうか。

・「ガールズ&パンツァー」レビューリストレビューセンター

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