りさみや劇場 第５話

　ミカ女は夏休みに入ろうとしています。春からずっと
「追いかけっこ」を繰り広げていた璃紗と美夜も、これで
しばらくは会えなくなる、、、？　その事について、２人は
それぞれどんな風に考えているのでしょう。美夜には
何か思いがあるみたいですが、璃紗はそれほどでもない
ような。この微妙な差が、切なさを生み出す事に
なったりするのでしょうか。

　サークル「ふぐり屋」さんによる百合作品シリーズ
「その花びらにくちづけを」の商業ブランド「ゆりんゆりん」
より、第１弾作品「ミカエルの乙女たち」を題材にした
ミニドラマ「りさみや劇場」、第５話「夏休み、どうやって
過ごす？」です。
（なお、この作品やサイトには、アクセスするのに
年齢に制限があります。が、「りさみや劇場」には
制限はないようです。）

　このエピソードでは、夏休み直前の様子が描かれて
います。珍しく教室に来ている美夜を見て、璃紗は
不思議がっていますね。美夜は、夏休みで璃紗に
会えなくなるから、と答えていますが、璃紗の方は
この言葉の裏を読もうと躍起になっています。

　本当は、美夜は、今自分が感じている気持ちを
素直に口にしただけなのかもしれません。でもそれが
全く伝わっていないように見えるのは、普段の彼女の
振る舞いのおかげなのかな、とも思えます。
　いつも悠然と構えていて人の努力を評価しない。
自分の知識の広さを使って、璃紗を手玉にとっては
煙に巻いている。そして何より、璃紗の言う事に
何かと難癖をつけて従わないのが、璃紗にとって
とても気にくわない部分なのでしょう。
　そんな美夜が何を言っても、もうまともに取り合う
気になれない。今の璃紗はそんな風に感じてしまって
いるのでは。

　実は美夜は、彼女とそういう関係になりたいなんて、
全く思っていなかったのではないでしょうか。最初は、
とても純真で、何でも真に受ける璃紗が珍しくて
（自分の周囲に今までそんな素直な人間などいなかった
から、とか）、相手の言葉にいろいろ返事をしていた
ぐらいだったのかもです。璃紗は美夜に授業を受け
させるために、それはもう何かというと絡んできていた
でしょうから、美夜が彼女と話すチャンスは多かった
事でしょう。
　ちょっといじるとすぐぷりぷりして追いかけてくる、
そんな璃紗を見ている間に、彼女に対する美夜の印象は
どんどん変わっていったのでは、という気がします。
会話のさじ加減でくるくると表情を変える彼女を見て
いるのは、どういうわけかとても楽しくて、いえ、
愛しくて、もう美夜は彼女との「追いかけっこ」を
やめられなくなってしまっていたのかもです。

　でもそんな事ばかりしていると、相手からは信頼
されなくなってしまうようです。美夜が、いつわりの
ない自分の気持ちを口に出しても、何か裏があるの
では、と、璃紗は勘ぐってしまいます。
　美夜の言葉に璃紗が突っかかるような返事をした時、
美夜のせりふに少し間がありました。あれはたぶん、
自分の本当の気持ちを璃紗が言葉通りに受け取って
くれなかった事に、驚きや寂しさ、切なさを感じたから
なのかな、なんて思います。

　その後で、夏期講習の話題を出した時に本気で悩む
璃紗を見て、美夜は、「璃紗さんって本当にかわいいわ」
と言っています。今まで第１話などでは、本人のいない
所で似た事をつぶやいていましたけれど、本人の前で、
しかもこんなにあからさまなのは初めてかも？
　何だかこの言い方って、ちょっと自暴自棄になって
いるようにも感じられますね。どうせ伝わらないなら、
いっそはっきり言ってしまえ、というような。

　ではこの言葉への璃紗の反応はというと、「本当？
嬉しい！」とか、「実は私も美夜さんの事、、、」などでは
ありませんでした。何だかいつも通りのやりとりに
落ち着いてしまっているみたいです。
　この瞬間の美夜は、やはり切なかったのではないかな、
と思います。でも、少なくとも夏休みの間に璃紗と会う
口実はできたのだから、それでよしとしよう、と
考えるのがせいいっぱいだったかも。

　ですが、美夜でも気づかない変化が、璃紗の中で
起きているのかもしれません。彼女は美夜を意識し始めて
いる？

　といった感じで、この夏休みには、彼女達の間で
何かが起きそうな予感ですね。その部分は、ゲーム版
で描かれていくのでしょう。

　この「りさみや劇場」は、全１０話構成で、前半は
ゲームの時間軸の前、後半はゲーム版の後を描いていく
予定だそうです。なのでこの第５話が一つの区切り。
次の第６話からは、ゲーム版の後、彼女達がどんな風に
過ごしているかが語られていくのでしょう。そこで
彼女達はどんなラブラブを繰り広げているのか、期待
したいですね。

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