輪廻のラグランジェ 第１０話

　「ジャージ部」を１人で切り盛りしてきたまどか。
成績も良くスポーツも得意な彼女なら、部活の
スケジュールの過密さもどうという事はないのでしょう。
１人なら誰にも迷惑をかけないし、何も失わない、、、。
まどかはそんな生活に、自分でも知らない内に慣れて
しまっていたのかも。でもそのままでいいかどうか、
彼女は決めようとしているみたいです。

　テレビアニメ「輪廻のラグランジェ」、第１０話
「さらば鴨川」です。
　鴨川の空は高く晴れ上がり、秋らしい陽気を見せて
いる。今日は鴨女の文化祭、「おらが祭」の開催日だ。
まどかの弁によれば、あまたの部活の出し物の事前
準備を自分達が手伝ったのだから、それらはすべて
「ジャージ部」の出展と言えるのだとか。だから
自分達の部の出し物をチェックしに行こう、と
元気に部室を飛び出す。ランとムギナミは彼女の
言いように納得はしなかったが、ともかく文化祭を
楽しもうと、まどかと連れ立った。

　まどかは第８話でウォクス・アウラ（＝みどり）に
乗る事を禁止され、本人もそれに従いました。ランや
ムギナミと一緒に自由に空を飛べなくなる訳ですが、
それでも２人と一緒にいられるから、と考えて
出した答えだったようです。
　その後は偶然出撃はなかったみたいですけれど、
３人は家でも学校でもそばにいて、わいわいと楽しく
日々を過ごしていたのでしょうね。こういう生活が
続くなら、確かにウォクスに乗れなくてもいい、
と考える所なのでしょう。

　ランとムギナミが現れる前、まどかは１人で
ジャージ部の活動をしていました。といっても
別に浮いた存在だったのではなく、同級生のさちや
みち、しょうこ、あやね、下級生のともえ、それに
上級生のえりか達とも親しく交流していました。
　ジャージ部に人が入らなかったのは、まどかが
引き受けてくる頼まれごとの幅が広く量も多かった
ため、周りがためらっていた、というのが事実
みたいです。第１話で、まどかのスケジュール帳を
のぞき込んだみちが、その過密さに尻込みをする、
という場面がありました。

　だからまどかは、ジャージ部という彼女にとって
一番大事な活動は、いつも１人でしていました。
彼女にはもうそれが普通になっていたのでしょう。
小さい頃に自分が憧れた信念を実現するための
行動ですから、他の人がついてこられないから
といって責めたりはできないでしょうし。

　そうしている時に、彼女はランとムギナミに
出会いました。その後いろいろドラマティックな
事が起きて、彼女達は他の誰よりも親密な関係を
作れたようです。

　まどかにとっては、自分の気持ちを理解し同じ
気持ちになってくれる人に出会えたのは、実は
これが初めてだったのかもしれません。これまで
にも「友達」と呼べる人は彼女にはたくさんいた
事でしょう。でもたくさんいたためにかえって、
もっと深い関係になれる人がいるという事に、
彼女は気づけずにいたのかなと思えます。

　その状態は今でも続いていて、まどかはランや
ムギナミを、「友達のすごいバージョン」みたいに
捉えているのでは。確かに、素っ裸で夜の海に一緒
に入ったり、ウォクスの前で身を寄せ合い黙って
お互いの体のぬくもりを感じあえたのは、この
３人だけなのでしょう。それどころか一緒に
ジャージ部としてあちこち飛び回った経験さえ、
まどかはランとムギナミとしかしていないの
ですよね。

　でももっと、彼女達の間には強い関係があって
いいようにも感じます。まどかには、ジャージ部の
仲間ができた、という事以上に、恐がりで泣き虫な
ランと、大人ぶっていても寂しがり屋なムギナミ、
それに自分を合わせたこの３人の女の子だから仲良く
できる、といった絆を見てみたいものです。
　オープニング主題歌「TRY UNITE!」の歌詞には、
「宇宙の果てまできたら だれもいないから もう
遠慮せずに 地球を忘れて 君を抱きしめる」という
部分があります。彼女達には、部活とかウォクスとか
を離れて、鴨川や地球を守る事よりももっと強く、
お互いを求め合ってもらいたいかもですね。
　それに、確かにその予感はあるように思えます。
最後の場面では、３人は他の事情よりもお互いの
事を一番に考えているようです。ランとムギナミは
まどかのために、まどかはランとムギナミのために、
行動を起こしています。こんな風にして、彼女達には
もっと近づいていってもらいたいですね。

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