つぼみ Vol.17 その３

　「むすんでひらいて」は、今までとにかくラブラブ
だったももみといちか、ともとのどかがちょっと危うい
雰囲気に。いつもの雰囲気を早く取り戻せるように
なると良いですね。「きみの温度と形と色と」はガラス
細工の美しさとともに、ななこに目を奪われる咲季の
心情がかわいらしく描き出されている気がします。

　発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.17を見てみました。以前に別の記事でも書いて
いますので、よろしければそちらも見てみてください。

・つぼみ Vol.17
・つぼみ Vol.17 その２

　では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。

（・作品名（作者名（敬称略）））

・キャンディ 第９話（鈴木有布子）
　千秋から、距離を置こうと言われ、ショックを受けた
可南。養護医の原先生のアドバイスに従ってメールを
送る事でかろうじて千秋とつながっていたが、他には
何もする気が起きなかった。
　可南と千秋は、相手を愛する気持ちは同じでも、
その先に見ているものがちょっと違っているみたい
です。理知的な千秋なら可南をうまく抑えられそうな
気もするのですけど、やっぱり会ってしまうと彼女も
可南におぼれてしまうのでしょうね。そんな時に
原先生の存在感が急にアップしてます、、、。
　巻末の作者コメントに書かれている所では、この
作品は次回までとなるらしいです。それで鈴木さんの
担当さんが気にされていたのは、ストーリーが甘く
なるかどうか、だったとか。見ている側としても
そこは押さえていてもらいたいですね。それに
本誌は「あまくてやさしい、百合アンソロジー」
ですし。

・むすんでひらいて その５！（イコール）
　修学旅行に行ったももみ、とも、のどかは、１年生
であるため一緒に行けなかったいちかにたくさん
お土産を買ってきた。旅行の思い出を楽しそうに
話す３人に囲まれて、いちかはなぜかおとなしい。
　修学旅行で離ればなれになっていたから急に
寂しくなった、というわけでもないのでしょう。
いちかは、これまでにも自分と恋人のももみとの
学年の差を感じていたのでは。さらにともと
のどかの関係も何か微妙になってきて、、、。
彼女達は一緒にいる事ができるのでしょうか。
　かわいらしさの中にも色っぽさが描かれる所は
これまでと同じ感じになっていますね。でも４人の
関係は少しずつ変わっているように感じられます。
この先も彼女達（や周りの女の子達）のラブラブが
見られると良いように思います。

・花と星 ８話（鈴菌カリオ）
　花井沢子は、星野詩織をかけた卓球の勝負を、
千果から挑まれた。なぜ詩織が関係するのか沢子は
理解できなかったが、ふと気がつくと、勝負へと
気がはやる自分がいた。
　卓球一筋で恋愛についてよくわからず、千果に
相談しちゃうぐらいですから、沢子は詩織に対する
自分自身の気持ちにもあまり気づいていないのかも
しれません。スポーツをする事でもやもやした
気持ちは吹き飛ばせるかもですけれど、それで詩織
との関係がすっきりするものでもないのかも。

・きみの温度と形と色と（ヨリコ）
　咲季は、前の席に座る榊原ななこに、毎日のように
体を触られている。相手は、「かわいいからつい
触りたくなる」と言うのだが、咲季から見ればななこ
の方がよほどかわいらしいと感じられる。
　意外な所でななこに出くわした咲季が、相手に失笑
されるんじゃないかと不安になる場面があります。
でもななこの実際の反応は全然違っていました。
これは、自分に自信がなくてななこに憧れるばかり
だった咲季が、同じ女の子としてななこと見つめ
あえるようになった瞬間なのかもですね。

・しまいずむ その２３ だいごうてい（吉富昭仁）
　遥と芳子は、サキとマリと一緒にあきらの家へ
遊びに行った。ところがたどり着いたのは大豪邸。
森と広い庭にひとしきり感動した後、奥にある家へ
行くと、そこにはひろみがいた。
　隠そうと思ってもあきらのピュアな愛情は
隠しきれないみたいです。それにサキやひろみは
大人ですから、彼女の気持ちなんてすぐに見破って
しまうのでしょうね。でも別にからかうつもり
なんてなくて、正直に言えば応援もしてくれるの
ではないでしょうか。
　このエピソードでは桜と舞は登場していませんね。
前回の「すーぱーひなまつり」で出番が多かったから
少しお休み、とか？

・「つぼみ」レビューリスト、レビューセンター