新世界より 第１話

　「遠き山に日は落ちて」、、、。歌詞の通りなら、その
後に待っているのは楽しい時間。のはずですが、子供達
にとって夕暮れは、友達と離ればなれになる時なのでは
とも思われます。作品では早季達が成長していく様子が
描かれるらしく、その中で彼女達が「子供」と「大人」、
どういう立場を取っていくのでしょうね。そして百合
テイストは、、、あまりなさそう？

　テレビ放送が始まったアニメ「新世界より」を見て
みました。第１話のサブタイトルは「若葉の季節」です。

　ストーリーは、、、１０００年後の日本、茨城県と
呼ばれていた場所にある神栖六十六町には至る所に水路
が張り巡らされ、外部とは八丁標（はっちょうじめ）と
呼ばれる結界で区切られている。町に住む子供達は呪力
（じゅりょく）という特殊能力を持っているが、八丁標の
外へ出る事は許されていない。渡辺早季は、町の小学校に
当たる和貴園（わきえん）に通っていたが、呪力に目覚め、
全人学級（ぜんじんがっきゅう）に入学。そこでは、先に
進学していた友達の秋月真利亜達が彼女を迎えてくれる。

　早季達の服装とか、学校や家などの建物、しめ縄風の
八丁標や、護摩焚きのような風習など、全体に和風な
テイストが出ていますね。そこへさらに、日が陰って
いく様子や廊下の角の暗闇などが描かれていて、普段の
暮らしと隣り合わせにある不思議な世界とか得体の
知れない恐怖などが表されている気がします。

　早季のような子供達は、強さの違いはあるものの
だいたい皆が呪力を持っているみたいです。その力が
どこから来るのかはまだ明らかにされていません
けれど、最初の場面（早季達の時代よりもずっと前、
でしょうか）を見ると、人々を恐怖に陥れるような力を、
子供達だけが手に入れたっぽいですね。

　子供達の特殊な力を、大人達は何とか抑え込もうと
考えたのかもしれません。それが早季達の時代に
儀式となって伝わっているのでは、と思えます。
　儀式では、早季は、大人達の言葉に従って、呪力を
発揮したり封じ込められたりしています。子供
として大人を信頼しているから言う通りにしている、
というようにも見えますね。
　作品の公式サイトの今のトップには、「偽りの神に抗え。」
というコピーが書かれています。これはもしかしたら、
大人達の言う事を鵜呑みにするのではなく疑いを持て、
という意味なのかもです。

　でも大人達は、子供達を怖がっていて抹殺しようと
考えている、とかではないのですよね。呪力を暴走
させないように対策している、といった感じもあります。
　その部分については、大人達が特殊能力を持って
いるかどうかという所も関係している気がします。
この第１話の中では、大人達が特殊能力を使っている
場面は出ていないっぽいですよね。最初の儀式の場面
でも、炎を揺らしたり紙の人形を動かしたのは早季
ですし。儀式の最後で大人が、早季の力を「封印した」と
言っていますけれど、それは言葉だけの事で、早季に
心理的にそう思わせようとしただけ、とも受け取れます。
その辺りの事情が本当はどうなのかについては、この後
説明されていくのかもしれません。

　何となく子供対大人みたいな構図が物語の中には
あるようにも思えますけれど、この世界では人間以外の
不思議な生き物達も登場するみたいです。神栖六十六町
や、八丁標の外の世界、それに他の生物たちとの関わり
などで世界観はどんな風に広がっていくのでしょうか。
　それに、原作小説では、早季達は成長していって、
彼女達が２６歳の時のエピソードなども出てくるらしい
です。早季達自身が「大人」になるのだとすれば、この
第１話とは違った見方で世界と向き合う事になる
可能性もありそうです。

　ちなみに、本作のブルーレイ＆DVDは３話ぐらい
ずつの収録で９巻まで発売される予定だそうです。
つまり２クール構成なのでしょうね。２０を超える
話数の中で早季達の経験が壮大に描かれていく事に
なるのでしょう。

　その中で百合テイストがどうなるのか、という所が
一番気になりますね、、、。コミック版では、恋愛感情
なのかどうかまではよくわかりませんけれど、女の子同士
のふれあいが多く描かれているようです。作品紹介ページ
からは第１話の試し読みができるようになっているの
ですが、その中だけでも早季達の裸のつきあい(?)が
描かれています。
　特に麗子の色っぽい場面がピックアップされている
雰囲気ではあります。が、アニメ版では（少なくとも
この第１話では）麗子はあまり目立っていない感じですね。
この流れで、アニメ版では百合度が低い、みたいな展開に
なる可能性もありそうでしょうか。