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2012年6月18日 (月)

咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 第9話

 照との戦いで怜が感じたのは、自分の持つ能力が通用
しない相手かもしれないという事。彼女の前では、自分は
能力など関係ない本来の打ち手に戻れる、とも言えそう
です。千里山の仲間達が自分の中に見ていたのは、能力
だけなのか、それ以外なのか、怜は意識し始めるみたい
です。、、、って、玄の出番が。彼女にだって試合に
かける思いはあるはずですよね。

 テレビアニメ「咲-Saki- 阿知賀編 episode of
side-A
」、第9局「最強」です。
 準決勝の対戦が始まった。先鋒の玄は気合いを込めて
卓に向かう。しかしながら、千里山からは、2回戦で
押さえ込まれた相手、怜がここでも姿を見せている。
後に控えている宥達に点棒をつなぐためには自分が
点数を稼いでいかなければならないのだが、どうやって
攻めるべきか予断を許さない状況であった。さらに
それだけではない。対面には、昨年の優勝校、白糸台
から、勝利の立役者であり高校生の頂点でもある
宮永照がいた。

 怜が発揮する能力は、場の1巡ほど先の未来を
予知する、というものです。発動の仕方は、彼女の
目が緑色の光を宿し、場が一瞬固まったようになった
後、対戦者の未来の手の動きが見える、といった感じ
です。(第1期の第9話(ちょうど話数が同じですね)に
あった)風越女子の美穂子の「開眼」(前回にも発揮されて
いました)に(画面の効果が)少し似ている感じですね。
 怜のこの能力は、生まれつき持っていたのではなく、
また訓練で身につけたようなものでもありません。
命の危険にさらされて生死の境をさまよった後、使える
ようになっていたらしいです。

 望んで手に入れたわけではない、未来を予見する
なんて常軌を逸している、そんな気持ちが怜の中には
あったかもしれません。この力がなければ、3軍並みの
技量しか持っていない、それが自分の身の丈だという
事を、本人である怜は誰よりも理解していたのでは
ないでしょうか。

 能力のおかげでレギュラーになり、全国大会に
出場し、準決勝まできた、そんな風に考えている
かもしれない怜の前に、照が立ちふさがります。
どういう力が働いているのか、怜の能力は彼女には全く
通用していないようです。
 ここで怜は、思いはしなかったでしょうか。これが
本当の自分なんだ、と。見えていたはずの未来が
見えなくなれば、残されているのは、あの3軍並みの
実力だけ。全国大会準決勝の卓上という場では
ひとたまりもなく吹き飛ばされてしまう。ここは
自分のいるべき場所ではない、と。

 彼女がそこまで考えたかどうかはわかりません
けれど、でも周りはそうは思っていないでしょうね。
ほしくもないのに手に入れてしまった、怜の人間離れ
した特殊能力。竜華やセーラはそれをすんなりと
受け入れ、「すごい」とまで言ってくれました
(もっとも、全国区には「魑魅魍魎」がたくさん
いるのですね。彼女達の場合大部分は自ら進んで能力を
手に入れたのかもですけど)。
 またそれだけではありません。竜華達は、怜が
麻雀を上達できるように一緒に練習していました。
怜のせっかくの能力を無駄にしないためにつきあって
やってる、みたいな打算的な見方もできてしまう
かもしれません。けど彼女達にそんな気持ちが一切
ないのは、顔を見ていればわかるでしょう。皆とても
楽しそうに、怜と麻雀を打っています。皆、もともと
麻雀が大好きなんですよね(この辺りは前回、穏乃達
の練習につきあってくれた選手達にも言える事
ですね)。そして、大切な仲間が麻雀の腕を上げて
いくのを見るのが理屈抜きで嬉しいのでは。

 怜は、新道寺女子の煌からも、何かを感じ取って
いるようです。白糸台の照に2回戦でひどい目に
あわされたらしいのに、ひるむ様子など見せずに
戦っています。相手がどんな能力者であっても、
投げ出したりせずに全力を尽くす。怜は、自分にも
もしかしたら同じ事ができるかもしれない、と
思ったかもです。

 、、、という流れの中で、何というか玄が置き去りに
されちゃってる感じですね。場で何が起きているのか
つかみきれていないようで、頭の上に「?」が並ぶ
場面もありました。全国に名前が知れ渡っている
有名選手と同じ卓で対戦しているのを意識しすぎて
緊張してもいるようです。
 憧がまだ阿多中の生徒だった頃の思い出で、彼女
が持ってきた雑誌に載っている照を、玄は見て
いました。その頃から彼女は全国大会へ出場する
つもりではいたでしょうけれど、照という選手に
ついては、現実感がないというか、別世界の人間
みたいに感じていたのかもです。
 その彼女が今目の前にいる。全国大会の準決勝
なのですからあり得るカードですが、玄はもう
どうしたらいいかわからなくなっているみたい
です。

 照は、玄だけでなく、煌や怜にもペースを
作らせず、自分の上がり方で試合を進めていきます。
3人の打ち筋は見ているでしょうけれど、何か
仕掛けてきてもはじき飛ばすほどのパワーを持って
いるようです。
 力強さという点では、龍門渕の衣も近いかも
しれません。場にいる対局者を逃げられない海底に
引きずり込むような力が彼女にはありますね。
 2人の違いは、衣の場合、対局者をもてあそんで
絶望の底に陥れてから相手を倒すという特徴が
あるように思います。長野の県大会決勝でも、
風越女子の華菜が餌食になりかけていました。
 それに対して照は、相手の事情などおかまいなしに
自分の打ち方を貫いている感じです。玄についても、
最初に見切ってからはほとんど眼中にないみたい
でもあります。

 このまま何も打つ手がなく、玄は敗れ去って
しまうのでしょうか。今は振り込みが少ないためか
1人で沈んではいませんけれど、照の絶対的な
優位はどんどん固まって行ってしまいそうです。
 彼女はまた、「お姉ちゃん」の宥に泣いてすがる
しかないのでしょうか(飛ばされたらそれもできない
ですけれど)。彼女には、精一杯の自分の力で道を
切り開いていってもらいたいですね。ヒロイン
チームとしても思う存分活躍をしてもらいたい
です。

 ところで最後の場面で少し和が描かれていました
けれど、あれは何か深い意味がある、のでしょうか?
穏乃達の夢が叶うのかどうかも含めて気になる所
です。

・「咲-Saki-」レビューリストレビューセンター

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