悪魔のリドル 第12話
テレビアニメ「悪魔のリドル」、第十二問「故に、世界は□□に満ちている」です。
晴に暗殺の予告票を突きつける兎角。あまりの出来事に事態が飲み込めない晴に、兎角はためらわず襲いかかります。
前回第11話を見ていて少し気になっていたのは、兎角がどうやって予告票を用意したのか、だったりします。彼女は第2話で、晴の守護者になると宣言した時に予告票を破り捨てています。
黒組に残っている予告票は鳰のものだけです。だとしたら、、、? という想像が働く所で、現れたのは、もう1人の兎角。いったい何が起きているのか兎角本人にもわからない状況でバトルが繰り広げられていく展開というのも白熱しますね。
でも何があったとしても、最後には兎角と晴は向き合わなければならないようです。お互い相手に刃を突きつけて。
兎角は、どうしても証明したかったのでしょう。自分が晴の守護者になったのは、晴の「プライマー」としての能力のせいではない、と。彼女が選んだのはとてもつたないやり方ですが、今の彼女にはこれしか思い浮かばなかったのかもしれません。
もし晴が勝てば、彼女の能力は立証される事になります。晴自身は黒組を卒業して普通の生活を送りたいと願っていましたが、「一族」の中でプライマー、「女王蜂」として生きていく事を強要されるのでしょう。
もし兎角が勝てば、黒組のルールに従って、彼女は望みの報酬をもらえる事になります。同時にそれとは別に、彼女が晴の守護者になったのは自分の意志だと立証されるわけです。
つまり兎角は、晴に惹かれたから、晴を救おうとした、という意味になるのですね。そこが、前回の記事にも書きましたように百合なポイントになるのですけれど、でも兎角が勝つのなら、晴は暗殺されてしまいます。
一族の継承という大きな儀式と、女の子同士の愛の証明、この2つが重なる重大な瞬間が迫っています。果たして結果はどうなるのでしょう、といった所が前半で描かれていきます。
晴が女王蜂になれるかどうかについて、今度の黒組の主催者でミョウジョウ学園の理事長、百合目一は、こうなってほしいみたいな思惑は特に持っていないように見えます。晴が女王蜂になれないと一族が崩壊する、というわけでもないですし、プライマーがまれにしか表れない資質だとしても、他の候補者が見つかればまた黒組を作ればいい、ぐらいに思っているのかもです。
晴の能力はかなり高いらしいですが、それでも彼女は黒組を卒業したら、女王蜂にはならず平凡な暮らしをしたいと望んでいました。目一にしてみれば、そんな寝ぼけたような事を言う晴には、この役割は向いていない、とうすうす感じていた、とも考えられそうです。
いずれにしても、儀式をクリアできるかどうかではっきり決着がつく。目一はその役割をそつなくこなすだけなのでしょう。その結果、能力の高い晴が一族の監視下から離れても、別に脅威にはならない、それぐらいの余裕が、一族にはあるのかも、と思えます。
この他に、晴や兎角を見守っていた大人達が2人います。溝呂木先生は、最初は気配を感じさせずに兎角の後ろに立つなど、ただ者ではない様子でもありましたが、実際には普通に担任教師でした(気配を感じさせなかったのは、もともと殺気を持っていなかったからなのかも)。
17学園のカイバ先生は、黒組の事情についてかなり詳しい所まで知っていて、その上で兎角を追い立てるような「リドル」を仕掛けていました。この人も黒幕の1人のような雰囲気ではありましたが、実の所は生徒を成長させる1人の教師、といった位置づけのようにも見えます。
この作品での男性陣は、女生徒達の物語にはあまり大きく関わってきていない感じです。その分、女の子達の生き様がたっぷりと描かれているのではないでしょうか。
ではその黒組の生徒達は、どうなったのでしょう。彼女達の中には、生活環境があまり変わらない人もいれば、大きく変わった人もいます。また、生きていくための考え方も、今まで通りの人もいれば、一歩踏み出す事ができた人もいるようです。彼女達は様々な人生を歩もうとしていますが、共通して言えるのは、それぞれの女の子らしい、生き生きとした表情を見せている事なのかなという気がします。
