OVA「ゆるゆり なちゅやちゅみ!」
劇場でのイベント上映やテレビ放送も行われたアニメ「ゆるゆり なちゅやちゅみ!」を見てみました。
最初の場面は、何か妖しげな雰囲気のごらく部の部室です。アメコミ調に描かれたあかり、京子、結衣、ちなつが、英語でワイルドな会話をしています。やがて警報が鳴り響き、彼女達は出撃の準備を、、、? という所からオープニング映像につながっていっています。
アメコミ風な濃いタッチであかり達が描かれる事は、原作コミックでもたまにあります。このOVAでは、作画のスタッフが一新されたのを印象づけるためにこういう描き方をしている? 前の作画と比較されるのを少し回避する意味もあったりするのかもですけれど、そうしなくても、今度の絵柄は、テレビアニメ第1期、第2期や、原作コミックとも割と近い雰囲気が出ている気がします。
それで本編の方は、夏のごらく部室から始まります。暑さに参っている京子達が部室の意志入れをあさっていて、キャンプ用品を見つけ出した事から、皆でキャンプに行こうという展開になっていくのですね。また、綾乃がしょっちゅう部室に出入りしているのがきっかけで(?)、生徒会のメンバーも一緒に行く事になります。
このキャンプのストーリーは、原作にはないオリジナルとなっています。でもあちこちに原作からのちょっとしたエピソードが入っていて、原作のイメージが感じられるのではないでしょうか。
また、第2期からしばらくたってからの単発のOVAという事もあってでしょうか、これまでのキャラが総登場しているのも特徴ですね。スピンオフコミック「大室家」のキャラを除いても20人近くいます(すべて女性です)から、それをストーリーに絡めていくのはなかなか大変な作業だったかもです。ミラクるんとかは、ラッピング電車やその車内アナウンスなどで存在感を出しているようです。
物語では、あかり達がキャンプに向けて準備をしたり、電車での移動でハプニングがあったり、到着したキャンプ場で料理を作ったり遊んだりなど、様々な出来事が描かれていきます。ギャグな場面も挿入されつつ、全体にはコミカルで暖かく「ゆる」やかな印象になっている気がします。
本作については、個人的には劇場での上映もパッケージ版もテレビ放送も見ています。劇場で見た時はかなり観客数が多かったように思います。最初は普通に見られるだろうと考えてふらりと映画館に立ち寄ったのですけど、少し早めに行ったものの満席になっていました。ちょっと落ち着こうと、1週間後に改めてトライした所、さらに早めの時間帯に劇場に行ってもぎりぎり残り3席という状況で、何とか見られた、といった感じでした。この作品はそれぐらい人気がある、という事なのですね。特別編「なちゅやちゅみ! +」の後は第3期「さん☆ハイ!」もありますし、作品としてもますます盛り上がっていくと良いかもです。
さてでは百合的にはどうかというと、やはりそれほどたっぷりという感じでもないでしょうか。一番わかりやすいのは千歳の妄想ですけれど、これもアニメ第1期の百合度と比べてしまうとおとなしめなのでは。
りせと奈々は綾乃達を自動車で送ってきてくれていましたけれど、同じキャンプに参加はしませんでした。それなら何を、と思ったら、2人きりでキャンプ? 「爆友」の彼女達らしい状況にはなっていたみたいですが、2人だけでいたのなら、人目を気にせずいちゃつけていたかもしれません。その辺りの様子がこの後描かれていくと面白そうです。
キャンプに参加していない人達の方でも少しエピソードがあるようです。ちなつの姉のともこは、同級生のあかねが、妹のあかりが出かけていて寂しいのではないかと考えたみたいです。あかねの家にお泊まりする準備をきっちり整えて電話をかけていますが、あかねとしては自分のコレクション(?)に囲まれていたため、ともこの申し出は受けないつもりだったらしいです。
この時あかねは「寂しくない」と言っていますが、そばにあかり本人がいない以上、寂しくないわけはない気がします。なので、「寂しいけど今は大丈夫」みたいに言ってもらえると、彼女の気持ちをよりきちんと表せるようになるのかなとも感じます。
この他、ちなつから結衣への愛情は変わらずに強いですね。ちなつは一生懸命結衣にアピールしていて、結衣もちなつをかわいらしいと思ってはいるのですけれど、例えば駅でちなつが持ち出した手作りの熊よけの鈴のように、センスの違いがあってなかなか近づけない、という可能性はありそうです。
一方で京子と結衣は、幼なじみなだけあってお互いわかり合っている感じです。結衣が虫嫌いなのを知っている京子はさりげなく彼女を助けたりしています。また肝試しの時は、驚いて走っている時のテンポが全く一緒で、しかも手までつないじゃってますね。彼女達の関係はかなり安定しているのかもです。
同じ肝試しに参加した幼なじみでも、向日葵と櫻子の場合はちょっと事情が別になっています。驚いた櫻子は急に走り出し、運動が苦手な向日葵を置いてさっさと1人で逃げて行ってしまいました。
ここはもう少し、櫻子にかっこいい所を見せてもらいたいですね。しかも向日葵限定で。いったんは逃げ出してしまったものの、向日葵がいない事に気づいた櫻子が、怖いけれど難関を乗り越えて向日葵のいる場所にたどり着き、ぼろぼろになりながら彼女に手を差し出す、とか。
原作コミックでは、ゆるやかなエピソードがかたられる中、時々急に、切なさを含む百合な関係が描き出される事があるように思います。そういった要素が、アニメ版でも取り入れられていくと良いように思います。
別の場面での向日葵と櫻子は、お互いに自分の嫌いなにんじんとピーマンを相手に食べさせたりしています。こういう所から発展するちょっとしたいちゃいちゃとかもあちこちの場面で見られるようになると素敵ですね。
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