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2012年5月11日 (金)

夏色キセキ 第5話

 凛子は、優香に対する自分の気持ちを、割と
すんなり口に出していますね。それもよく聞いて
みると、単なる親しみの気持ちよりももっと強い
感情が働いているように思えます。でも優香の
方はそこまで深く受け取っていないような雰囲気
、、、。いえ、本当は彼女もわかっていて、凛子が
自分の中では一番だと思っているのでしょう。

 テレビアニメ「夏色キセキ」、第5話「夏風邪と
クジラ
」です。
 凛子と一緒にレコード店に来ていた優香は、店主
を前に不満げな声を漏らす。彼女が大好きなアイドル
グループ「Fourseason」のCDを買ったのだが、全国
共通特典であるはずのポスターがないというのだ。
必死に食い下がり、店で調べてもらった所、発注ミスで
まだ届いていないらしい。本当はすぐにでもほしいの
だが、明日には届くと言われ、渋々引き下がる。
凛子にももう1日よけいにつきあわせてしまう事に
なるが、彼女は「問題ない」と答えた。

 放送前に配信されていたPVでは、不思議な印象を
与えるキーワードが登場していました。一つは
「魔女」、もう一つは「風邪を引くとクジラが見える」
というものです。
 「魔女」については、第3話で描かれています。
そして「クジラ」はここで登場するのですね。

 凛子は、昔は(今も?)不思議なものが見えたり
したらしいです。でも本人はそれが当たり前だと
思っていたのか、皆の前も自分の見ているものを
隠さずに言葉に出しています。
 そういう、皆と違った行動をするのは、小学生の
頃だと特に浮いた存在になる原因とも言えそう
です。ここでも凛子は気味悪がられたり嘘つき
呼ばわりされそうになっています。
(ところで、凛子って小学生の時に下田の町に
転校してきたんですね。優香達とのつきあいは
生まれた頃から、とかではないようです。それと、
凛子って神社の子ですけど、そういう人達って
あまり引っ越したりとかしないような気もします
(実際にどうなのかはよく知りませんけれど)。
凛子には何か事情があった?)

 そんな彼女を真っ先に助けたのが、優香なの
ですね。彼女は、ちょっと間違えたら凛子だけが
孤立しそうになる所を、うまく立ち回って場を
収めています。その後すぐに紗季や夏海がサポート
したため、大きな事件にはならなかったみたい
です。
 優香は、凛子が嘘つきだなんて全く思って
いませんでした。凛子が見えると言うならそれは
本当に見えるのであって、でたらめなんかじゃない、
と心底信じていたのでしょう。(それに、空中に
鯨が浮かんでいるのが見えると(ためらわずに堂々と)
言える凛子を、優香はかっこいいと思ったのでは。)

 その時の凛子は、優香が自分を信じてくれたのが
嬉しかったのでしょうね。また、その後成長するに
つれて、優香という女の子を大切に思う凛子の気持ち
は強まったのではないでしょうか。
 大きくなって世の中の様子がわかってくると、空に
鯨が見えるなんて事がどれだけ突飛な空想なのか、
凛子は気づいたでしょう。それを信じてくれて、
今でもそばにいてくれる優香に、凛子は特別な
親しみを覚えているのかな、と。
 途中の場面で、凛子は優香に鯨の事を改めて
説明しています。自分には大事な事でも、優香は
忘れているかもしれないと思ったから、ですね。
少し謙遜の気持ちも入っていたかもしれません。
 でも優香はちゃんと憶えていてくれました。
(もしかしたら、凛子は気を失っていて知らなかった
だけで、教室ではちょっとした騒ぎになっていた
から優香には印象深かった、なんて可能性もある
でしょうか。)どういう形であっても、自分の
思い出と同じ記憶を優香が忘れずにいてくれたのが、
凛子には嬉しかった事でしょう。

 凛子の思いには、深い感謝の気持ちが含まれて
いる、とも言えそうです。でもそれがすべてでは
ないような気もします。感謝以外の凛子の思いは、
この話数では、彼女の言葉や仕草の端々に表れて
いるように感じられます。

