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2012年5月 2日 (水)

戦姫絶唱シンフォギア 第13話

 人々をつなぎ束ねていくのは、言葉なのでしょうか。
響達は、この問題について、自分で考え感じた答えを
出しているようです。そこにたどり着けたのは、彼女の
そばに未来がいたからなのでしょうね。という感じ
なのですが、だんだん何でもありの展開になってきて
いるような、、、。第1話の雰囲気はどうなってしまうの
でしょうか。

 テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」、第13話
流れ星、墜ちて燃えて尽きて、そして――」です。
 未来達の歌うリディアンの校歌は、果たして響の耳に
届いた。くじけそうになっていた響は力をよみがえらせ、
さらにはクリスと翼をも再び立ち上がらせた。3人の
まとうギアは光を放ち、威力を高めている。それを
見たフィーネは、デュランダルを使って大量のノイズを
周囲に発生させるが、気力のみなぎっている響達には
ものの数ではなかった。3人は声を合わせて歌い、地表に
はびこるノイズを次々に倒していく。

 自分の体を張ってカディンギルを打ち砕いた翼や、
それどころか絶唱を使った上に砲撃を正面から浴びた
クリスまでもが、限定解除でよみがえっていますね。
最初の方では翼とクリスが口を動かさずに話していた
ため、実は響の思いが作り出した2人の幻影みたいな
ものなのかなと思ったのですけれど、ちゃんと本人達
だったようです。
 リディアンの皆が一致団結した歌声はそれぐらいの
力を持っている、とも言えるのかもです。けれど、それ
にしても何でもありの展開になってしまっているような
感じもしますね。

 第1話の印象では、ノイズという、触れただけで命を
奪われる、言葉の通じない相手に人類がなすすべもなく
蹂躙されていく、みたいな世界観がありました。それに
第1話の冒頭の場面では、響と未来の悲しい行く末が
予言されているようで、大切な人を失った未来が
どうやって生きていこうとするのかといった部分が
描かれていくのかなという感じもしていました。

 けれどこの第13話ではそこまでの悲壮感は出て
いないように思えます。それに、第1話の冒頭とつながる
場面は確かに描かれていましたけれど、その後の展開が
ちょっと都合が良すぎるような。それはもう響と未来
には一緒に暮らしていってもらいたいのですが、
そういう流れを作るのであれば第1話の演出をもう少し
別のものにしてもらいたかった気もします。そのため
なのか、第13話まで見てもあまりすっきりしなかった
ような?

 物語としては、公式サイトにあるコピー「少女の
歌には、血が流れている。」のように、歌や音楽が
主題になっているのでしょうね。それに対して、大昔に
フィーネが受けた呪詛によって、人類の「言葉」は
ばらばらになった、とされています。ノイズも、
その後の人類の混乱から生み出された兵器なのだ
そうで、言葉の通じない人と人との間で使われていた
ものらしいです。それに、ノイズ自体にも言葉は
通じなくて、だからよけいに人類は、ノイズの襲撃に
恐怖を覚えているのでしょう。

 「歌」は、「言葉」にメロディが乗ったものです。
多くの人々の間で、言葉が通じないために争いが
絶えないこの世界でも、もしかしたら歌が人を結ぶ
何かになれるかもしれない、みたいなストーリーが
あったりするとちょっと面白いかもですね。響達が
戦う間に歌っていたのも、未来達が響を応援する
ために校歌を歌ったのにも、重要な意味が出てくるの
ではという気もします。

(それと、途中の場面でフィーネが、ノイズの由来や、
呪詛について語っていますが、大昔の事だったためか
響達にはあまり響いていない感じがしました。これも
実は、言葉がばらばらにされてしまった影響なのかも
ですね。
(それにしてもフィーネの最後の作戦がなかなか驚き
でした。月のかけらを引っ張るって、、、。
 それと、フィーネの目の前で正面から向き合った響が
繰り出した技が。つい、「プリキュアこぶしパンチ」を
思い出してしまいました。))

 歌については、この話数でもたくさん流れて
いましたね。特に、戦いの場面で聞こえてくる
「Synchrogazer」が良い感じです。激しいビートを
刻んだ間奏が、ふと静かになった瞬間、未来が響を
呼ぶ叫びが重なっていきますね。響の力なになりたい
と願う未来の気持ちが表れた感動的な場面なのでは。
「この身朽ち果てても、伝えたいものがある」という
歌詞は、この時の未来と響、2人に共通した思い
なのではないでしょうか。

 これで彼女達は、もう二度と離れないようにお互いを
大切にしていけるのでは、と思ったのですけれど、
2人の間にはちょっと障害があるみたいなんですよね。
本当なら、第9話で未来は二課の外部協力者になって
いますから、機密事項もある程度は知らされてもいい
はずなのですけど、肝心な事をしばらくの間教えて
もらえなかったようです。
 無事ならそれでいいじゃない、とも言えるのかも
しれません。けれど、その事を知らされない間は、未来は
とても深い悲しみに沈んでいました。響を思うと涙が
止まらなくなり、ほとんど世界に絶望していたとも
思えます。
 悲しみに暮れる状態が続いた後、それでも響のいない
世界で自分は生きていかなければならないと彼女は決心し、
生きていくからには響の気持ちを引き継いで、苦しむ
人達の救いになろうと考えたようです。自分はギアを
まとえないけれど、決して希望を捨てる事なく生きて
いこうと。

 そこまでの決心ができた段階であの3人が姿を見せて
いるのですよね。なので未来としてはちょっと力が
抜けてしまったのでは。
 相手の言う所では、また守秘義務が、みたいないきさつ
らしいですけれど、未来に言わせれば、守秘義務と私と
どっちが大切なの? と問い詰めたい気持ちなのでは
と思ってしまいます。
 まあ未来なら何があってもどんと受け入れるつもりは
あるのでしょう。でもさすがにこの状況では、怒っても
いいんじゃない、と思えます。それぐらいあなたの事を
思って、心配していたんだよ、と伝えても良いのでは。

 たぶんこの先、数々の危険にさらされながらも、
彼女達2人は一緒に困難を乗り切っていくのではと
感じられます。苦しみを打ち破る原動力になるのは、
どちらか片方が相手に依存する関係ではなく、2人で
同じ愛情を育てていく事なのだと思いたいですね。

・「戦姫絶唱シンフォギア」レビューリストレビューセンター

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