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2017年1月21日 (土)

終末のイゼッタ 第1話~第6話

 10月から放送のアニメ「終末のイゼッタ」を見ています。今まで見ている中で百合的な部分について少し書いてみたいと思います。

 アルプスにある小さな国、エイルシュタットは、隣国のゲルマニア帝国の軍事的脅威にさらされていました。強力な近代兵器を誇るゲルマニアの侵略を防ぐため、公女のオルトフィーネ(フィーネ)は欧州各国から協力を取りつけようと奔走します。そのさなか、彼女は、幼い頃に知り合った女の子、イゼッタに再会します。

 イゼッタは、不思議な力を持つ魔女の末裔で、自分の体の一部で触れた物体を自在に動かす事ができます。でもその力のおかげで、魔女達は、これまでずっと迫害を受けてきました。イゼッタも、長い間祖母とともに、ヨーロッパを流れ歩いてきました。
  その頃の事が本編でも少し描かれていますが、人々はよってたかってイゼッタをののしり、けがを負わせる事もあったようです。ひどい仕打ちを受け続けてきた彼女は、たぶんとても沈んだ気持ちになっていた事でしょう。この世界には自分の居場所はない、自分を必要としてくれる人なんて一人もいない、と。

 そんな時に、彼女はフィーネに出会ったのですね。魔女である自分を受け入れてくれた唯一の人、魔法を見ても気味悪がったりせず、喜んでくれた人。彼女とふれあえただけで、イゼッタはとても救われた気持ちになったのではないでしょうか。作中では「希望」というキーワードが出てきますが、イゼッタの希望は、この出会いの瞬間に生まれたように思えます。

 生きる意味を与えてくれたフィーネ。彼女のためなら、何だってできる。幼かったあの時も、成長した今でも、イゼッタはそう思っているのでしょう。

 オープニング映像のはじめの部分では、イゼッタは、まるで気を失って自由落下でもしていくように、目の焦点は合わず、首をゆらゆらと動かしているだけの姿で描かれています。ですがやがて彼女は何かを見つけ出し、生気を取り戻して、戦う意志のこもったまなざしで正面を見据えます。この流れは、何者でもなかった自分が確かな目標を見つけ出した瞬間を示しているようにも感じられます。

 映像では、イゼッタが戦う姿と一緒に、主な登場人物の姿が次々を現れてきます。国も違えば地位も違う様々なキャラ達が物語に関わっているのがわかります。
 でも全員に共通しているのは、嬉しそうな満面の笑みを浮かべている人が1人もいない、という事です。口元に含んだ笑いを浮かべている人はいますが、それ以外は、お世話係のロッテでさえ、笑顔を見せていません(エンディング映像では笑っていますけれど)。
 この人達がいる世界は、怒りと憎しみ、恐怖と不安にあふれかえり、人が人の命を平気で奪う戦争のまっただ中です。エイルシュタットの兵士達だって、国を救うためとはいえ、ゲルマニア兵をいかにして根絶やしにするかという事ばかり考えています。

 こんな暗澹たる世界の中で、フィーネとイゼッタ、2人の女の子ができる事なんてどれほどのものだったでしょう。でも彼女達は、決してあきらめずに、仲間達の力を借りながら、目標へ向かって進んでいきます。
(こ こで気になるのは、オープニング映像の最後 背中合わせにイゼッタとフィーネが立っている場面です。2人の内、フィーネだけが倒れるように離れていく様子が描かれています。これは、フィーネが命を奪われてしまう、とかいう意味だったり? イゼッタにとって「希望」だったフィーネがもしこの世からいなくなったら、彼女はどうしてしまうのでしょうね。)

 第1話では、フィーネは、ブリタニア王国外務大臣と極秘の会談をしています。そこで彼女は、ブリタニアの王子に自分が嫁入りする代わりに、エイルシュタットに救援をよこしてほしいと持ちかけています。
 国のために自分から政略結婚を願い出るなんて、そう簡単にできるものではありません。公女としては立派な行いでしょう。
  この話題を切り出した時、フィーネは手に持っていた扇をぱちんと鳴らしています。この仕草は、彼女の心情を表している気がします。自分が口で言っている事は、国を救う方法としては間違っていない。でも胸の中では、1人の女の子として、望まない結婚なんてするのは嫌だ、と、自分でも気づかない内に叫んでいたのではないでしょうか。
 この作品では、こういう風にキャラの心情を表す演出があちらこちらに見られますね。ちょっとした動きかもですけれど、それが物語をよりドラマティックにしているように感じます。

