猫神やおよろず 第６巻が発売です

　繭は、柚子と離れて寂しくないはずがないでしょう。
なのにそんな時に戦いを挑まれて、いらついた
気持ちになっているのではないでしょうか。自分が
本当にしたい事が何で、一緒にいたい人が誰なのか、
はっきり意識する必要があるのかもです。また
そうなれば、百合的にも発展があるかも？

　発行秋田書店、FLIPFLOPsさん作のコミック
「猫神やおよろず」の第６巻が発売となっています。
この作品はこれが完結巻となっています。

　あるきっかけで天界を追い出された猫神の繭（まゆ）
が、人間の女の子、柚子（ゆず）が切り盛りする骨董店
「八百万堂」に居候して、何か家の役に立つわけでもなく
だらだらと過ごしながらも、たくさんの人間や神様と
ふれあっていく物語、という雰囲気ですね。最初の
頃は、家では大昔のゲーム機で遊んでいて柚子に
呆れられたり邪魔者扱いされたり、かと思うと神様
ならではの規模の大きいドタバタに巻き込まれたり、
なんて事もしょっちゅうですね。

　その中で、繭の許嫁の猫神、笹鳴がかいがいしく
繭の世話をしたり（ちなみに繭も笹鳴も女の子です）、
大黒天の子孫のメイ子は繭が大好きなのになかなか
素直になれず、繭を取り合って笹鳴とけんかに
なったりという場面もありますね。また、柚子の
方も、偉い神様だけど小さい女の子のしゃもと
仲良くなったりしています。

　女の子同士で許嫁とかいかにも百合なシチュなの
ですけれど、でも繭にはあまり響いていない感じ
だったのですよね。ストーリーをすべて追っている
わけではないのですけれど、やがて物語的にバトルな
展開が中心になっていったみたいで、笹鳴やメイ子
との百合なエピソードもあまり描かれなくなって
いった気がします。

　そして繭は、月の世界へと旅立っていくみたい
です。もともと柚子の家にいたのも、天界を追放
されて居場所がなかったからなのであって、神様
としての役目を与えられればそこへ行くのが繭に
とっても筋ではあったのでしょう。
　だから繭は神様として、柚子は人間として元の
生活に戻るだけ、とも言えそうです。けれど、表紙
に描かれた彼女達には、そうと言い切れない気持ちが
胸の中にあるように見えます。
　背景には、上に大きな月、下に小さな地球が
あります。月を見上げるような姿勢の柚子と、
地球を見下ろすような姿勢の繭が、背中合わせに
描かれています。２人とも口元には笑みが浮かんで
いますが、視線は交わっていませんし、何より
どこか寂しげな表情になっています。
　さらにポイントなのが、２人の手ですね。
背中合わせになってはいるのですが、手は強く
握り合い、指を絡めた恋人つなぎになっています。

　これは彼女達のつながりの強さを示しているの
でしょう。たとえ離ればなれになっても気持ちは
強く通じ合っている、と。
　でもやっぱり、お互いに思い合っているなら、
そばにいていつでもふれあっていてもらいたい所
ですね。物語の中では２人はどうなっていくの
でしょうか。

　それと、笹鳴やメイ子にも、百合な恋愛を
貫いてもらいたいように思います。この表紙では、
相変わらず２人のけんかしている様子がデフォルメ
キャラで描かれています。表紙に登場する彼女達
って、割とこうやって争っているパターンが多い
ような気もします。バトルしちゃう原因には繭への
強い恋愛感情があるでしょうから、そこをもっと
描いてもらいたいようにも感じます。

　繭にも、笹鳴やメイ子の愛情にときめいていて
もらいたいかもです。以前放送されたテレビアニメ
版（ちなみにOVAも制作されています）でも、第１２話
では、月にさらわれそうになった繭を救うため、
笹鳴とメイ子は上位の神様に命がけで挑んで
いました。が、その割には繭は２人の気持ちを
あまりくみ取っていない雰囲気なのですよね。
この作品は実は、百合的な視点で見ると切ない
物語なのかもしれません。

　なお、この発売を記念して、アニブロゲーマーズ
では、購入者にイラストカードをプレゼントする
そうです。またCOMIC ZINでもイラストカードを
プレゼントするとの事です。先着順ですので、
気になる方はお早めにチェックしてみてはいかが
でしょうか。