走り鳰は、学園に復帰しています(たぶん兎角が手加減したのでしょう)。彼女は、「葛の葉」の名前を捨ててまで従うほど尊敬する目一に、これからもついていくのでしょう。
英純恋子は家に戻って元の生活を取り戻しています。周りはまだ彼女に「女王」でいる事を求めているようですが、彼女自身は、1人の女性として生きる楽しみを見つけ出しているみたいです。
首藤涼は、変わらず自分だけが時の止まった世界で過ごしています。けれど、それをもっと前向きに受け止め、未来へ進もうとする気持ちになっています。
寒河江春紀は、自分の持ち前の腕力を生かした仕事を始めています。地道ではあるかもですが、暗殺に頼らずに、手を血で汚さずに家族と暮らしていこうと決めたようです。
神長香子は、黒組の報酬で得られなかったものを、自分自身の手でつかもうとしています。そうするのは、自分のせいで命を奪ってしまったイレーネ先輩への思いもあるからなのでは。
武智乙哉は罪を償っていますが、反省する様子は全くないみたいです。この後兎角に会ったら、「私が出てくるまで晴をずっと守ってなさいよ!」なんて言いそうでしょうか。
犬飼伊介は義理の両親との生活に戻っています。両方とも男性のパパとママとは、暗殺で結ばれた絆ですが、彼女にとってはそれが普通なのでしょう。
剣持しえなは、暗殺を仕掛ける前にステージアウトさせられたため、不満がたまっている様子。彼女は一族の秘密を暴く事ができる?
番場真昼は、穏やかな笑顔を浮かべ、1人で風に吹かれています。晴や兎角との出会いが彼女を変え、真夜に頼らずに生きていく決心をさせたのかもです。
桐ケ谷柩と生田目千足は、、、一緒にいますね。まだ完全に体調を取り戻していない千足に、柩はかいがいしく尽くしています。
千足にとって柩は、恩師の娘の命を奪った仇、でした。でもその事実を知る前に、千足は柩に出会ってしまいました。
このまま柩と一緒にいる事は、恩師への裏切りでしかありません。けれどどうしても彼女を遠ざけられないのは、彼女への思いが強いからなのではないでしょうか。
柩も、気持ちは同じのようです。これまで自分がしてきた事を悔い改めたいと願っているのでは。彼女達は、ずっと寄り添っていられる「資格」を持つために、一緒に苦難に立ち向かっていくのでしょう。
そして、東兎角と一ノ瀬晴は、ミョウジョウ学園の前で待ち合わせをしていたようです。晴の言い方からすると、これからクラスメイト達に会いに行くのでしょうか。
黒組のルールによれば、報酬を受け取ったのは兎角なのかなと思うのですけれど、いったい何を手に入れたのでしょう。彼女が私服姿だという事は、彼女の母親や叔母が望んでいた事が実現したのかもしれません。
「彼女達の黒組」はもうありません。兎角と晴は、晴れて自分の思う通りの生き方ができるようになるのでしょう。
兎角も自分から晴への思いに気づいているでしょうから、ここからはもう2人で百合なふれあいを全開させていくのでは、とも思ったのですけど、この場面ではそこまではいっていないような。腕を組んで歩くぐらいだったら第9話で既に見せていますし(というか第7話ではキスもしちゃってますし)、それ以上のものを期待したい所ではあります。そんな場面がこの後描かれる事はあるでしょうか。
(この作品では、13という数字が一つのキーワードになっていますので、話数も13になるのかなと思っていたのですけれど、テレビシリーズはこの第12話までみたいです(そういえばオープニング曲「創傷イノセンス」の間奏で語られている「リドル」も「第十二問」までだったような)。その代わりというか、12/17にリリース予定のブルーレイ&DVDの第7巻にはテレビ未放送のエピソードが収録されるそうです。黒組のメンバーが全員登場するらしく、そこには百合なエピソードはあるでしょうか。第12話のエンディング曲「QUEEN」では、香子と涼、純恋子と真昼ががちょっとふれあいを見せています。兎角と晴、柩と千足の他にも期待できそう?)
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