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2013年12月25日 (水)

ドキドキ! プリキュア 第44話

 テレビアニメ「ドキドキ! プリキュア」第44話「ジコチューの罠! マナのいないクリスマス!」です。

 クリスマスに行われるパレードを見るために、皆で街へ出かける計画を立てるマナ、六花、ありす、真琴、亜久里。特にマナはクリスマスが大好きらしく、ツリーに飾り付けをしまくって今からテンションが高くなっています。
 そこへ一つの案内が届けられます。内容はスピーチコンテストへのお誘いで、優勝者は「キング オブ 生徒会長」の称号をもらえるのだとか。

 これを聞いたマナはたちまちやる気になっちゃってますね。しかも、「キング オブ 生徒会長」になる気満々です。
 マナは、普段は、困っている人を見かけると放っておけなくて、自分を犠牲にしても人助けを最優先してしまう女の子です。でもここでは、自分自身の望みに向けて突進しようとしています。もしかしたらマナって、他に優先すべきものが何もない時は、こんな風に自分の野望を満たそうとするキャラだったりするのかもですね。

 まあそれはそれとして、コンテストの方は実はジコチューの罠でした。マナを六花達から引き離すために仕掛けられたものなので、コンテストの時間はパレードの時間にぴったり合わせられています。そうとは知らずに1人で会場へ向かったマナは、ピンチに陥れられてしまうのでした。

 という流れの中で、マナと六花の関係が愛情たっぷりに描かれていますね。またそこにレジーナも加わって愛の言葉が飛び交っています。
 プリキュアシリーズでは、残り10話ぐらいになってくると、強大な闇の勢力が解き放たれたり、地球が危機に陥ったりなど、決着が近づく展開になってきます。その分、女の子同士のデリケートなふれあいが少ない、というかほとんど見られなくなってしまう気がします。
 でも今度のシリーズでは、第44話でこういうエピソードがあるのが素敵ですね。戦いはどんどん激しさを増していくでしょうけれど、女の子同士の暖かな愛情のやりとりこそメインにして感動的に描いていってもらいたいように感じます。

 六花は、コンテスト会場へ行ってしまったマナの代わりに生徒会の仕事を手伝う事にします。マナと離れて寂しくないのか、と、ラケル達から聞かれても、六花は気丈に振る舞っています(マナ本人から尋ねられた時は「全然」なんて答えてます)。お互いの夢(マナは総理大臣、六花は医者)を考えると、いつまでも一緒にいられるわけではない、と彼女は言います。離れていてもそれぞれちゃんとやっていけるようにならなきゃ、と考えているようです。

 ところが生徒会の仕事をしていても、つい思ってしまうのはマナの事ばかり。自分では気づいていないのかもしれませんけれど、真琴達には丸わかりなのですね。マナと六花はいつでもお互いを思い合っているのをわかっているし、それに2人はいつでも一緒にいるべきだとも考えているのではないでしょうか。

 これまでにも六花は、第10話でラケルから「六花はマナの奥さん」と言われていました。周りの仲間達は、もうほとんど出会った最初の頃から、2人の関係を理解していたとも言えそうです。
 それに対して六花は、「えー?」なんて曖昧な返事をしていました。この話数になっても、「六花の頭はいつでもマナの事でいっぱい」とか、2人の間にあるのが「愛」だと言われて、反応はしていましたが、その考えを受け入れてはいない感じでした。

 では結局このまま、六花は、マナと自分が抱いている感情が何なのか理解せずに中学時代を過ごし、その後場合によってはマナと離れて別々の人生を送る事になるのでしょうか。いえ、そうではないのですね。周りの誰かから言われるのではなく、自分自身の経験から、六花は2人の関係に気づいていきます。

 六花は、生徒会の仕事が行き詰まってどうしたらいいかわからなくなった時、マナが残していったメッセージに気づきます。メッセージの中でマナは、六花が悩んでいる状況をまるで手に取るようにわかっていて、仕事の手順を教えるばかりではなく、食べ物も用意してくれています。
 でも完璧なサポートだけじゃないんですよね。自分の失敗で溜め込んでしまった書類の処理を肩代わりしてほしいと、マナはお願いしています。メモの最後に書き加えられている「愛してる」の言葉は、第11話の時にマナが言っていたものと同じですね。

