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2014年11月20日 (木)

映画「思春期ごっこ」

 劇場用実写映画「思春期ごっこ」を見てみました。この作品は、倉本雷太さんが監督で、青山裕企さんが同じタイトルの写真集を発行されたりしています。
 また主人公の蓮見鷹音(はすみたかね)役は未来穂香さんが、辻沢三佳(つじさわみか)役は青山美郷さんが担当されています。穂香さんというと、実写版の「マリア様がみてる」で福沢祐巳役を担当されていますね。

 ストーリーは、女子校に通う2人の中学生、鷹音と三佳を中心に進んでいきます。絵が得意な鷹音は、放課後になるといつも三佳をモデルに絵を描いています。三佳は本好きで、彼女が本を読んでいる姿を、鷹音が描く、というスタイルが、彼女達の間では普通になっているようです。
 自分のしたい事をしながら、2人は一緒に同じ時間を過ごしています。充実した気持ちをお互いに分かち合える事が、彼女達にとっては嬉しいのでしょうね。

 そんな時に、鷹音は「キス」の話題を持ち出します。他の友達とそういう事を話した、みたいな触れ込みでしたけれど、彼女は三佳に、自分達でキスをしてみないかと持ちかけています。

 何となくですけれど、ここでの鷹音は三佳に対して恋愛感情を持っていない、または持っていても気づいていない状態なのかな、とも思えます。鷹音は、キスをしてみたい気持ちになっていて、相手は誰がいいか想像した時に、三佳しか思い浮かばなかった、とか。女の子同士でしていいものなのかどうかわからないし、そんな事を言っていいのかもわからないけど、三佳なら少なくとも相談に乗ってくれるのでは、と考えたのではないでしょうか。
 という考えもあるのですけれど、本作の前日譚として描かれているDVD作品「水色の楽園」では、鷹音が三佳に好意を抱くようになるきっかけが描かれているとも言われているようで、そうなると本作では最初から鷹音は三佳を愛している事になりそうですね。個人的に見てみた感じでは、そこまではっきりしたエピソードはなさそうに思えたのですけれど、実際の所はどうなのでしょう。

 その頃三佳が読んでいた本は、花岡奈美江の小説「思春期ごっこ」でした。奈美江は鷹音達の学校の卒業生で、この小説も中学生の時に執筆したものなのだそうです。賞をもらったほどの名作で、自分も本を書きたいと思っていた三佳にとって、奈美江は憧れの存在になっていきました。
 ところがある日、街の図書館で、三佳は偶然奈美江に出会います。奈美江はその図書館に勤めていたのでした。
 三佳は大喜びしますが、奈美江の方はあまり良い表情を見せません。実は「思春期ごっこ」以降彼女にはヒット作がなく、今は全く小説を書いていないようです。

 ここから、奈美江が目の前に現れた事で、鷹音と三佳の関係が変わっていくのですね。2人の間には何かとすれ違いが多くなり、鷹音は言葉に出せない思いを募らせていきます。
 が、この流れで鷹音と三佳、2人の間の出来事が集中的に描かれていくのかなと思ったのですけれど、意外に奈美江も存在感を出しているような。過去の栄光から逃れようとしているのに周りは放っておいてはくれず、そのためついには良くない事に手を出しそうになったり、と、彼女の内面もかなり荒れ模様になっているんですよね。作品的には、もがいている大人の心情よりも、中学生の女の子達の繊細なふれあいを多く描いてもらいたい気もするのですけれど、なかなかそういうわけにはいかないのでしょうか。

(それと、奈美江は中学生の頃に小説を書いたり、同性に憧れる経験をしたりしていたらしく、その点では鷹音や三佳と似ているとも言えそうです。そう考えると、奈美江は鷹音達の未来の姿と捉える事もできそう、なのですが、その奈美江がほめられない事をしてしまうとなると、鷹音や三佳の将来に希望が持てなくなってしまいそうです。けれどまあそこはあまり深く考えなくても良いのかもです。)

 夜のプールの場面で、鷹音は三佳に自分の気持ちを激しくぶつけています。その時鷹音がああいう格好をしていたのは、自分の抱えるみっともない気持ちをさらけ出そうと考えたからなのかもしれません。けれど、彼女の思いは、そこまで卑下するようなものではないようにも感じます。受け入れられるかどうかは別としても、慕う気持ちをありのままに伝えても良いのかもしれません。

 百合的には、夜のプールの場面で鷹音が三佳にした事がポイントになりそうです。けれど、映像としてはあまりはっきり描かれていないっぽいですね。これも演出なのかもですけど、もう少しドラマティックなのもありかなと思ったりもします。

 それから、小説「思春期ごっこ」のストーリーが場面として描かれる部分が幾つかあります。モノクロでせりふも聞こえないのですけれど、けっこう百合な雰囲気が出ている気がします。この小説の内容を描くようなスピンオフ作品とかあったら面白そうですね。

 中学生や高校生の頃は、ちょっとした事で友達関係が変わったりするのはよくありますよね。関係が壊れてそのままになる場合もありますし、また前のように親しくなれる場合もあるでしょう。
 鷹音と三佳がどうなっていくのかというと、それほど悲観的ではないような気もします。(何しろ三佳はああいう百合テイスト小説のファンになるぐらいですから素質はありそう?)鷹音と三佳、2人の胸の中には、お互いの姿がいつでも輝かしく見えているのではないでしょうか。作品としては、彼女達の関係にもっと希望が持てる所まで踏み込んでも良いかなと思ったりもします。

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