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2012年12月15日 (土)

ひだまりスケッチ×ハニカム 第8話

 サブタイトルには「恐怖!」や「怪奇!」の文字が。
基本的にはゆの達の学校生活は変わらないのですが、
クラスの出し物の影響のためか、本編のあちこちで
悲鳴がこだましています。そういう中で、ゆのと宮子を
はじめ、女の子達の親密な関係が展開してますね。

 テレビアニメ「ひだまりスケッチ×ハニカム」、
第8話「10月11日、10月30日、 恐怖!
やまぶき祭準備編
」、「11月3日、 怪奇!
やまぶき祭当日編
」です。
 ゆのが目を覚ました朝はからりと晴れていた。
ベランダの軒下に張っていた蜘蛛の巣には水玉が
付いていて輝いている。すがすがしい朝に宮子達
ひだまり荘の住人達と向かった学校では、やまぶき
高校の文化祭、「やまぶき祭」へのクラスの出し物を
決めるホームルームが行われる。仮装行列をやりたがる
吉野屋先生はひとまずおいて、ゆの達のクラスでは
お化け屋敷をやる事が決まった。どうせなら美術クラス
らしくこったものにしようとゆの達は考える。

 吉野屋先生って、確か前にもけっこう仮装行列を
推してましたね。普段の授業中でも何かあったら
コスチュームを着ようとするぐらいですから、
学校のお祭りともなれば血が騒ぐのかも。
 結局クラスの出し物は仮装行列でもメイド喫茶
でもありませんでした。でもこうなるとかえって
歯止めがきかなくなっちゃうみたいで。吉野屋先生は
もう出し物なんて無関係に校内を練り歩き始めて
います。なぜ桃太郎をチョイスしたのかは謎です
けれど、コスチュームを着こなしている時の
表情はとても楽しそうですね。

 まあそれはそれとして、ゆの達のクラスでは
お化け屋敷をやる事になりました。せっかくの
美術クラスの展示だから、と、皆かなり気合いを
入れたようです。結果的には大成功だったらしい
ですね。
 出し物に使われた教室からは悲鳴がひっきりなし
に聞こえてきています。ヒロ、沙英、乃莉、なずな
達も最初から最後までのせられてしまったみたい
です。(乃莉なんて、皆に頼りにされて仕方なしに
先頭を歩かされる羽目に。彼女だって怖いのに、
ちょっと損をさせられちゃったかも。)

 驚かせる方だったら怖くないかも、と、ゆのは
考えて準備に取りかかっています。ですが宮子の
作り出すリアルなタッチの大道具や小道具は、
作り物だとわかっていても怖いようで。ゆのは
時々思わず声にならない叫びを上げています。彼女の
こういう声って普段はあまり聞かない気がするので
ちょっと珍しい感じですね。

 セット作りがうまくいったために調子に乗りすぎた
というわけでもないのでしょうけれど、宮子は手に
けがをしてしまいます。こうなると、ゆのも
怖がって腰が引けている場合ではなくなります。
素早く保健室へ連れて行って手当てをしてもらい、
その後は自分が宮子の手の代わりになろうと
あれこれお世話をしています。

 ためらわずにそうしているゆのの行動が素敵
ですね。喜びを分け合うだけではなく、苦しみも
一緒に背負っていこうとする彼女の態度がはっきり
わかる所なのでは。

 養護医の桑原先生もその辺りには気づいている
ように思えます。けがをした子に付き添って他の
子が一緒に保健室に来る、というのはよくある事
ではあるのでしょう。でも、宮子の手当ての後、
自分の事のように感謝するゆのを見て、桑原先生は
ふっと微笑んでいます。ゆのと宮子に限っては、
いつも一緒にいる仲良しの友達、どころではない
親密な関係があると、桑原先生は理解しているの
ではないでしょうか。

 そこからは、何をする時もゆのは宮子のサポート
を積極的にしています。顔には出さないけど絶対に
困っているはずの宮子を助けたい、その一心で
彼女は行動しているのでしょう。
 両親が久しぶりに自分に会いに来てくれたと
わかっても、ゆのの意志は変わりませんでした。
他の誰でもない自分が、宮子を支えたいと願って
いたようです。

 ゆののこの気持ちは、宮子にはとても嬉しかった
事でしょう。けれど同時に、自分のけがのせいで、
久しぶりの親子の再会を邪魔するわけにはいかない、
とも思ったようです。クラスの宣伝をさせるという
名目で、親子3人が一緒にいられるような粋な計らい
を、宮子はしています。

 やまぶき祭の後、サプライズ企画の後夜祭では、
彼女達は手を取り合って(宮子の場合は右手が
一時的に代理(?)になってましたけど)踊っています。
そこで宮子は、ゆのへの感謝の気持ちを素直に
言葉で表しています。
 宮子の場合、自分の内心を口に出す事ってあまり
ないような気がします。何か思っていても黙って
いたり、さりげなくはぐらかしたり。突飛な行動で
ごまかす事もあるような。
 でもここでの宮子は、飾らずに、まっすぐ自分の
思いをゆのに伝えています。たぶん彼女の中では、
けがをしてからの日々がどうしようもないぐらい
嬉しくて、ゆのとの今のような関係をずっと
続けていきたいと願っているのでは、という気が
します。
 そこまでの事情には、ここでのゆのは気づいて
いないかもしれません。でもゆの自身の中にある、
宮子と寄り添っていたい気持ちも、宮子と同じ
ぐらい強いのではないでしょうか。、、、なんて
思ってしまいました。

 このエピソードでは、ゆのととても仲がいい
有沢も登場しています。が、演出的には何だか
前回の約束を果たさせただけ、という雰囲気もある
ような。ゆのと有沢にも親しくしてもらいたい
所ではありますけれど、この話数に関してだけは
ゆのと宮子との関係を大きく取り上げるために、
有沢の出番は少し控えめになったのかもです。

 同じ事は、夏目についても言える? 彼女の
クラスは「Berry Crêpe」という喫茶店をやって
いたらしく、その場所はエピソード中でも登場
するのですが、夏目本人の出番はほとんどなかった
みたいです。彼女と沙英、ヒロ達にとっては
最後のやまぶき祭になるわけですから積極的に
思い出を作って行かなきゃなのでは、とも思うの
ですけれど、あまり描かれてはいなかった
ようです。

 ヒロと沙英は、後夜祭では踊らずに、一緒に
座ってたき火を眺めています。来年はもう
ここにはいられない、と思うのだったらダンスに
チャレンジしても良かったように思ったりします
が、まあそこは彼女達のしたいように時間を
過ごしているのでしょうね。

 代わりに、ではないかもですが、乃莉となずな
は、ゆのと宮子のように仲良く楽しそうに踊って
います。やまぶき高校は共学ですから、フォーク
ダンスといえば男子とふれあうチャンス、とも
言えそうです。けれどこの2組の女の子達は
迷わずお互いのパートナーとダンスしています。
ふれあいながら一緒に楽しい時間を過ごす相手は、
彼女達の中では他に代わりがいないのでしょう。

・「ひだまりスケッチ」レビューリストレビューセンター

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)ミヤ:おきてる?ユノ:おはよう)見て見て、一夜にして完成したみたいだよ→クモの巣?= ナズ:おはようございますうん、自然の神秘も見れたし凸 マミ:出し物を決めたいと... [続きを読む]

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