 優香がアイドルになるために東京に行きたい、と
言うと、凛子も賛成しています。その返事の中で、
彼女ははっきりと、いつでも優香と一緒にいたい
気持ちを表現してますね。

 フォーシー(=Fourseason)のミハルが、破天荒
キャラだけれどちゃんとメンバーに気配りしている
という話題の時は、ミハルは優香みたい、とも
言っています。(これは、、、「優香みたい」は、
「破天荒キャラ」にかかってる、わけじゃなく「気配り」
にかかってるんですよね、たぶん。)ここでは
凛子は優香をほめるのと同時に、自分は「ミハル推し」
だから、つまり優香に好意を持っているんだよ、と
さりげなくほのめかしているように感じられます。

 優香達がフォーシーのダンスを真似する時に、
凛子がずっとチナツを選んでいた理由は、「いつも
ミハルを見ているから」です。ミハルが優香みたい
なら、チナツになった自分はいつも優香を見ている、
という意味があるのでしょう。

 こんな凛子の行動を一つ一つ見ていると、優香に
対して抱いている彼女の感情は、尊敬とか親愛
どころのものではない気がしてきちゃうのですよね。
もっと強い愛情が働いているように思えます。それも、
ちょっと考えれば(考えなくても?)すぐにわかる
ぐらい、隠さずにけっこうストレートに言っている
感じがします。

 実際、紗季は気づいているっぽいですね。凛子が
風邪を引いて優香が看病している事を、紗季と夏海が
話している時、紗季は「2人きりにしてあげよう」と
言っています。彼女は、凛子が病気で困っているなら、
一番そばにいるべきなのは優香だと感じ取っていたの
ではないでしょうか。夏海はピンときてないみたい
ですけど、大人びた紗季は何となくわかっていたの
でしょう。凛子がいつも優香に向けている視線の
意味を。

 では当の優香がそこをわかっているのかというと
、、、ちょっと微妙な雰囲気もあります。凛子が
優香について行くと言った時は、急に愛しさが
こみ上げてきたのか、凛子にぎゅっと抱きついて
います(遠目でよくわかりませんが顔と顔が重なって
いるような)。また気配りのできるミハルが優香
みたいだと言われた時には顔を真っ赤にして照れて
います。
 優香が凛子に親しさを感じたり凛子の言葉を
信じているのは間違いないみたいなのですけれど、
凛子が優香に抱いている感情とは少し違いがある
ようにも受け取れます。ここまでだけだと、優香に
とって凛子は何年も一緒に遊んだ幼なじみ、という
だけなのかな、とか。

 凛子が、自分達がアイドル(彼女達のユニット名は
FourStarsです)になった夢を見ている場面が
あります。凛子は、チナツがミハルを見ているのと
同じように、優香の背中を見ています。優香は
いつもと同じ明るい声で、会場に詰めかけたファン
の声援に応えています。
 優香にとって自分は、たくさんいる「気配りする
相手」の1人にすぎない。でも自分はできるだけ
優香のそばにいて彼女の笑顔を見られるだけでいい。
この場面には凛子のそんな思いが表れているようで
切ない感じもしてしまいます。

 けれど、希望はあるようにも思えます。気配りの
できる優香が、凛子の気持ちに気づかないはずは
ないでしょうし、それでもずっと一緒にいるなら、
それこそ優香から凛子への意思表示なのではないかと。
それに作品的に考えると、男子に向けた優香の淡い
思いは第4話でけりがついたと思われますので、
後はもう2人で(気持ちも体も?)くっついちゃえば
いいのでは、という気がします。そういう展開を
見てみたいですね。

 凛子と優香は、お互い一緒にいると楽しくて
気持ちが安らぐみたいです。この話数でも、
フォーシーという共通の話題でずっと話し込んだり
一緒に踊ったりもしています。そして離ればなれに
なっているととても寂しくて、凛子は涙声にも
なるほどでした。
 彼女達は、今のようにいつも一緒に遊べるなら
それでいい、と思っているかもしれません。けれど
紗季のようにいつ何が起きるかはわかりませんよね。
2人には、これからも何があっても一緒にいられる
ように、自分達の気持ちをちゃんと確認しあって
絆を深めるのが良いのかなと思ったりします。

・「夏色キセキ」レビューリストレビューセンター

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