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2012年4月28日 (土)

つぼみ Vol.16

 「青い炎 薫る土」は陶芸が題材という事で珍しい
感じですけれど、けっこう百合なストーリーと
合っているようで素敵な雰囲気ですね。今号の
表紙もこの作品からのものになっています。
それから「prism」では、恵と光がまた大人な
経験を一つ積み重ねているようです。

 発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.16を見てみました。
 表紙は鳴子ハナハルさんが担当されています。
工房でろくろに向かって陶芸をする制服姿の
2人の女の子が描かれています。本誌掲載の作品
「青い炎 薫る土」より、桃花子(もかこ)と朱里(しゅり)
ですね。桃花子は初心者なので朱里が指導しています
が、体をぴったりくっつけて手を添えている様子は
密着度がとても高いです。うまく作れているために
桃花子の方は喜んでいますけれど、朱里はちょっと
意識しちゃっている?
 裏表紙では、暗い中、毛布を肩にかけた2人が
カップに入った飲み物で暖をとっているようです。
本編中でも陶器を焼くために学校に泊まる所が
描かれています。この裏表紙はたぶんそういった
中の一場面なのでしょう。

 カラーの口絵は甘詰留太さんが描かれています。
女子大の寮とかなのでしょうか、飲んで盛り上がった
女の子達がちょっとしたゲームをしています。
負けたら脱いでいくようで、皆かなりできあがって
いる感じですね。裏の「はじまるよ」のページでは
その続きらしい漫画が載っています。負け続けて
もう脱げなくなったトモに、後輩のハルが別の
罰ゲームを仕掛けています。といってもこれは
「罰」なのでしょうか? 2人にとっては進展の
きっかけになるかもですね。

 では収録作品を部分的にご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・青い炎 薫る土(鳴子ハナハル)
 職員玄関にさりげなく置かれていた花瓶に、
桃花子はある日気づいた。これを作った人を
見てみたい、単純にそう思って入った陶芸部
は、クラスメイトの朱里だけが部員だった。
 朱里は、過去の経験も影響しているためか、
女の子同士の恋愛には後ろめたさを強く感じて
いるみたいです(というか桃花子にしたような
アプローチの仕方だと、相手はどうしても
怖がっちゃうのでは)。そんな彼女には、桃花子
の明るさが救いになるのでは。
 桃花子は、花瓶を作った人を最初は知らずに
いたのですよね。やがて、陶芸部がある事、
顧問が担任の先生である事、そしてあの花瓶を
作ったのがクラスメイトの朱里だという事を
わかっていったはずです。朱里が、クラスでは
誰とも話さずにいる事は前から知っていた
でしょうから、その彼女と花瓶が結びついた
時に、桃花子は何かを思ったのではないかと
考えられます。その上で陶芸部に居続けようと
したのは、朱里ともっと近づきたい気持ちが
あったからなのでしょう。
 でも朱里はそこまで考える事ができなかった
ようです。過去の出来事があるから、女の子
同士で恋仲になれるなんてわけがない、と絶望的に
なっていたのかも。その思い違いが距離を作って
しまいそうになりますが、2人がお互いを
思い続けていれば、誤解なんてなくなるの
でしょうね。
(それにしても朱里のあのやり口だと、気に
入った女の子にはすぐに手出ししているような
感じもします。けど朱里には、女の子達の間を
ふらふらしないで、桃花子だけと愛し合って
もらいたいものですね。)
 この作品は、陶芸というちょっと渋めの部活が
題材になっています。けれど土のしっとりした
感覚や、ろくろを回す時の桃花子と朱里の接近ぶり
など、百合的にはなかなかのシチュエーションに
なっている気がします。ちなみに、陶芸をやって
いると粘土に触れる機会が多いため、余分な角質が
つかず手や指はけっこうすべすべになるらしいです。

・星川銀座四丁目(玄鉄絢)
 乙女の秘密をのぞいてしまった日名は、以来
相手とまともに顔を合わせる事ができずにいた。
しかし何も知らない乙女はお構いなしに、頻繁に
日名の所へゲームをしに来る。
 前半の男性のエピソードは必要だったのかどうか
、、、。それとも後であの人が物語に大きく関わって
くる? まあ少なくとも、乙女が人を詮索するのを
良くないと言った事もあり、日名は自分のした事に
罪悪感を感じているのでは。でもそうだとしたら、
乙女の方もあまりほめられない、のかもですね。
 好意を持っている相手が自分をどう思って
いるのか知りたい、という気持ちは誰にでも
あるかもですけど、ここでの日名の場合は、
やり方があまり良くなかったようです。こんな
事してたなんて、相手に正直には言えない
でしょうし、彼女はどうなっちゃうんでしょう。

・総合タワーリシチ 第4回目(あらた伊里)
 眠っていた悠を、つい下の名前で呼んでしまった
神奈。目覚めた悠に問い詰められて、仕方なしに
本当の事を言うが、悠は怒っているわけではなく、
顔を赤らめていた。
 相手が気になっていつも悠を見てしまう神奈。
これまでは(無駄に?)ライバル心を燃やすだけ
でしたが、相手の本当の姿に、少しずつでも
近づけているようです。下の名前で呼んだり
呼ばれたりするのが恥ずかしい、っていうのも
初々しいですね。後は悠の気持ち次第でしょうか。
 4人の「ちゃらんぽらんズ」は相変わらずのノリ
ですけれど、神奈と悠の関係の変化には気づいて
いるでしょうか。もし2人が親しくなったとしたら
祝福してくれるのかどうか、ちょっと気に
なります。

・prism #6(東山翔)
 担任の陽子が旅行で留守にしている間、彼女の
飼っている熱帯魚の面倒を見る事になった恵と光。
部屋を自由に使っていいと言われているが、2人
きりだと変に意識してしまう恵だった。
 確かに陽子は「自由すぎ」かもですね。その
おかげで恵達はまた一歩大人に? 女の子である
恵に女の子として恋し続けてきた光も、女同士の
愛し合い方までは知らなかったようです。でも
それは、光が恵以外の女性には振り向きもせずに
いた事の証なのではないでしょうか。
 最初に描かれていた回想場面で、制服を着た
2人はこんがりと日焼けしていました。これは
前回の最後の場面と重なっていますね。2人は
それまで何度も、たぶん2人きりで、海へ遊びに
行っていたのでしょう。

・しまいずむ その22 すーぱーひなまつり(吉富昭仁)
 紙を切り貼りして小さなおひな様を作った舞。
気がつくと、新聞紙で作った十二単をまとった
桜が隣にちょこんと座っていた。彼女によれば、
「リアルおひな様」なのだそうだ。
 おひな様から結婚式へ話題が移り、舞は桜が
結婚にどういうイメージを抱いているか気に
なっているようです。これまでにもほのかに
描かれていましたけど、舞は桜に対して友情以上
の気持ちを抱いているような。その思いは
桜に通じるのか、気になります。
 ところでサブタイトルはどこかで聞き覚えが
あると思ったのですけど、Vol.5に掲載された
エピソードが「その9 ちょうひなまつり」でした。
それに、桜と舞が新聞紙で作った服を着る、
という遊びも、Vol.2に掲載された「その2
にゅーすぺーぱー
」で描かれています。この手の
遊びは、彼女達の間では定番なのかもですね。

・「つぼみ」レビューリストレビューセンター

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