彼女×彼女 第１０話

　七緒は、ちょっと珍しいタイプの女の子、桐子と
出会って、いろいろな意味で目が離せなくなって
いったようです。様々な事が起きる中でいつの間にか
時間は過ぎてしまい、、、。七緒は自分の気持ちを
どう扱っていくのでしょう。そして桐子はどう
応えるのでしょうか。

　発行新書館によるオンライン雑誌「ウェブマガジン
ウィングス」に連載中の、大沢あまねさん作「彼女×彼女
（カノ×カノ）」、第１０話「恋愛標本２」です。
（これまで連載が行われていたWEBウィングスの
ページからアクセスすると、Yahoo! ブックストア、
またはニコニコ静画で配信しているFLASHウィングス
のサイトをたどれるようになっています。）

　地方にある私服校、私立鈴懸女子高校で生徒会長
をしていた３年生の日下七緒は、個性的な生徒達
の中でも特に浮いている同学年の角田桐子と
出会った。いつの間にか桐子に惹かれるように
なり、彼女の部活設立にも手を貸して、気づけ
ば１年近くの時が過ぎていた。以前から留学を
目指していた桐子は、ついに親も説き伏せる。
だがそれは同時に、２人が離ればなれになる事も
意味していた。

　七緒は、桐子と出会ってすぐに恋に落ちたの
だそうです。噂を聞いただけではわからなかった
相手の魅力を、七緒は出会った瞬間に見つけたの
でしょうね。
　でも彼女は、その後ずっと一緒にいるのに、
愛してるなんて一言も相手には言わなかったみたい
です。前回第９話の中でも、外から見た雰囲気では、
ちょっとルーズな桐子の世話を焼いている、ぐらい
の感じでした。

　なぜ七緒は桐子に告白しなかったのでしょう。
「変人」の桐子を生徒会長として監視する、とか、
同じ部活を立ち上げた、とでも言えば、特に
恋愛感情を表に出さなくても一緒にいられるから、
なのかもしれません。もしくは、骨格標本に夢中で
恋愛に疎そうな桐子を恋愛で悩ませたくない、
みたいな思いもあったのかも。
　そして一番大きいのは、女の子同士だったから、
なのでしょうね。骨好きである事以外はとても
ピュアでうぶな桐子が、女性同士の恋愛を受け止めて
くれるかと考えた時に、七緒は、自分の思いがとても
報われそうにない、と考えたのではないでしょうか。
　もしかしたら七緒自身も、女の子に恋するのは
初めてだったのかもです。個性的な生徒の多い
鈴懸女子高校にいて冷静に振る舞わなければ
ならない生徒会長の自分が、あまり一般的でない
恋愛におぼれていいのだろうか、みたいに考えた
可能性もありそうです。

　自分なりに大人な解決方法を、七緒は選んだ
とも言えそうです。でも、一番大切な事を、彼女は
確かめていなかったのでは。
　それは、桐子の気持ち。どんなに謙虚になって
考えてみた所で、本人の気持ちは本人に聞かなければ
わからないですよね。
　なのに七緒それをしませんでした。というより、
できなかった、と言えるでしょうか。自分の気持ちを
告白して、拒否されたり、それどころか何とも
思われていなかったらどうしよう、といった不安は、
胸の中にはあった事でしょう。

　このまま２人はどうなってしまうのか、、、という
所が後半で描かれていきますね。ここで彼女達は、
自分達の思いをはっきりさせられるのかもです。

　個人的には、第９話の後半で登場した女の子が
大きく絡んでくるのかなと思っていました。その子は
桐子と同じ骨好きですから、部活を作るために名前
だけ貸していた七緒とは違って、桐子とはばっちり
話題が合うはずですよね。必然的にそちらの方へ
桐子の気持ちが流れていくのか、それとも何か桐子と
七緒の間に惹かれ合うものがあるのか、みたいな
ストーリーが描かれるのかと思っていたのですけれど
違ったようです。
　というかその子はこの第１０話では全く姿を
見せていませんね。「骨」も１コマぐらいしか出て
いないです。このエピソードはもう七緒と桐子の
間にある感情に集中している、と言えそうです。

　この作品は４コマ漫画なので４コマ目にオチが
求められる所とは思いますけれど、あまりそういう
流れにはなっていない感じです。物語の種類的には
ストーリー漫画の部類に入るのでしょうね。体裁も
そちらに合わせるのが良いようにも思いますけれど、
このシリーズはこのタイプで続いていく、のかな？

　シリーズの中では様々な女の子（時には男の子も）が
登場します。それぞれの抱く気持ちも違っています
が、百合度の高い感じで描かれていくと良いかも
ですね。