響け! ユーフォニアム2 第1話~第10話
10月から放送のアニメ「響け! ユーフォニアム2」を見ています。今まで見ている中で百合的な部分について少し書いてみたいと思います。
第1期は個人的には見ていなかったので雰囲気はよくわからないのですけれど、この第2期では、女性同士のエピソードがとても多いですね。北宇治高校吹奏楽部には男子生徒もいますし顧問も男性なのですけれど、ドラマ的には、メインとなる黄前久美子と高坂麗奈をはじめとして、鎧塚みぞれや吉川優子、傘木希美など、女の子達の間の関係を描くものがほとんどになっている感じです。
エピソードとしては、去年部内が分裂しそうになったといったものや、副部長とその母親との確執などがあり、必ずしも百合っぽいテーマではない雰囲気です。が、ビジュアル的には、女の子が女の子に顔を急接近させたり、女の子が女の子を押し倒してのしかかったりなど、それっぽい(?)イメージの画面が多くなっているように思います。
(ちなみにストーリーとは別になりますけれど、部員の団結の合図として、副部長の田中あすかが使うかけ声、「北宇治、ファイトーっ!」には元ネタがありそうな気がしています。同じ制作会社の別作品になりますけれど「けいおん!!」の第17話「部室がない!」のエピソードです。部室が一時的に使えなくなった平沢唯達軽音部のメンバーは、練習できる場所を探して校内をあちこち回るのですが、ちょうど良い所がなかなか見つかりません。体育館の一部を借りて音を鳴らそうとするものの、周りの体育会系の部活に圧倒され気味に。それなら自分達も熱血な感じで演奏しよう、と気を取り直した時、キーボード担当の琴吹紬が精一杯張り上げた声が、「軽音部、ファイトーっ!」というものでした。あすかと紬は、どちらも寿美菜子さんが声を担当されているので、そのつながりからのせりふだったり、、、? 細かすぎますかね、、、。)
久美子と麗奈も、それぞれ他に友達はいるのですが、2人の間では何だか百合な雰囲気を漂わせる絵柄になっています。花火大会の時とかは、2人とも浴衣姿で、橋のたもとにたたずみ、きらきら光る夜空を背景に、指を絡めて手を握り合いながら、お互いをじっと見つめて顔を近づけたりしています。
また2人は一緒にいる事が多いですね。そのため必然的に(?)2人きりの仲良しな場面も増えています。
では彼女達の心情的にはどうかというと、恋愛というよりは、そばにいるのが疑いようもないぐらい当然、と思っているように見えます。2人とも意識はしていないかもしれませんけれど、自分達は一心同体、と感じているような雰囲気です。
例えば、部活がお休みになって皆でプールに行った時、水着姿の麗奈を見た久美子は、彼女の胸の大きさに驚いています。その後久美子は、自分も来年辺りには、麗奈と同じぐらい胸が成長しているんじゃないかと想像を膨らませています。
こういう場合普通なら相手をうらやましがったり見てみないふりをしたりする所のようにも思いますけれど、久美子の反応はそうじゃないんですよね。そういった部分で、久美子と麗奈の間には、他の皆とは別の関係性があるように思わされたりします。
(一方で、男女間の恋愛関係については、久美子は麗奈と同じ感覚を持とうとはしていない感じです。麗奈が顧問に淡い恋心を見ても、「私も恋したい」という風にはなっていません。麗奈がちょっとした事で一喜一憂している様子を、そばで見守っているだけのような。その点が、2人の違いと言えば違いなのかもです。)
2人が会話する時は、どちらも(麗奈はいつもかもですけど)テンションが低めで、言葉数もとても少ないです。でも、見つめ合ってにっこりと笑えば、お互いに気持ちが通じ合えているみたいです。何も言わなくてもわかり合える唯一の相手、それが、2人が相手に抱いている思いなのでは。
でも、だからといってずっと話し合っていなくても気持ちがぴったり重なり続けているかというと、そううまくいかない場合もありそうです。第10話近くでは、久美子と麗奈は何かとすれ違いが多くなっています。久美子が部の人間関係でばたばたしている間、麗奈は先に家に帰ってしまったりしていて、一緒にいられる時間は少なくなっています。
ここから1クールの区切りに向けてドラマが起きてきそう(「そして次の曲が始まるのです」というやつでしょうか)です。その盛り上がりの題材に、久美子と麗奈、2人の女の子の関係が取り上げられるのは、百合的には意味がありそうです。
少し気になっているのは、麗奈から顧問への気持ちが、本当に恋愛なのかどうかという事だったりします。公式サイトの人物相関図にははっきりそう書かれていますけれど、麗奈の振る舞いを見ていると、それほど深い気持ちにはなっていないのではないか、とも思えてきます。
コンクールの時、誰かを思って楽器を演奏する、と他の人が話しているのを聞いて、麗奈は、自分は久美子を思ってトランペットを吹く、と言います。久美子が、顧問を思って吹くんじゃないのとつっこむと、麗奈はもっともらしい事を言って否定しています。彼女が顧問にぞっこんなら、久美子が質問するまでもなく黙って顧問を思いながら演奏しそうな所ですけれど、そういう雰囲気にはなっていません。麗奈が、自分の恋愛を一歩引いた覚めた目で見ているのか、それとも恋心があまりないのでしょうか、、、。どちらにしても、彼女の態度を見ていると、「男性に恋する女の子」という印象はあまりない感じです。
となれば、麗奈が一番に思っている人はいつでも久美子なんじゃないかという気がしてきます。久美子も、メンバーがたくさんいる吹奏楽部の中で、特に麗奈とは仲良くしていて、部活以外でも一緒にいる時間が一番長いのではないでしょうか。それに2人のふれあいを見ていると、仲良くしている姿が、「友達」という言葉では片付けられないぐらいの親密さなんですよね。エピソードとしてはあまり描かれていないだけで、本当はもう友達以上の関係になってしまっているのでは、とも思えてきます。
そういう彼女達の間柄は、人物相関図では、「引力」と書かれています。、、、何か曖昧な言葉ではぐらかされているような気もしてきちゃいますね。もっとはっきり示してもらいたい所ではあります。物語の中心になっている2人の女の子の関係が、麗しく、また愛にあふれたものであると良いかもです。
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