結城友奈は勇者である 第12話
テレビアニメ「結城友奈は勇者である」、第12話「貴方に微笑む」です。
勇者となって戦い、たとえ体の機能を失い続けてもバーテックスに立ち向かわなければならない友奈、美森、風、樹、夏凛。こんな状態で彼女達はどうなってしまうのだろうと思っていたのですけれど、ここでのまとめ方はかなり力技なようにも感じられたりします。
園子が以前言っていた所では、「西暦の頃」に人類が滅ぼされかけて、今の大きな結界が作られたようで、たぶんその頃から、攻めてくるバーテックスを迎え撃つために、「勇者システム」が作られたのでは、と思われます。友奈達の時代は「神世紀300年」だそうなので、もしかしたら300年の間、このシステムが続けられてきたのかもしれません。
その間、何回ぐらいバーテックスの襲撃があったのかはわかりません。けれど、友奈達以外の勇者の女の子達(乃木園子や三ノ輪銀もそうでしょう)が、神に供物を捧げながら、命を落とす事も許されず、戦い続けてきたと考えられます。
この話数の後半の場面で、園子らしい女の子の姿が少し描かれています。あの様子からすると、彼女も友奈達と同じような状況になったみたいです。
もしそうなら、これまでの300年の間に生き続けてきた他の勇者達も、同じ事を経験するのでしょうか。でもたとえ解放されるとしても、何百年もたった世界に、勇者の力を失った状態で急に放り出されるのが、果たして良い事なのかどうかは、何とも言えないように感じられます。
勇者達が供物を差し出さなくてもよくなった理由も、あまりはっきりしていないようです。供物をもらわなくてもやっていけるのだったら、最初からそうしておいた方が、勇者達も苦しまずに済みそうですし。あるいはバーテックスに大きな打撃を与えたから必要なくなった、という事だったりするのかもですけれど、まだまだ友奈達の世界は予断を許さない状況らしいです。急に供物が必要なくなったのなら、反対にまた急に供物を要求されるようになる可能性もありそうですし、何だかちょっと落ち着かない雰囲気でもあります。
どんなに恐ろしい経験をしても、戦いの幕が下りれば、また普通の生活に戻る、という流れは、どこか演劇の役者にも似ている気がします。後半の場面で演劇の場面が出てくるのも、実はその辺りを言い表そうとしている、というのは考えすぎ、かな?
人々は友奈達5人に大きな拍手を送っています。これはたぶん、彼女達の勇者としての姿勢に感動し、賞賛しているのでしょう。
一般の人達は、自分達の住む世界の裏側で何が起きているのかは全く知らないようです。だから、友奈達がどんな思いで世界を救おうとしていたのかも知らないはず。それでも、彼女達が、皆のために全力を尽くす姿勢を持っているのがわかったから、あれだけの喝采を送ったのでしょう。友奈達も、この世界は救うに値する、と感じたのではないでしょうか。
という感じで百合的には、あまり大きなものはなさそうでしょうか。友奈と美森、風と樹の関係でもうちょっと何かあると良かったかもです。
ピックアップしてみると、例えばこんな所でしょうか。力を使い果たしてしまった友奈が、いつか戻ってくると(あるいは彼女の寿命が尽きるまで力が回復しない可能性もありそうですけれど)わかっていても、美森は悲しくて仕方ありません。出会ってからずっと一緒だった彼女と一言も言葉を交わす事ができないのが寂しくてたまらない、美森はそれだけ深く友奈を思っているのかも。
友奈が食べ物を味わう場面では、うどんではなく是非美森のぼた餅を食べてほしかったような。うどんは勇者部の皆に共通の好物ですけれど、ぼた餅は、友奈と美森にとって特別な食べ物なのでは、と思われます。
後は、戦いの後、生気を失っていた友奈が美森の前に戻ってくる場面とかでも、少し別の展開があると2人の関係が盛り上がりそうな気もします。例えば、力が戻った事を声で伝える様子は、樹が既に見せていますから、他の要素も入れてみるとか。
友奈の隣に座って号泣していた美森が、突然泣くのをやめる。ゆっくり自分の手を見ると、そこに友奈の手がそっと添えられている。思わず見上げると、生気を取り戻した友奈の瞳が、瞬きをしながら優しく美森を見下ろしているのが見える。次いでアップになった口がたどたどしく動き、美森の名前を呼ぶ。そしてその口元に微笑みがこぼれる。、、、なんて流れになっていると、友奈が一つ一つ力を取り戻しているのがわかり、また美森も友奈に触れてもらえて、うれしさがこみ上げてくるのでは、とも思えます。
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