「Lonely Hearts」歌詞とPVの百合度、、、
加藤ミリヤさんの歌う楽曲「Lonely Hearts」は10/2にリリースされています。その歌詞やPVの内容に、百合っぽい雰囲気があります。
曲全体では、傷ついていた「私」が、街の片隅で出会った女の子に気持ちを救われ、相手への思いを深めていく、そんな姿が描かれています。歌詞にも、「私達似てる」、「君となら何をして過ごしても退屈じゃない」と、そばにいる事への居心地の良さが表れていたり、一方では「壊れるのが怖くて」、「こんな事誰にも言えなくて」と、自分の中に芽生えた思いがお互いの関係を変えてしまうのではないかという不安も歌われています。2人の気持ちが本当に重なり合えるのかどうか、そこがこの曲では重要な意味を持ってくるのでしょう。
この曲のPVは、YouTubeでも配信されています。(なお、映像の内容は初回生産限定版に同梱のDVDに収録されているものと同じです(画質は異なっています)。)長さは7分ぐらいですね。
映像では、最初に曲に寄せたメッセージが表れます。黒い背景に白い手書き文字で、「誰かと心から深く繋がりたい/それだけを切に願っている。/これは私たちの物語」と書かれています。映像でメインになるのは3つのストーリーで、それが細かいカットに分けられて描かれていきます。
一つの物語では、学校でつらい経験をしている女の子が、夜の街角で、ある女の子に出会います。彼女は、路上に座り込み他の友達と遅くまでたむろしているような子でしたが、主人公の子には明るく笑いかけ気さくに話しています。主人公の子は、彼女にお菓子やジュースを渡す事で、つながりを保っています。仲良しと言えるほど深いつきあいではないようですが、それでもここでだけは、昼間のつらさを忘れ微笑む事ができているようです。
けれどある夜、不機嫌だった彼女になじられ追い返された主人公の子は、家に戻り、ジュースに毒を混ぜます。後半、ふと音楽が途切れた場面で、そのジュースが相手に手渡されます。そして、、、という流れですね。このストーリーは、歌詞に近い内容になっているみたいです。
別の物語では、髪を染め派手にメイクをしたパンクな女の子が登場します。彼女にはボーイフレンドがいるらしいですが、この所連絡がつかなくなっていました。クラブへ行ってみると、相手は他の女を連れていました。思わず詰め寄るものの、相手に暴力をふるわれ、さんざん殴られたあげくに床に放り出され、、、。
もう一つの物語では、ある女子校が舞台になっています。2人の女の子が手をつないで廊下を歩いているのを、その場にいる子達はけげんそうな目で見ています。でも本人達は、周りを気にしていないかのように振る舞い、手を離したりもしません。誰もいない場所に来れば、彼女達は笑顔でお互いを見つめ合い、ふれあっています。その表情を見ていると、お互いに相手の事が愛しくて、そばにいられる事をとても嬉しく感じているようです。
ある日、気持ちが高まってしまった彼女達は、誰もいない屋上で、唇を重ねます。けれど、隠れてのぞき見ていた誰かが、その様子を撮影していました。教室で勉強をしている最中、突然クラスメイトが携帯端末を次々に2人に向けます。そこに映し出されていたのは、正にキスの瞬間。誰かがその映像を皆にばらまいたようです。
でもそれだけではありませんでした。映像は動画投稿サイトにもアップされてしまいます。追い詰められた2人は、ある決断をします。
といったように、苦しみを感じる女の子達の様々な場面が描かれていきます。特に百合な雰囲気なのは3つ目の物語ですね。キスシーンでも、じっと見つめ合っていた2人が、同時に顔を近づけて唇を合わせる所が、何というかドラマティックで、思わず引き寄せられます。(ちなみに、作中で彼女達のキスの瞬間がアップロードされた動画投稿サイトの名前は「OurTune」というそうです。)
また、女性同士の関係を描いているのはこれだけではありません。最後の方の場面になると、3つの物語に登場する女の子達が、1つの場所に集まっています。シャワー室のような所の床にミリヤさんが座っていて、膝元には1つ目の物語の子が横たわっています。さらにミリヤさんと背中合わせに、2つ目の物語の子が座っています。3つ目の物語の2人は、その奥で向き合って座っています。
そしてその周囲には、恋人同士らしい女性達が何組もいます。様々な年齢、様々な服装や風貌、2人でいる組み合わせもあれば、3人の場合もあります。彼女達は思い思いのやり方で、ふれあったり抱き合ったりしています。
この場面は胸に迫るものがありますね。描かれてきた3つの物語以外にも、女性同士で恋愛しているために苦しんでいる人達は多いのでしょう。彼女達1組ずつに、また別の物語がある事が想像されます。
この場面の最後の瞬間も良い感じです。一般的にはあまり受け入れられない関係を持っている彼女達でも、人としての意義や生きていく力、それに主張したい思いがあるのを強く感じさせられます。
3つの物語では、苦しさや悲しみが彼女達を支配していました。彼女達には悲惨な未来しか待っていないようにも見えましたが、それだけで終わる事はないのではないか、とも感じられます。最後の場面の後に描かれるメッセージは、彼女達に(「私達」に)希望を与えている気がします。少しでも明るい未来を予感させる内容になっているのが良いですね。百合にも希望が持てるような雰囲気になっています。
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