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2015年11月 9日 (月)

戦姫絶唱シンフォギアGX 第9話

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 テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」、第9話「夢の途中」です。

 響はまだ回復しきっていないらしく、検査のため医療施設でおとなしくしています。その分、翼達がキャロルの野望を食い止めようとしています。
(キャロルは第6話で命を落としたように見えましたが、実はそうではなかったらしいですね。ホムンクルスを作り出す技術で、自分の予備の体を作っておいて、必要になったらそれに乗り移るみたいな事ができるようです。たぶん彼女はそうやって、錬金術が存在していた大昔から生き延びてきたのかもです。)

 翼達は、相手のこれまでの襲撃パターンから判断して、次の狙いを絞り込みます。見つけ出したのは2箇所。一つは、聖遺物をはじめとした、人類の脅威になりそうな危険物を集め保管している深海の格納施設「深淵の竜宮」です。そこへはクリスと調、切歌が向かいます。もう一つ、地脈の流れを制御する「要石」へは翼とマリアが行く事になるのですが、それがあるのは、翼の実家でした。

 翼が実家へ帰るのは10年ぶり。彼女と父親とは、疎遠というわけではないのですが、シンフォギアを使った国土防衛の仕事に2人とも関わっているというだけで、顔を合わせても親子らしい会話をする事はありません。(確か以前のシリーズにも父親が姿を見せる場面がありましたが、そこでも淡々としたやりとりがあるだけだったように思います。)
 翼には、(本当の親ではないのですが)父親に認めてもらいたいという気持ちが、今もあります。その願いがどうなっていくのか、という所がここで描かれていきます。

 マリアは、翼と父親の関係について、まるで自分の事のように怒っていますね。よその家族の事情に口出しするのはあまりほめらる行動ではない、と、マリア自身もわかってはいるのでしょうけど、どうにも黙ってはいられなかったのでしょう。
 マリアが、妹のセレナとともにどのような家庭生活を送っていたのかはわかりません。でも、親子ならもっと仲良くしていいはずだ、という思いがあるのでしょう。
 それに、彼女は翼に対して、他の装者とはまた別の気持ちを抱いているのではないでしょうか。翼が苦しい表情を見せるのを、彼女はどうしても放っておけない、とか。翼にはいつも笑顔でいてほしい、みたいな事をいつも考えているのかもです。

 戦いの場面では、「翼」という言葉が象徴的に使われています。翼にとっては、この言葉は特別な意味を持っている気がします。自分自身の名前であるのとともに、奏と一緒に組んでいた歌唱ユニット「ツヴァイ・ウィングス」にもつながるものがあります。翼は、自分が「翼」である事によって、周りの女性達とのつながりを確かなものと感じているのかもです。

 響の方も、父親との間に葛藤があるようです。父親から何度も電話がかかってきている(たぶん未来が、2人の間を取り持って連絡先を交換させたのでしょう)ものの、響は話そうとはしていません。この関係がいつか変わる事があるのかどうか、その時響はどうするのか、というのが、この後描かれていくでしょうか。(父親がそばにいなくてもいいと響が言った時、一緒に語られていた理由がなかなかですね。「未来がいるから」と言われて、未来はときめいたりしたのでは? (でもその後すぐに、響は「皆がいるから」とも言っちゃってるんですよね。))

 さて百合テイストとしては、響と未来の場面もありそうでしょうか。病室で響が制服から検査服に着替える時、未来が手伝ってあげています。着替えるにはいったん制服を脱がなきゃなりませんし、未来は響のそういうプライベートな所もばっちり見ちゃっているのでしょう(まあ彼女達はいつも一緒にお風呂に入って同じベッドで寝ていますから、見ようと思えばいつでも見られる?)。
 着替えの位置関係も面白いですね。普通だったら向かい合ってする感じでしょうけれど、彼女達はベッドに隣り合って座って着替えをしています。その距離もかなり近くて、肩や腰が触れあいそうなほど。この近さが、彼女達の仲の良さを表している気がします。

 未来が、病院で響にかいがいしく付き添うのには、理由があるのかもしれません。それは、怖いから。前シリーズで、聖遺物に侵食された響には、命を落とす危険がありました。響が戦いを続ける中で少しでも体調を崩すと、彼女の頭の中にはあの時の恐怖と不安がよみがえるのでしょう。
 結局あの時のピンチは乗り越えて今でも元気に生きてるんだから大丈夫、なんて考え方は、未来にはとてもできないのではないでしょうか。あの時響の命の火が消えかかったのは事実ですし、そのまま響を永遠に失ってしまうかもしれないと感じたのも本当でした。

 それに、響がこれから先、戦って命を落とす危険性も十分にあります。あの時感じた恐怖が、現実のものには絶対にならない、とは言えないのです。

 響は、「へっちゃら」と言います。でもそれは響がそう言っているだけであって、未来にとっては響が無理をしているようにしか聞こえません。戦う事で響が傷つき、苦しむという事実は一つも変わっていません。

 前にも少し書きましたように、第2期の第13話で、未来は「響が戦わなくてもいい世界」を願いました。でも今、そんな世界は全く見えていません。ここで未来が、響のために何をできるのかが気になります。

・「戦姫絶唱シンフォギア」レビューリストレビューセンター

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