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2012年5月 2日 (水)

ひらり、 Vol.7 その3

 「氷糖プレパラート」の、ちょっとファンタジーな設定
と、そこで自分達の手で問題を解決しようとする佐織と祐佳
の姿が感動的かもです。ファンタジーっぽいといえば
「魔女と騎士」の2人の会話も面白いです。それから、
「GLコミック大賞奨励賞」を受賞した「コピーフレンド」も
雰囲気が良いですね。

 発行新書館による、年3回刊の「ピュア百合
アンソロジー」こと「ひらり、」のVol.7
見てみました。以前に別の記事でも書いています
ので、よろしければそちらも見てみてください。

ひらり、 Vol.7
ひらり、 Vol.7 その2

 では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・箱庭コスモス(桑田乃梨子)
 「ふし研」の部室には風和(ふわ)と燎(りょう)だけ。
楽しそうに話しかける風和にも、燎の表情はさえない。
彼女の大好きないとこで先輩の燿子と鏡子に、今日は
一度も会えていないからだった。
 風和の友達づきあいってあまり語られていないため
よくわからないのですけど、何となく、周りを気にせず
1人になっても自分の行きたい方に進む、みたいな
感じかなと思っていました。でもここでは、燎に気を
回して自分の主義を曲げたり譲ったりしてますね。
これで彼女の百合な感情が高まる、かな?

・ピンクラッシュ(TONO)
 マールのセクシーショット満載の写真集が発売された。
売り上げは驚異の1000万部。そのほとんどをサナ
が買い占めたのだが、どうしても1冊だけ足りない。
という夢をサナは見た。
 これまで登場する男性陣はもれなく猫や熊、たこ
といった動物で描かれてきた本作ですけれど、ここで
初めて人間の姿をした男性が登場、、、。ストーリー
的にも危うい感じで、何だか百合度も下がっている
ような? でも3ページ目の最初に描かれている
マールの表情が、彼女の本心を表している気がします。

・氷糖プレパラート(ふかさくえみ)
 佐藤佐織には、佐藤祐佳という幼なじみがいる。しかし
2人は何年もの間顔を合わせないようにしている。一緒に
いると得体の知れない怪物達が周りに現れるからだ。だが
中3に進級して、2人は同じクラスになってしまう。
 一緒にいると怖い思いをするから離れる、離れたら
疎遠になる、というのはありがちな事かもしれません。
でも彼女達の場合はどうしても離れられなくて、その
気持ちが強いから何とか問題を解決しようとしているの
ですよね。2人の気持ちが重なれば、未来への希望も
見えてくるのではないでしょうか。
 中学生が不思議な出来事に遭遇し、自分達だけの力で
謎を解明していこうとする、というストーリーは
ジュブナイルっぽい雰囲気もありますね。さらに
それが女の子同士の絆を中心にしているという所が
素敵です。
 後は、進級して初めて同じ教室に入った時の場面も
なかなか印象的です。どんなにたくさんのクラスメイト
達がいても、何年も会っていなくても、佐織は祐佳を
一発で見分けています(たぶん祐佳も同じだったの
ではと思います)。美しく成長した相手を実際に見て、
佐織も嬉しく思うのと同時に、もっと相手に触れたいと
思うようになったのでは。

・あのこのすき、わたしのきらい(王嶋環)
 女子校の演劇部の男役で目立っていたせいか、聡子
と律には校内で女子のファンが多い。ちやほやされる
事について律は楽しんでもいるようだったが、聡子は
彼女の軽い受け答えが嫌でならなかった。
 かっこいい聡子と律がつるんでいるのを見たら、周り
の女子達は2人がくっついているんじゃないの、とか
勝手に想像してるかもですね。でも現実の2人は、、、
彼女達なりの恋の物語を紡ごうとしているのかも
しれません。この感情は2人とも、他の誰にも
教えるつもりはないのでしょうね。

・やわらかいあした(矢直ちなみ)
 日菜の家に中学の制服が届いた。入学まで後3日、
だが彼女は制服を着るのが怖くて仕方がない。そこへ
同じ学校に入る夕が遊びに来る。一緒に制服を着て
みようと彼女は言うが、日菜は首を横に振った。
 夕は、日菜が昔経験した事を教えられていなかった
ようですね。どうして制服を着るのを怖がっているのか
見当もつかないのでしょう。夕がどうやって日菜の
感情に応えるか、という所が重要ですね。ところで
こたつに「ズボッ」って飛び込む日菜が面白いです。

・魔女と騎士 海賊版(犬丸)
 背の高い書架に囲まれて本を読む魔法使いの下へ、
ずぶ濡れの女性がやって来る。彼女は魔女狩師
だったが、相手が魔女ではなく人間の魔法使いである
事をいち早く見抜いた。
 「witch meets knight」より、唯地と内藤が登場、
ですが、物語はファンタジー風になっていますね。
魔女と魔法使い、魔女狩師など設定は奥深そうですが、
いつもの唯地と内藤らしい軽妙な(?)やりとりが見られ
ます。このストーリーでも、この2人はかなり相性が
良いようです。

・コピーフレンド(麻友紗央里)
 香子は同級生の佐知とよく一緒にいるが、正直な所
うっとうしさを感じていた。いつからか相手は自分の
真似をするようになり、グッズや髪型までおそろい
にしてくる。昨日つけていたヘアピンも今日真似された。
 香子は佐知がなぜ自分の真似をするのか本当に
理由がわかっていなかったようです。でも彼女は佐知
を突き放したりはしていないんですね。便利に使える
から、と本人は言うかもしれませんけれど、実は
自分でも気づかない内に、(自分の真似をしていない
部分での)彼女に魅力を感じていたのかも。
 なお、この作品は、「第3回ひらり、GLコミック大賞」
で奨励賞を受賞した作品だそうです。少女漫画の
テイストのあるかわいらしい絵柄や、最後のページの
まとめ方の雰囲気など、良い感じですね。またこんな
形で本誌から新しい百合作家の方が羽ばたかれて
いくのも素敵かもです。

 といった感じで、これまでのVol.1Vol.4が4月
発行だったのとは違って、今号は3月発売となって
います。1ヶ月早まったという事は、これから発行
ペースが速まる、、、? なんて思ったのですけれど、
次号Vol.8は7月の予定だそうで、4ヶ月に1回の
間隔はキープされるようです。このペースは、そう
すぐには変わらない、のかな。

・「ひらり、」レビューリストレビューセンター

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