ゆるゆり 音声ドラマ「櫻子と向日葵 お嬢様修行」

　櫻子は、突然「お嬢様」をめざし始めます。そこには
いろいろ狙いがあったみたいですけど、なぜお嬢様が
ターゲットになったのでしょう。もしかしたら、
上品な言葉遣いで物腰が柔らかくおしとやかな
女の子への憧れが、つい行動に出たのかも。その
おしとやかな女の子というのは、櫻子のすぐそばに
いる彼女、だったりするでしょうか。

　テレビアニメ「ゆるゆり」より、ブルーレイ＆DVDの第６巻
の限定特典として付いてくる音声ドラマを聞いてみました。
タイトルは、「櫻子と向日葵 お嬢様修行」です。
　向日葵の所へ櫻子がやって来た。が、なぜか短歌を
詠んだり、妙に上品ぶった言葉遣いで話したりしている。
どういうわけなのか向日葵が問い詰めると、櫻子は
お嬢様になりたい」と言い出した。彼女によれば、
お嬢様とはおしとやかで皆にかわいがられるもの。
自分もそうなりたいという櫻子を、向日葵は成り行き
から手伝う事になった。手始めに櫻子がイメージする
お嬢様を真似始めるが、向日葵には目も当てられない
出来だった。

　それなりに理由はあったようですけれど、突然
「お嬢様になりたい」と言い出す櫻子。また妙な事を、
と思いながらも、向日葵はつきあっています。
「理由によっては手伝ってあげなくもない」と言って
しまったから仕方なく、みたいな体裁を作って
いますが、向日葵的には別に理由がなくても櫻子に
つきあって力になりたいと思っているようにも
見えますね。
　あんまり甘やかすとつけあがるから厳しく接する
ふりをする、というのが向日葵の今の立ち位置みたい
です。そばにいたり一緒に何かするのは、小さい頃から
ずっと続いていた事もあってごく自然にできている
ようです。そこへさらに、今の向日葵には、櫻子への
愛しい気持ちがプラスされているのでしょうね。

　では同じように寄り添ってきた櫻子にも、向日葵と
近い気持ちがあるのかというと、、、まだまだみたい
です。原作やテレビアニメを含め全体的には、櫻子が
向日葵を意識する場面はあちらこちらにあります。
例えば向日葵が他の子と仲良くしているのを見て
嫉妬したり、食べかけのプッキーを向日葵に分けよう
とした時妙に意識して顔を真っ赤にしたり。でもこの
エピソードでは、そこまではいっていない感じです。
ここでの櫻子は、向日葵を振り回す役割に徹している
とも言えそうです。

　けれど、彼女自身気づいていない胸の奥には、
向日葵のイメージが強くあるのでは、とも思えます。
櫻子が自分の目標を達成するには、別に「お嬢様」に
なる必要は特になかったように感じられます。なのに
ここでこの選択をしたのは、「生徒会」と「お嬢様」を
結びつけるものが彼女の中にあったからなのでは。

　櫻子が生徒会に入ったのは、「向日葵が入ると言った
から」なのだそうです。そして向日葵はというと、
家がお金持ちとか豪邸に住んでいるとかではありません
が、言葉遣いが丁寧でおしとやかで優しい（櫻子に
対しては暴力的になる場合が多いですが）女の子です。
　櫻子の中では、生徒会に進んで入る向日葵のような
子が、自分の目標だと感じているのではないでしょうか。
表面では全く気づいていなくても、櫻子は向日葵に
憧れを抱いているのでは、と思えます。

　もしそういう気持ちがあるとして、櫻子をいつも
気にかけている向日葵はそこまで気づいている
でしょうか？　いえ、櫻子を意識していてもその
深い所までは気づかない、みたいな関係が、彼女達を
よりいじらしくさせている感じがします。

　さて後半では、２人の「お嬢様修行」が佳境に。
向日葵は「ヒマワロミオ」なんてひねった名前を
つけられてしまいますが、何にしても櫻子と向日葵は
「愛し合うカップル」という設定になります。
　向日葵の方はもう意識しまくりで、櫻子がこんな
設定を選んだという事は、ついに２人は恋愛関係に、
みたいな所まで考えてしまっているようです。結果は、
まあこうなってしまうのかもですね。

　といった感じで、ここまで６巻分の音声ドラマを
聞いてみました。テレビアニメ版で脚本を担当されて
いたスタッフの方達が脚本を書かれているため、
原作コミックやアニメの雰囲気が出ていたように
思います。百合な関係も描かれていましたし。
　オリジナルのストーリーでこういう百合な内容が
描かれていくのは頼もしいかもですね。また別の
機会でもこんな雰囲気のドラマが楽しめると素敵
かもです。

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