ひらり、 Vol.6 その3
「ラスト10ミリ」は、会えない時間にも相手への
気持ちが高まっていく感じが良いですね。また
「オルガンのお姉さん」美果のまっすぐな気持ちが
なかなか快いです。それから「ハルノート」では、
これまでの作品にも出ていた茜女学院が舞台に
なっていて、女の子同士の関係への初々しい思いが
描かれている感じがします。
発行新書館による、年3回刊の「ピュア百合
アンソロジー」こと「ひらり、」のVol.6を
見てみました。以前に別の記事でも書いています
ので、よろしければそちらも見てみてください。
では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。
(・作品名(作者名(敬称略)))
・さろめりっく(袴田めら)
さろめの母親の芽衣子が、さろめに新しい制服を
買おうかと言い出した。家にはお金がなかったはず
だが、芽衣子は気にしていない。それどころか再婚
するかもしれないという。
さろめの魔法の力に変化が起きているみたいです。
そこには彼女のひかりへの思いが関係している
雰囲気もありますが、今のさろめにはそこを深く
考える余裕はないようです。このまま今までと
変わらない生活を送るのか、それともひかりと何か
関係を持つのかは、やはり彼女次第なのでしょうね。
・ハルノート(大沢あまね)
親の仕事の影響で、香りに興味を持つようになった
天野チカは、学校でアロマ研究部を立ち上げるほど。
ある日友達の長谷川春から、自分に合う香水を作って
くれと頼まれるが、なかなか思い通りにいかない。
オイルの分量を量って相手のイメージに合う香水を
作る、というのは、客観的に相手を見る事にも
つながるのでしょう。チカが春の香水をうまく
作れないのは、客観的に見られないから、なの
でしょうね。でもチカはプロではありませんから、
これはこれで良いのではないかと思えます。
大沢さんの作品では、これまでにも、本誌の
Vol.3、Vol.4、Vol.5、それにWEBウィングスに掲載
された作品にも、茜女学院の生徒達が登場しています。
このシリーズでまとめてコミック化するとかいう
企画があったりすると面白いかもですね。
・箱庭コスモス(桑田乃梨子)
部長の風和(ふわ)がいない「ふし研」の部室で、
幽霊部員の燿子と鏡子は暇そうにしていた。
一卵性の双子である彼女達は、暇に飽かせて
昔の思い出を話し始める。
生まれてからずっと双子をやってる彼女達なら、
双子がどんな感じなのかわかりきってはいるの
でしょう。それでもあれこれ話し合うのは、
それほど暇だったからなのか、それとも、本当は
不思議な話題が大好きだったりするのかもですね。
風和が聞いたら喜びそう?
・蜜よりもあまい(三嶋くるみ)
クラス替えのあった日、小泉姫子は新しいクラスに
どれぐらい知り合いがいるか辺りを見回していた。
そんな彼女に、鈴木かみらという女の子が声をかけて
くる。見た目は幼く、転校してきたばかりらしい。
クラス替え初日に、自分の事で頭がいっぱいに
なっていた姫子がかみらに優しくできたのは、かみら
が寂しがっていると思ったからなのかもしれません。
でもその気持ちはだんだん変わっていくみたいです。
それにしてもエンディング、、、オチがついていない
ような。これは続きがある、という事でしょうか。
・ラスト10ミリ(茉崎ミユキ)
友達との実りのない会話に疲れを感じている彩(さい)
は、帰りのバスに1人揺られていた。そこへ、隣の
高校のジャージを着た女の子が乗車してきて、彩の
隣の席に座る。
同年代の女の子にはちょっとうるささを感じてさえ
いるらしい彩ですが、隣の高校のこの女の子は
不思議と気になるようですね。お互い話した事も
ないのに、後半では良い雰囲気に。それと、リップ
クリームと会えない時間、それに2人の間の距離の
対比などの描き方が素敵です。
ところで彩が面倒くさがっていた友達というのも、
実はけっこういい奴っぽいですよね。彩もちゃんと
相手をすればもっと彼女達の良さがわかるのかも。
それに、彩がつい女の子の方に目が行っているのを
見つけても、明るく笑って「そっちの趣味なん?
いいぞいいぞ」と軽く対応しています。これからもし
彩がお目当ての子と仲良くなれても、この友達なら
きちんと受け止めてくれそうですね。
もう一つ気になるのは、その相手の子です。学校
では女子からの人気が高いみたいですから、百合な
エピソードには近い所にいるようにも思えます。
だから彩と話す時も、めいっぱいつやのある雰囲気が
出ていたのでは、とも思ったりします。女の子同士の
関係にはうぶらしい彩が、あんな笑顔を向けられたら
もうそれだけで惹かれてしまうのではないかと。
相手の子が彩に好意を持っているのかどうか、また
彼女達が本当に思いを通じ合わせて恋仲になれるのか
など気になる部分は多いです。このストーリーは
続いてもらいたいようにも思うのですけれど、どう
なるでしょうか。
・オルガンのお姉さん(前田とも)
美果の家の隣に住んでいた年上の律ちゃんは、昔
よくオルガンを弾いていた。久しぶりに会った彼女は
とても大人びていて、化粧もするしたばこも吸う。
でもオルガンの演奏は変わらず上手だった。
昔の記憶と今の彼女、オルガン、写真、、、いろいろな
断片をつなぎ合わせて、美果は律ちゃんの気持ちに
たどり着いてみたいです。そこで身を引いてしまったら
律ちゃんと同じ。でもそうしない所が彼女なのでしょう。
その行動力が何かすがすがしくて青春という感じが
します。それに最後のページのせりふも良いですね。
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