悪魔のリドル 第3話
テレビアニメ「悪魔のリドル」、第三問「赤くないのに赤いのは?」です。
前回第2話で「裏オリエンテーション」が行われ、晴の暗殺が正式に解禁されました。いつ予告状が彼女に送りつけられるかわからないため、兎角は他のクラスメイトにかなりにらみをきかせています。
でもこの辺りの彼女の振る舞いが、何というか学園百合もの的な空気を感じさせます。兎角の言葉がまるで、他の子と話さないで、いつも私と一緒にいて、と言っているみたいなんですよね。周りの子達に嫉妬している女の子のように思えてしまったり。(裏オリエンテーションの時に「一ノ瀬には指一本触れさせない」と言った時の気持ちも、これと似ているのかも。)兎角本人としては、晴の命に関わる重要な事なのでつい反応が鋭くなるのですが、何だか和んでしまう場面のように思えます。
そんな(?)兎角の気持ちをよそに、晴は彼女独自の考えで行動しています。彼女にとって無事に黒組を卒業するのが一番の目標なのですが、できればクラスの生徒全員と一緒に卒業したいと思っているようです。
自分以外暗殺者ばかりのこのクラスでそんな事ができるのでしょうか? 晴は、皆と友達になって暗殺をやめさせればいい、と考えていました。
どうしてそう思ったのかというと、兎角の存在も一つの要素だったのかも、という気がします。彼女は晴に「寝返って」、暗殺するのをやめ晴を助けようとしています。それができたのだから、他の暗殺者である女の子達も同じように仲間になってくれるのでは、と晴は考えたのでしょう。
ここでまた、学園百合っぽいシチュがあるような。兎角としては、自分だけが晴のそばにいて、自分だけが彼女を助けるんだと決意したのでしょう。けれど、肝心の晴は、兎角と他の女の子達とを同じ立場に立たせようとしているようにも見えます。この時兎角がどんな風に感じていたのかが気になります。気になっている女の子から特別に思われていない寂しさがあるのだとしたら、そこから百合的に発展する可能性もあるのかも。
兎角が晴の「守護者」になった事は他の暗殺者達全員が知っていますので、最初に予告状を送った武智乙哉も、兎角を晴から引き離す事を優先させました。乙哉の「嘘」に引っかかってしまった兎角は彼女の思うつぼにはまってしまいます。
これであっさり勝負はついたか、と思われたのですが、一筋縄ではいかないようです。前回でも描かれていたように、晴は薬物への耐性があるそうで、乙哉の罠も完全には決まらなかったようです。さらにそれだけではなく、晴は逃げ延びるすべも、反撃するすべも心得ていたのですね。
兎角や乙哉、犬飼伊介は、晴の(傷はともかく)体つきから、命のやりとりをする厳しい場所にいた人間ではない、と判断していたようでした。でも実際にはかなりの腕前の持ち主のようです。このように相手を油断させるのも、晴がこれまで生き抜くために身につけてきた特性なのかもしれません。
組織に所属し、訓練された暗殺者の場合、ターゲットを確実に仕留めるためには、前もって十分な調査を行うのではないかと思われます。できるだけ危険を排除し、確実に、しかも効率よく命を奪うために、相手の特徴や弱点を調べ上げてから、計画を立てて仕事にかかるのでしょう。
乙哉がそうせずにすぐに予告状を送ったのは、彼女が「プロ」ではなく、快楽のためだけに人の命を奪う殺人者だったから、なのかもです。残りの生徒達がどういうタイプの人間かはわかりませんけれど、晴の特性に気づけなければ暗殺を成功させる事はとても難しいのでしょう。(晴の前には兎角もいますからね。)
本編でちょっと気になったのは、カイバ先生の出す問題がかなりタイムリーだった事、です。まるで乙哉が最初に暗殺を仕掛け、兎角を遠ざけるために嘘をつくのを見越したかのような出題だったもので。
こうなると、カイバ先生が影で糸を引いているのでは、とも思えてくるのですが、どうなのでしょう。それとも単に物語の語り手としてキーワードを出しているだけ、とかなのかな。その辺りがよくわかりませんでした。
それと、エンディング曲も ちょっと気がかりです。毎回曲が変わるのが特徴で、この第3話は、乙哉の歌う「concentration」が流れています。でも本編の方で本人が戦いに負けステージアウトさせられてしまっていると、エンディング曲でのすごみが少し弱まってしまうような気もしたりします。これからもし兎角と晴が毎回1人ずつ暗殺者を退けて、そのキャラがエンディング曲を歌っているとしたら、何となくやりきれなさも感じてしまうかもですけれど、そこはどうなっていくのでしょう。たぶんそんな単純ではなく、ドラマティックな選曲になっていくのでしょうね。
本作は、高河ゆんさんの原作、南方純さんの作画で月刊Newtypeに連載中のコミックを原作としています。が、この第3話では既に原作の最新第2巻のストーリーに突入しちゃっています。コミックとアニメは同時進行で制作されているらしく、今出ているコミックを見ただけではアニメの行く末はわからないのでしょう。
それに、アニメでのエピソードは、コミックとはちょっと展開が別になっているみたいです。もしかしたら原作コミック版とアニメ版、2通りの楽しみ方でこのアグレッシブな物語を見ていけるのかもしれません。
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