夏色キセキ 第8話
整理されていく部屋、積み上がっていく段ボール箱、
そんな中で夏休みを過ごしている紗季は、少しずつ、
自分の思いをあきらめようとしているみたいです。
彼女の気持ちに気づいている夏海はついに、、、という
辺りが青春な感じで良いですね。それにさりげなく
優香と凛子も親密な所を見せているようです。
テレビアニメ「夏色キセキ」、第8話「ゆううつ
フォートリップス」です。
引っ越しの時期が近づいて、紗季の部屋はかなり
片付いてきている。段ボール箱の山に囲まれて、彼女
は浮かない顔をしていた。母親は、夏海達と遊んで
くれば、と勧めるが、彼女はアドバイスには従おうと
しない。どうやら自分から誘うのに気が引けている
らしかった。優香が何かやらかさないか、と物騒な
事を考えていると、夏海から電話がかかってくる。
凛子も含め4人で旅行へ行かないか、という誘い
だった。
紗季が密かに期待していたように、優香がまた
何かやりたい事を思いついたみたいです。今度は
他の皆にとっても楽しい事のようで、夏海や凛子まで
乗り気になっていますね。
バリ、沖縄、、、夢はあれこれ膨らんでいきます。
ちょっと現実的でなくても、想像するだけなら自由、
なのでしょう。
わいわいやっている夏海達に、紗季は現実的な
ツッコミを入れています。彼女はだいたいいつも
冷静ですので、こういう立場で発言する事が多いの
かなという気がします。もしかしたら、彼女は小さい
頃から、4人の中でツッコミ役だったのかな。
(それにしても絵が、、、。この話数は割と重要な
展開があり、百合的にも意味がある気がしますので、
絵柄の方も気合いが入ったものを見たかった感じが
します。)
でもここでは、彼女のもう少し別の性格が見えて
きているように思えます。例えば、3人の旅の
プランに文句ばかり言う紗季に、優香が投げかけた
質問、「じゃあ紗季はどこに行きたいの?」に、紗季
は答えられずにいます。
誰かが意見を言った時に、それが正しいかどうか、
考え違いだったり非現実的だったりしないか、紗季は
判断して結論づけるのがうまいみたいです。けれど
自分から意見を出して新しいものを作っていくのは
苦手のようですね。自分が引っ張っていくと言う
よりは、正しいと思える(場合によっては正しくない
と思っても)誰かについて行く性格なのかも。
本作の第1話では、紗季が3人に、自分の引っ越し
の事を初めて伝えています。なので、その前、彼女
自身が、親からどんな風に引っ越しの事を伝え
られたのかはわかりません。
この第8話で紗季が言っている感じだと、彼女の
父親は、島で仕事をするのが前からの夢だった
みたいです(父親の仕事は医者です)。たぶん紗季は、
自分の前で夢を語り、それを実現するために一緒に
来てくれないかと言う父親を見て、うなずいたのかも
です。
自分には、やりたい事は特にない、その一方で、
夢を叶えたいと思っている人が近くにいる。だったら
その人の言う事を聞いてあげた方が、全体から見れば
プラスになるのではないか。紗季はそんな風に考えて
いたりするんじゃないでしょうか。自分がわがままを
言ってだだをこねても、結局誰も嬉しくないのでは
ないか、と。
彼女のそういう思いが、今の彼女の態度に表れて
いるようです。もしこのままなら、紗季は、どこか
満たされない気持ちのまま引っ越して、笑顔もなく
夏海達と離ればなれになるだけ、という感じがします。
そこに猛然と反対するのが、夏海なのですね。夏海
は、紗季が引っ越しを望んでいるなら、自分は寂しい
けれど応援しようと考えていたのでしょう。でも改めて
紗季と話して、彼女の態度や表情を見ている内に、
気づいたのではないでしょうか。
本当は紗季だって、自分達と離ればなれになるのを
嫌がっているんだ、と。夏海は、紗季が自分と同じ
気持ちだったのだと確信できたのかなという気が
します。
実はここが、夏海と紗季の思いがつながった瞬間
なのかな、と思います。夏海は、紗季が自分と同じ
ように感じているなら、自分がやりたいようにしても
いいよね、と思った事でしょう。紗季も、やりたい事
を口に出せない自分の秘めた気持ちを、夏海がわかって
くれて嬉しかったのでは。
最後の方の場面で、何かを言いかけた夏海を、紗季が
