とある科学の超電磁砲S 第6話
テレビアニメ「とある科学の超電磁砲(レールガン)S」、第6話「あたし、、、みんなのこと見えてるから」です。
「実験」が行われている場所へ、美琴は突っ込んでいきます。アクセラレータ(最初美琴は、相手が当人だと気づかなかったようです)に向かって力の限りの攻撃を加えています。
ここでの彼女は、何をしようとしていたのでしょう。昼間出会ったミサカがもう救われないとわかると、怒りにも似た感情が爆発し、ついには相手に真正面からレールガンを向けています。
この攻撃をまともに当てれば、普通なら相手はひとたまりもない事を、美琴は誰よりもよく知っているはず。それでも能力を使おうとするのであれば、相手の命を奪おうという気持ちをはっきりと持っていた、と言える事になってしまいます。当然美琴にはそんなつもりはないと思いますけれど、能力が高い人ほど、自分の行動に責任が何を引き起こすのか、いつも注意していなければならないのではないでしょうか。
これに対してアクセラレータの方はというと、ミサカを倒す事については特に何も感じていないようです。本人や、後で布束砥信が言っているように、ミサカは人間ではないと割り切れているみたいです。
ミサカがクローンで、どこかの機械で作られ知識を植え付けられただけの存在だと理解している限りは、それだけのものなのでしょう。でも美琴や砥信は別のものを感じています。
この差は、ミサカ達に美琴のDNAマップが使われている事とは関係ないのでしょう。すぐそばでミサカ達とふれあい、彼女達と話している間に感じたものが、美琴達の胸の中に、ミサカ達の人間らしさを確信させていったのでは、と思えます。 この感覚を、論理的に証明するのは難しいかもしれません。けれど決して見過ごす事はできないものなのでしょう。そしてアクセラレータも、これからミサカ達ともっと近づくような事になれば、考え方も変わるのではないでしょうか。
さて美琴にとってはショックな出来事があった次の朝、彼女はようやく常盤台の寮に戻ってきます。部屋には、心配で一睡もできなかった黒子がいました。が、彼女は、制服をぼろぼろにして帰ってきた美琴を問い詰めたりしていません。飾利や涙子が美琴について電話で聞いてきても、うまく答えて事を荒立てないようにしています。ここまで気遣いできるのは、黒子が常に美琴を思いやっているから、なのですよね。
それに飾利や涙子(そして衿衣)も、美琴にゆうべの事を深く聞こうとはしません。美琴が何かを思い出して苦しそうな顔をすると、すぐに話題を変えています。こんな風に優しく包んでくれる友達がいる事は、美琴にはとても救いになっているのでは、と思えます。
彼女達が自分を支えようとしてくれている事を意識しながらも、美琴は今度の事件に1人で立ち向かおうと考えているようです。理由は、自分でまいた種に自分で落とし前をつけるため、なのかもしれません。小さい頃の自分が間違った選択をしたためにミサカ達が苦しめられているのだとしたら、何が何でも自分の手で片をつけなければならない、そういう気持ちがあるのかも。
それと、皆を危険な目に遭せたくない、といった思いも働いているように感じられます。「レベル6シフト計画」には学園都市も力を入れていますし、美琴の渾身の攻撃も簡単によけてしまうレベル5の第1位まで関わっているほどですから、黒子達が向かっていってもひとたまりもない、と美琴は確信しているのでは。
別に美琴は、飾利や涙子達を見下しているわけではないのでしょう。自分で実際に戦ってみて、アクセラレータはとてもやばい相手だと直感し、わざわざそこに彼女達を引っ張り込むわけにはいかない、と思ったのかも。
すべてを1人で背負い込んで、何でも自分だけで解決しようとする美琴の態度は、少し前までの彼女には当たり前のものだったと思われます。並外れた努力でレベル5にまで上り詰めるにはそうする必要があった、と彼女は理解しているのでしょう。
けれど今は、もっと別の気持ちが、彼女を包み込んでいるのではないかなと思えます。第4話にもあったように、今の美琴は、黒子達がいないととたんに暇をもてあますほど。つまり美琴にとっては、彼女達との日々が一番充実感を与えてくれるものなのですね。
彼女達なら、美琴がどんなに深くて因縁めいた悩みを抱えていても、きちんと受け止めてくれるはず。悩みを聞いてくれる人がいるだけでも世界は全然変わってくる、という事を、美琴が気づけるようになると良いですね。
いえ、悩みを聞くだけではありません。黒子達は戦いの場面でも美琴にとって頼もしい戦力になってくれます。能力の高さなんてこの際関係はないでしょう。現に第1期のテレスティーナとのバトルでは、レベル0の涙子が美琴達を救っています。
こんな風に、気持ちの上でもサポートしてくれて、一緒に戦ってもくれる、美琴はとても素敵な仲間達と出会えたのではないでしょうか。美琴には、彼女達との関係を大切に育てていってもらいたいですね。
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