レガリア The Three Sacred Stars 第1話~第9話
10月から放送が始まっているアニメ「レガリア The Three Sacred Stars」を見ています。今まで見ている中で百合的な部分について少し書いてみたいと思います。
エナストリア皇国に住むユイには両親はなく、今は姉のレナと二人暮らしをしています。2人は本当の姉妹ではありませんが、とても仲良く2人だけの時間を過ごしていました。ある日、外でユイと待ち合わせしていたレナの前に、彼女の知り合いのケイが姿を現します。
エナストリアの風景は、ヨーロッパ風の街並みが特徴ですが、電光掲示板などに出る言葉は日本語になっています。背筋を伸ばし腰を曲げてお辞儀をする作法も日本っぽいですね。
ユイがこの国の女王というのはちょっと驚きでしたけれど、国民からはとても慕われているみたいです。お忍びで町に出ても、彼女の周りにはすぐに人だかりができていつもにぎやかになってしまいます。
町にいる彼女のそばに、身辺警護する人が見当たらないのはちょっと物騒な気もします(そのせいか、ケイやヨハンは簡単にレナやユイに近づけています)。けれど、少なくとも国民の中には、ユイに危害を加えるような人は1人もいないのでしょう。または、実際にはSPが常に彼女を見守っているものの姿は決して見せない、とかなのかも。
少し気になっているのは、エナストリアの国民が、ユイとレナの関係をどう思っているのか、だったりします。王家に養子として迎えられたレナが何者なのか、国民にははっきりと説明されていないのではないでしょうか。ユイでさえ、レナがレガリアだった事を知らなかったのですから、国民から見たら、どこの誰とも知らない人間が、憧れの女王様の隣に当然のように収まっているのを、あまり快く思わない可能性もありそうです。
しかも、レナは、12年前にユイや先代女王と初めて会った時から、全く年をとっていないように見えます。ユイが親しげに「お姉ちゃん」と呼ぶ相手は、ユイよりもはるかに幼く、とても姉には見えません。
この、ある種の異様さを受け入れられるかどうか、という部分が、百合な女性同士の恋愛を認められるかどうかと重なってくるのかな、という気もしていました。が、実際のストーリーはそちらの方向へは行かなかったようです。
ユイ達がアーベルと2度目の戦いに臨んだ時、その様子を目にしたたくさんの国民は、声を上げてユイ達を応援しています。そこにある気持ちは、突如現れた赤い巨人(アレクト)が女王を包み込んでしまった事への驚きや恐れではなく、自分達の国を命がけで救おうとしている女王への感謝と忠誠のように感じられます。
また、ヨハンとの戦いで、専用機から飛び出して空中戦を仕掛けるユイ達の姿には、レガリアにまつわる様々な出来事への戸惑いや不安などは見られません。そういったしがらみを吹っ切って、女王として気高く戦おうとする勇ましさがある気がします。
そういったわけで、百合的な気持ちのやりとりは、(少なくとも今の所は)あまり強くないように思えます。ユイがレナを大好きなのは間違いないですけれど、それは「姉妹として」、という感覚なのでは、と感じられてしまいます。
他のカップル(?)については、サラとティアは本当の姉妹で、こちらもユイとレナっぽいかもしれません。イングリッドとケイには期待したい所ですけれど、どうなるでしょうね。
後は、ユイの友達のレツにも活躍(?)してほしいかもです。レツは、「かわいい女の子といちゃいちゃ」するのが大好きらしく、レナやサラ、ティアには完全にロックオンしています。後で会う事になるケイにも一目惚れみたいになっていますし、年上のイングリッドも守備範囲内っぽい?
でもこの場合は、恋愛というよりも、相手を愛でる気持ちの方が強いようです。レツ的には、とにかくかわいらしい女の子達を周りに侍らせて楽しんでいたい、という考えなのかも。
でも、ユイに対してだけはちょっと別の思いを持っているような気がします。最初の方のエピソードで、彼女は、ユイの女王としての悩みを聞いてあげています。
話し終わった後、心細そうにしていたユイが胸に飛び込んできた時、レツは思わずユイを抱きしめそうになりますが、必死に自分の手を引きはがして、ユイを明るく送り出そうとします。ユイの前から離れる時も、彼女は決して相手に顔を見せようとはしませんでした。
それぐらい、ユイへの気持ちが強いのかな、と思える場面ですね。その後特にレツからユイへの愛情表現はありませんけれど、他の子達とは違った、ユイだけとの間の親密なエピソードなど見てみたいです。
それから、レナからユイへの気持ちも盛り上がってもらいたいかもです。第1話でレガリア・ギアとの戦闘に巻き込まれようとしている時、1人になったレナは、ユイを思い浮かべて「大好きだよ」と言っています。
自分はこれから、レガリアのコアとしてアレクトになろうとしている。コアは年をとらない特別な存在だから、戦っても生き残れるかもしれない。けれどそうだとしても、アレクトになる事は、自分が「人間ではない」と改めて自覚する事。こんな自分が、これからもユイのそばにいて当然のように愛情を受け続けるなんてできない。レナはそう思ったのではないでしょうか。
ユイへ贈る最後の言葉。そのつもりで、あの時のレナは言ったのでは、という気がします。レナからユイへの深い愛が、百合な方向に発展していくと素敵かもです。
もう一つ、本作の楽曲にもポイントがあります。Minamiさんの歌うエンディング曲「Patria」の限定盤に付いているDVDのミュージッククリップです。
ドレスをまとったMinamiさんが歌う背景に、影絵で人の姿が浮かび上がります。曲の雰囲気を表すような、情熱的なフラメンコダンサーと可憐なバレリーナの踊りを交えながら、物語が描かれていきます。
登場するのは姉妹らしい2人の女の子。彼女達は仲むつまじく寄り添っていて、見つめ合ったり手をつないだりしています。
ある時、姉は妹の頭にティアラを載せてあげます。妹は嬉しそうにおしとやかなポーズをとって見せ、姉も喜んでいます。
そうして2人は楽しく暮らしていました。ですが、、、という展開になっていきます。後半はなかなか感動的です。
このミュージッククリップと本編とは、直接のつながりはなさそうです。けれど、本編のクライマックスがこのミュージッククリップと同じような流れになったり、みたいな事はあるでしょうか。
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