 このメモを見て、六花はわかったのではないでしょうか。自分はいつもマナを支えているし、マナも自分の事を見守っていてサポートしてくれる。そうするのは、お互いに相手が放っておけないから、なのだろう。けどそれだけじゃない。いつでも2人で、つらさを分け合い、喜びも分かち合っていたいからなのではないか、と。
 マナの方も同じ思いでいるのではないでしょうか。現に、マナのメッセージには、他の生徒会役員の事は一つも書かれていません。マナが一番に思うのは、いつだって六花なのですね。

 そして六花の口から出たのは、マナへの「愛してるよ」の言葉でした。ここで彼女は初めて、自分がマナに愛情を抱いている事を、真正面から受け入れたように思えます。

 今までは、お互いの夢に向けて相手を縛りたくない、という気持ちがどこかで働いていたのかもしれません。でもそのせいで愛情から目を背けるのがどれだけくだらない事なのか、彼女は理解したのではないでしょうか。それに、女性総理大臣と女医が一緒にいちゃいけないなんて決まりはどこにもないですよね。2人で夢を叶えながら、寄り添っていく事だってできるのではないでしょうか。お互いに愛情を交換し合いながら。

 というエピソードがとても素敵な話数になっていますね。さらにこれだけではなく、この話数ではレジーナとの関係の方もかわいらしく描かれています。

 マナを六花達から引き離しさえすればプリキュアはばらばらになりパワーを出せなくなるはず、というアイディアはレジーナが考えたものでした。実際にマナをおびき出して閉じ込める事に成功し、ジコチュー達は大いばりで六花達を倒そうと現れます。
 ですが、キュアダイヤモンドをはじめ、プリキュア達の力は弱まっていません。それどころか逆に強くなっているようにさえ見えます。

 目の前にいなくても、マナと気持ちが重なっていると感じた六花には、どんなに強い相手が来ても立ち向かおうとする気力が充実しているのでしょう。彼女の思いはありすや真琴、亜久里にも伝わっていて、キュアハートがいなくても皆で持ちこたえてみせようとする決意ができているみたいです。そして彼女達の心情はレジーナにも影響を与えています。
 レジーナは六花から、マナを愛しているかどうか、はっきりと尋ねられています。六花自身は、マナとの愛情を自覚した分、気持ちに揺らぎがなくなっているから、こういう風に聞く事ができるのでしょうね。

 レジーナは六花のまっすぐな瞳に追い詰められていきます。ジコチューの側にいる者としては、ここは一つ嘘でもついて相手をかわす事もできたでしょう。でも彼女はそうしていません。たとえ口からでまかせであっても、マナを嫌いなんて声に出して言うのは、やはり彼女は嫌だったのではないでしょうか。

 そのため、レジーナはつい本当の思いを口走ってしまいます。が、何というタイミングなのか、その言葉をマナ本人に聞かれちゃうんですね。
 もうレジーナは恥ずかしくてたまらなくて顔中真っ赤になってしまいます。この辺りの彼女の反応がかわいらしい感じです。
 また、彼女は、自分が言った言葉を何とか取り消そうとするのですが、胸の底からの気持ちなだけに真っ向から否定する事ができずにいます。第21話でマナに告げたあの言葉は、今でもレジーナの中では変わっていない、という事なのでしょう。

 ここで猛烈にアタックするのが、マナです。レジーナにすがりついて「ねえねえ」と甘えたような口調で相手の言葉を確かめようとしています。
 マナはこれまで、変わってしまったレジーナが本当に自分を嫌いになってしまったのではないかと、不安だったのではないでしょうか。だからレジーナと「ちゃんとお話ししよう」とは言えても、「私達って今も親友だよね」とは聞けなかったのかも、と思えます。

 でも今、マナは、レジーナ本人の口から愛の言葉を自分の耳で聞いちゃいました。こうなるともう自信が出るというか図に乗っちゃうぐらいの勢いがわいてくるのですね。
 押せ押せムードなマナの愛情あふれるアプローチを全身に浴びて、レジーナもめろめろになりかけていますね。プリキュアの技とかではなく、純粋な愛情だけで、マナ達がレジーナを取り戻せたら素敵かもです。

 戦いはまだ予断を許しませんし、この後もジコチュー達の攻撃は激しさを増していくでしょう。その渦の中にいても、マナ達が愛情を忘れず、レジーナや苦しむ人々を愛の力で救い出せるようになると良いですね。
 そしてだんだん築かれつつある「マナハーレム」の中で誰と誰が結ばれる事になるのかにも注目したいです。マナにはその辺りをきちんと整理していってもらいたい所ですけれど、とにかく女の子同士の愛情がたっぷり描かれていくのを期待したいです。

・「ふたりはプリキュア」レビューリストレビューセンター

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