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2013年10月24日 (木)

ひらり、 Vol.10

 発行新書館による、年3回刊の「ピュア百合アンソロジー」こと「ひらり、」のVol.10を見てみました。

 表紙のイラストは紺野キタさんが担当されています。白い背景の中、若葉と咲き乱れる小さな花々に囲まれて、同じ制服を着た高校生ぐらいの4人の女の子がたたずんでいます。目を伏せたり、遠くを眺めたり、微笑みながら耳打ちしたりなど、思い思いの仕草を見せていますが、いずれも優雅で麗しい雰囲気ですね。(また色合い的にも淡い彩色で、それに髪の色も同系に統一されているため世界観としてのまとまりも感じられます。)これぞ女子校百合もの、という感じです。
 左下の三つ編みの女の子の長いまつげや自分の髪に触れている手つき、右上の子が自分のあごに当てている指先、真ん中の2人の距離の近さなど、それぞれに物語性がありそうな気がします。こういうイメージのコミック作品を、紺野さんかどなたかに描いてもらいたい所ですけれどそういう予定はあったりするでしょうか?

 カラーピンナップは、くみちょうさんが描かれています。教室で制服を着た2人の女の子が席に着いています。前の子は金髪で見た目は気性が荒そうな雰囲気で、鼻や頬には絆創膏を貼り付けています。後ろの子は黒髪でおとなしそうな印象です。
 黒髪の子はにこやかに微笑みながら、手を差し伸べて金髪の子の頬に触れています。金髪の子は照れたようにしかめ面をしていますが、黒髪の子の方に少し体を傾けて相手が自分に触れやすいようにしている感じです。見た目だけだと対照的な彼女達ですけれど、一緒に寄り添える事に2人とも心地よさを感じているのでしょう。

 では収録作品を部分的にご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・大人の階段の下(雨隠ギド)
 なつは、姉のあきが家に呼んでくる友達がうるさくていつも嫌な気分になっていました。ところがある日連れてきた友達の1人、久我雪子だけは、しとやかな雰囲気で、なつは目を奪われてしまいます。雪子と仲良くなりたいというなつの憧れや、あきと雪子、さらになつとあきなど、様々な関係が想像できそうです。なつも、この事をきっかけに、順調に(?)百合な恋愛に目覚めていくのかも。

 なお、雨隠さんの単行本「終電にはかえします」が、「ひらり、 コミックス」から11/30に発行予定だそうです。雨隠さんは本誌のVol.1から作品を掲載されていますので、様々な物語がこの本で見られるのではないでしょうか。

・少女アソート(藤たまき)
 お金持ちのお嬢様が誕生日のプレゼントに望んだのは、「女の子の詰め合わせ」、、、? 執事は軽妙な言葉でお嬢様をたしなめたりもしますが、彼女の気持ちを理解してもいるようです。お嬢様も、執事も、どちらも女性ですので、プレゼントする側にもされる側にもなれますし、プレゼントそのものにだってなれちゃいます。この濃密な雰囲気がなかなか良いですね。

・恋愛禁止憲法(平尾アウリ)
 とあるアイドルユニットのクール担当、美音と、小動物担当の伊織は実は恋仲。ですが「アイドルは恋愛禁止」と言われてしまい、自分達の関係を隠してつきあう事を決意します。とはいってもいちゃつきたい気持ちは抑えられませんし、仕事とはいえ相手が他の人とふれあう事にも耐えられません。四苦八苦しながら問題を一つずつ解決していく彼女達の姿が、平尾さんらしいシュールでコミカルな展開とともに描かれていきます。実際、彼女達にはしたたかな所があるみたいですし、意外とうまく業界を乗り切っていけそうな気もします。

・Armet(ユキムラ)
 一国の姫であるアルヴェーレは、その身分のため自分の身内からも命を狙われています。けれど彼女はおびえたりしていません。なぜなら彼女のそばには常に、鎧をまとった無敵の騎士が仕えているから。その騎士の正体は、という所が物語になっていますね。アルヴェーレとエミルは、お互いの身分がどんなものであろうとも、たとえ女同士であっても、その壁を乗り越えて結ばれたいという強い思いを持っているのでしょう。

・シャンデリア・ダイヤモンド・スターダスト(吉田丸悠)
 みつきは、かつて存在していたアイドルユニット、「平成絶対領域委員会(絶会)」のメンバー、野辺山歩の大ファンでした。そして今は、その歩とおつきあいし、同棲もしています。これは、、、芸能人がファンを食っちゃった、というパターンにも見えますけれど、ともかく彼女達は、お互いに相手が一番だと感じているようです。歩がステージに立つ時に、みつきのシュシュを持って行く所が良いですね。

 吉田丸さんの単行本「きれいなあのこ」は、11/30頃に発売予定だそうです。表題作を含め、これまでに本誌に掲載された「絶会」についてのエピソードが収録されているかもです。

・これは、にせもの(未幡)
 伊藤芽生(めい)はこれまで、学校で先輩との2人だけの時間を大切にしてきました。彼女達は確かに愛し合っていたはずですが、卒業が近づいてきた先輩の胸には何か過去の思い出がよみがえっているようです。前と同じか違うかは、彼女達2人だけが答えを出していける事柄なのでしょう。彼女達ならうまくいくと信じたいですね。

・「ひらり、」レビューリストレビューセンター

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