(第1話では、例えばイゼッタ達と戦闘機との戦いの場面なども意味がありそうです。ダイナミックな絵の動きも見所でありつつ、戦闘機のパイロット達の心理も重みがあるのでは。
  作品の歴史が現実の時代設定に近いのだとしたら、この1940年頃は、飛行機が発明されてまだそれほど時間がたっていないと思われます。言ってみれば新兵器でしょうから、それに乗る事を許されたパイロット達はエリートなのでしょう。ゲルマニアでは科学技術が発達しているみたいですから、魔女の存在なんて誰も(皇帝のオットー以外は)信じていない事でしょう。
 そんな状態で、戦闘機よりも自在に空を飛ぶ、ライフルにまたがった2人の女の子を目の前にしたら、どう感じるでしょうか。今まで信じて疑わなかった世界が一瞬にして崩壊するような気持ちだったのではないでしょうか。
 作品的にも、あの戦闘シーンは、視聴者を一気に物語の世界に引き込むポイントのような気がします。イゼッタとフィーネ、この2人が物語の中心なんだと印象づけられる所なのでは。)

 第4話では、世界に魔女の力を示す宣言をする直前の、彼女達の振るまいが描かれています。世界中から記者達が押し寄せている場へ向かう前、2人は手をつなぎ並んで歩き出します。
 これから世界中をペテンにかけようとしている2人。彼女達はお互いに共犯者だという意識があるのかなと思えます。この後は、どんな事が起ころうとも、2人は一蓮托生。この戦いを切り抜け目的を果たしおおせるには、常に力を合わせ続けなければならないのでしょう。

 さて百合的には、、、近衛兵のビアンカからフィーネへの気持ちがちらほらとうかがえます。彼女はいつもフィーネのそばに仕えていて(第1話ではそばにはいられなかったようです)、公女の身辺警護に努めています。自分の国のお姫様をガードするのは彼女の任務ではあるわけですけれど、それ以上に、フィーネを慕っている感じがあります。第6話で、イゼッタに高貴な身のこなしを教え込むため、フィーネがダンスの模範を見せようとする場面では、フィーネの相手役になれるかもしれないと聞いて、ビアンカはとてもやる気になっています。他の男性陣にはこの役割を明け渡すつもりなんてない、といった感じです。
 もしビアンカとフィーネが、近衛兵と公女という関係でなかったら、どうなっているでしょう。ビアンカは自分の胸の内を隠す事なく、フィーネにアタックしていたでしょうか。

 そして、イゼッタとフィーネの関係も気になります。小さい頃に偶然会っていた彼女達ですが、イゼッタは最初にフィーネを見た瞬間から、その美しさに打ちのめされていたみたいです。その時からもう、彼女はフィーネの虜になっていたのかも。
  デモのこの場合、同じ立場というよりは、フィーネの美しさにひれ伏すような心情になっていたような感じがします。しかも、フィーネはエイルシュタットの公女、正真正銘のお姫様です。美しさでも、身分でも、自分とは比べる事すらおこがましいほどの差があると、イゼッタは思ってしまったのではないでしょうか。

 イゼッタは、小さい頃にも、フィーネを「ひめさま」と呼んでいました。成長して再会してからも、その呼び方は変わっていません。また、イゼッタは、「こんな私がひめさまと一緒にいるなんて」と、いつも自分を卑下するような言い方をしています。今まで誰からも振り向かれなかった彼女としては、こう考えるのが普通だったのかもしれません。
 フィーネの方は、もともと気さくな人柄で、ビアンカをはじめ国民達とも同じ目の高さで接しようとしています(国民達の方はかしこまってしまう場合が多いようですけれど)。特にイゼッタは、自分が日頃抱えている気持ちを素直に伝える事ができる数少ない(もしくはただ1人の)女性と捉えているように感じられます。

 2人は、再会してからずっと一緒に行動してきていますが、関係性はあまり変わっていない気がします。相変わらずイゼッタは、何かあるごとにフィーネと自分との身分の違いを意識している様子です。フィーネの方も、イゼッタを自分の国の戦いに巻き込んでしまって申し訳ないという意識が強いのか、あまり相手の胸の奥にまで踏み込む事はしていないようです。

 彼女達はこのままの結びつきで戦い続けていくのでしょうか。それともこの出来事を通じて、新しい関係を作り上げる事ができるのでしょうか。

 第6話では、フィーネが必死に救おうとしているエイルシュタットという国が、そこに住んでいる人々が、どれほど素晴らしくて愛すべきものなのかを、イゼッタは知りました。この経験で彼女は、フィーネを通してではなく、自分自身の気持ちとして、この国や人々を助けたいと感じたようです。

 でも、人々を大切に思うがあまり、イゼッタがフィーネを、またはフィーネがイゼッタを切り捨てるような事があってほしくない気がします。どうしても選ばなければならないのなら国を捨ててでも相手を助ける、と思えるぐらい、彼女達の間にある愛情が深いものであってもらいたいかもです。やがて国と人々を救えたなら、その時は晴れて彼女達2人でいちゃついていられれば素敵かなと思います。

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