ひだまりスケッチ 沙英ヒロ卒業編 第2話
テレビアニメ「ひだまりスケッチ」の特別編に当たる「ひだまりスケッチ 沙英ヒロ卒業編」、第2話「2月28日~3月1日 卒業スケッチ」です。
前回第1話で、ヒロと沙英は見事大学進学を決めました。本人達も、ひだまり荘の他の住人達も皆大喜びして安心している所でしょう。けれど、ゆのは喜びつつも時々切なそうな顔を見せています。卒業式の準備をしている時はなおさら、、、。もうすぐヒロと沙英がやまぶき高校を卒業し、ひだまり荘からもいなくなってしまうと思うと、悲しみがあふれてくるようです。
そんなゆのを見て、宮子は明るい声で元気づけようとしています。さりげなく人生経験豊富らしい彼女は、誰かと離ればなれになるのは仕方がない事だとゆのを納得させようとしています。
でも宮子も、卒業式の場面では、ゆのと同じように顔を伏せ、2人で手を握り合って必死に何かに耐えている様子でした。彼女だって、ヒロや沙英と一緒に暮らせなくなるのはとても寂しいのでしょう。
2人が卒業するなんて嫌だ、と思うのは、乃莉もなずなも同じでした。そこで団結した4人がしたのは、めいっぱい自分達のわがままを言う事、でした。
でも、無理を言って2人を困らせるだけで終わらせないのが彼女達なのですね。自分達の胸の中にある本当の気持ちをさらけ出した上で、ゆの達は2人を送り出そうとしています。
こういうのって、ヒロと沙英にとっても実は嬉しいのでは、と思えます。何事もないかのようにさらりと見送られるよりは、ゆの達が自分達にこんなにも親密な気持ちを抱いてくれているとはっきりわかったのではないでしょうか。
そうやって卒業するヒロと沙英のこれからはというと、、、大学は別みたいですが、原作コミックによると住む場所は同じ「ひなたハイツ」になるようですね。これからも彼女達は良い「婦婦」ぶりを発揮していくのかもです。
また、ひだまり荘にはOB会(OG会?)の「向日葵会」というものがあるそうで、2人がそこに入ればひだまり荘を近くに感じる事もできるでしょう。それにしてもこういう会があるというのはやはり、ひだまり荘という場所は、住人達にとって忘れられない素敵な思い出がたくさん詰まった大切な場所なのでしょうね。
この話数の途中の場面で、少しだけヒロと沙英の思い出が描かれています。それは2人が1年生で、初めて会った時の事です。(この場面の前、大家さんは「砂糖菓子」のキーワードを出してました。それについては、アニメ第3期「~×☆☆☆」の第1話で語られていますね。)
一番最初に2人が顔を合わせたのは学校でしたが、その瞬間には2人は取り立てて相手を意識はしなかったみたいです。彼女達が言葉を交わし、お互いに相手の事を知り始めるのはその後、場所はひだまり荘でした。後輩達がうらやましがるほどの仲の良い(いちゃいちゃな?)彼女達の歴史が始まるのは、そこからなのですね。
ところでその思い出の場面で、遅刻しそうになりながら学校へ走ってきた沙英の隣には、一緒に走ってきた夏目がちょっとだけ描かれていました。夏目が本編に出てきたのを喜ぶとともに、もしかしたら出番はこれだけ? と、ちょっと不安になってしまいました。でも後でちゃんと、彼女の気持ちが描かれる場面が用意されているんですね。
学校の中で、夏目と沙英は偶然出くわします。が、そこは場所が場所だったため(?)、2人は廊下へ移動。そこで話し合います。沙英は、直前に友達が男子から呼び出される現場にいた事もあり、ちょっと意識していたかもです。
夏目は、いつものようにちょっとツンツンした口ぶりで切り出しますが、やがて、、、。彼女の中の抑えきれない思いが、彼女の表情に表れています。
涙をこらえ、歯を食いしばって、途切れ途切れに語る夏目。たぶん彼女は、沙英に会ったらどう話そうかと、ずっと考えて準備してきたんでしょうね。いつもの口調は崩さず、でもさりげなく沙英と自分のこれからの関係をうかがわせる話題を織り交ぜて、相手の反応を引き出す。もしそんな作戦を考えていたのだとしたら、結果は大失敗でした。
でも、沙英には、夏目の気持ちが痛いぐらいに伝わっていたようです。彼女の思いに応えるように、沙英は夏目に触れています。
少し前まで、沙英にとっての夏目は、クラスも違うのに会うたびに何かと突っかかってくる女の子、という印象だったかもしれません。苦手ではないけれど、たぶん自分は嫌われてるんだろうな、と思っていたのでは。
ところが、前の年のクリスマスに、沙英は真実を知ってしまいます。夏目はずっと前から沙英に思いを寄せていましたし、それに沙英自身も、実は夏目の影ながらの応援があったから執筆活動を続けていられたのでした。(この辺りはアニメ版第4期「~×ハニカム」の第11話に描かれていますね。)
夏目と沙英のこれからはどうなるでしょう。卒業したらそれきり、なんて事にはしたくないと、2人とも考えているようですよね。彼女達は全くの離ればなれになるわけではないみたいですし、自分達が願いさえすれば、会う事は簡単にできるのでしょう。
夏目の気持ちは沙英には伝わっているでしょうから、夏目はもう妙な照れ隠しなどしないで、正面から沙英に近づいていってもらいたいものです。沙英の方も、自分の人生を豊かなものにしてくれている良き理解者の夏目と、もっと触れあっていってもらいたいです。
夏目と沙英の場面では、涙をこらえて震えながら話す夏目の姿などが細やかに描かれていて良いですね。彼女はひだまり荘の住人でもないですし、沙英やヒロのクラスメイトでさえもありません。けれど、こうして彼女の思いが取り上げられ、繊細に描かれているのは素敵です。卒業生達の未来に希望が持てるストーリーになっているように感じられます。
そして後は在校生達、ですね。ゆのは、この2月から3月の時期を過ごす中でいろいろな事を考えさせられています。そこで思い出すのは、高校生になりひだまり荘に住み始めてからこれまでに出会ったたくさんの個性的な人達です。映像でも本当にたくさんの人達がゆのを囲んでいるイメージが描かれています(視聴者の側としても、見覚えのある人がたくさんいるのではないでしょうか)。これからも、彼女は様々な人に出会い、多くの経験を積んで、成長していくのでしょうね。
また、4月からはゆの自身も3年生になります。今度は自分の卒業と、その後の進路に向き合う事になるはず。そこには寂しさもあるかもしれませんが、未来への希望があり、一緒に進んでくれる仲間がいる事でしょう。
卒業式の後、ゆのは宮子と一緒にお風呂に入り、同じ布団で寝ています(そういえば彼女達が最初にひだまり荘に入った時も、宮子の部屋のお風呂が使えなくてゆのの部屋に入りに来ていましたね)。ヒロと沙英が卒業してしまった寂しさがあって、彼女達は2人とも、できるだけ多く触れあっていたいと感じていたのかも。ゆのと宮子のこの親密さは、彼女達のこれからの生活でも、より強く暖かくなっていくのでは、と思えます。
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