必死に止める、という所があります。紗季には、夏海が
何を言おうとしたのか、はっきりわかったのでしょう。
それを聞いたら自分の決心が揺らいでしまう、だから
彼女は夏海に先を言わせなかった、と思えます。
そのすぐ後でも、夏海は何かを言おうとしています。
でも気持ちが高ぶってしまったのかうまく言えない
ようです。
夏海が紗季に告げようとしたのは、紗季が胸の奥では
望んでいた言葉。夏海が紗季をどれだけ必要としていて、
大切で、愛しているか、夏海の気持ちをありったけ
詰め込んだ一言だったのかなと思いたいですね。
この場面は、何というか青春、って感じがします。
周りには誰もいない明け方、潮風に吹かれながら
向き合う夏海と紗季。交わす言葉には、幼なじみ
とか友情とかよりももっと強い愛情が込められている
気がします。
2人が(そして4人全員が)一緒にいるための方法
は幾つかあるのでしょう。けれど、単なる中学生
でしかない彼女達には、壁はとても高いようです。
それでもあきらめずに道を切り開こうとするなら、
彼女達には素晴らしい出来事が起きるのかもしれません。
(ところで、自分がこうしたいという意見をなかなか
言えない紗季ですが、テニスのダブルスで夏海と
ペアになろうと言ったのは、紗季の方かららしい
ですね。タイミングは第1話より前だったようで
本編では描かれていませんけれど、もしかしたら
この時の紗季は、一世一代の心づもりで、夏海に
ペアの事を話しかけたのでは、なんて思って
しまいます。)
こんな風に、夏海と紗季の関係は急接近した感じ
です。が、一方で、これまでのエピソードで2人
よりも百合な雰囲気を漂わせていた凛子と優香も、
さりげなくいい関係を見せているように感じます。
東京タワーを見かけた時や、船に乗った時も、
2人は同じようにはしゃいで一緒に走り回って
います。優香が砂浜から海へ走っていった時は
凛子はついて行かなかったようですが、海から
上がってきた時は、彼女は優香のそばにぴったりと
寄り添っています。
彼女達は何でも一緒にやりたがるのでしょう。
船の中で寝る前に下着を外そうとするのも、、、。
違う所があっても、2人はきちんと補い合えて
います。優香がCDを忘れても凛子がばっちり
サポートしていますね。これには優香も喜んで
しまい、凛子とスキンシップを、、、。凛子には、
そして優香にも、お互いを肌で感じられる瞬間が
たまらなく嬉しいのでしょう。
紗季はこの旅のために冊子を作ってきました。
タイトルは「4人で行く修学旅行」、行き先は、
彼女がこれから住む事になる場所です。
紗季が第1話以来、自分の引っ越し先を「東京」
としか言わなかった事には何か壮大な謎があるの
かなと思っていたのですけれど、そういうわけでは
なかったようですね。ここでやっと夏海達に教える
事ができて、4人の物語はまた一歩進んだと
言えそうです。彼女達はまだいろいろな経験を
するでしょうけれど、その先には明るい未来と
親密な関係があると良いですね。
| 固定リンク
「百合レビュー」カテゴリの記事
- 月開発で百合(2023.04.21)
- アサルトリリィ BOUQUET 第2話(2022.11.07)
- 「艦これ」いつかあの海で 第1話(2022.11.07)
- ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第3話(2022.11.06)
- となりの吸血鬼さん レビュー(原作コミックを中心に)(2022.01.12)
「作品 夏色キセキ」カテゴリの記事
- 今週と来週の百合関係情報(「夏色キセキ」コミック版第3巻、「モーレツ宇宙海賊 コンプリートチャート」発売など)(2013.03.29)
- 今週と来週の百合関係情報(「dolce due」の発行、「ガールズ&パンツァー」イベントなど)(2013.01.25)
- 夏色キセキ ブルーレイ&DVDの第6巻と第7巻のジャケットイラストが公開されています(2012.12.06)
- 夏色キセキ コミックス第2巻が発売です&伊豆急で列車内ミュージアムなどが始まります(2012.10.25)
- 夏色キセキ 新規エピソードなど収録のブルーレイ&DVD第7巻の発売予定があります(2012.10.05)
コメント