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2012年3月15日 (木)

戦姫絶唱シンフォギア 第8話

 前回の話数の雰囲気だと、響と未来の関係は
とても遠くなってしまった雰囲気だったのです
けれど、この第8話では、サブタイトルが示す
ような気持ちを、お互い持つ事ができているみたい
です。響にとっても、未来にとっても、相手は
失いたくない存在のはず。これからは隠し事のない
2人でいられると良いですね。

 テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」、第8話
陽だまりに翳りなく」です。
 ノイズに追われて未明の街を駆け抜けるクリス。
反撃を加えて何とか蹴散らす事ができたが、体力は
限界を迎えていた。立ち上がる力もなく路地裏で
うずくまっていた彼女を見つけたのは、未来だった。
「フラワー」へ連れて行って、汚れていたクリスの
服を自分の体操服に着替えさせ、布団に寝かせて
やった。その後気づいたクリスは、未来達の手厚い
看護に戸惑いつつも、感謝の気持ちを伝えた。

 クリスの行動は、表面としては破壊的で、誰の
言う事にも耳を貸さない、手のつけられないものに
感じられるかもしれません。けれどこの所の
エピソードで、彼女の中にある本当の事情が描かれて
きている感じがします。
 クリスが何をしてきたのか知らない未来には、彼女
は、苦しい思いをして困っている女の子としてしか
見えないのでしょう。そしてその感覚は、他の事情
など押しのけて、まさしくクリスの本質を見抜いて
いたように思えます。だから未来は、クリスを助けも
したし、相手に対して優しい気持ちを持ったのでは。

 これまで長い間、クリスは大人達にひどい目に
遭わされてきたようです。ストーリー上はその部分は
あまり詳しく説明されていませんが、少なくとも
未来は、本人が経験したものを感じ取っていたの
でしょう。
 自分の境遇を、クリスはたどたどしい言葉で嘆いて
います。そんな、愚痴のようなものを聞いてくれる
人さえ、彼女の周りにいなかったと思われます。

 未来はクリスに、自分の服を着せたり、体を拭いて
あげたり、いろいろな事をしてあげています。でも
それは、これまで友達と呼べるような人もいなかった
クリスへの憐れみ、ではないはずです。クリスと
自分が友達だと言うのも、かわいそうだからじゃなく、
本当に仲良くなりたい、友達になりたいと思ったから
なのだと思います。響に対して抱いているような
感情とは別でしょうけれど、未来はクリスともっと
近づきたいと考えているのでしょうね。

 もしそうなら気になるのは、未来がクリスの事を、
響にどう伝えるか、なのかなという気がします。もし
この事を響に言わないのだとしたら、それは「隠し事」に
なってしまいますよね。自分達の間に隠し事はしない、
という約束を守るつもりであれば、黙っている事は
できないでしょう。
 クリスと友達になった、と未来から聞かされた時に
響はどう思うでしょうね。まあ「私も友達になりたい」
みたい言いそうでしょうか。ちょっと引っかかったのは、
響はクリスを「クリスちゃん(クリスチャン?)」と言って
いるのに対して未来は「クリス」と呼び捨てです。この
辺りに温度差ができたり、なんて事はあるかな?
(ところでクリスを保護した未来は、なぜ体操服の上
だけ着せたのでしょうね。あの場面の様子だとクリスは
パンツまで脱がされていたっぽいですけど、、、。
もしかしたらいつも未来はそういう格好で寝てるから
不思議に思わなかった、とか? それが彼女のたしなみ
なのでしょうか。)

 未来がクリスとの友情を築き始めている頃、響は
翼と話し合っています。学校でも、シンフォギアを
まとう者としても先輩である翼は、心細くなっている
響の気持ちを、何とか上向かせようとしています。
が、ずっと奏に励まされ続けていた彼女は、なかなか
うまく言葉をつなぐ事ができないようですね。ついには
「奏みたいに励ますのは難しいな」と本音が出ています。
 けれどこの言葉は、響にはかえって嬉しかったかも
ですね。翼の言う事はいつもまっすぐですから、この
言葉も真実を表している。つまり、翼は響を励まそうと
したのです。そんな風に誰かに大事にされていると
感じられるのは、響にはとても心強かったのでは
ないでしょうか。

 ちょっと心配だったのは、この場面で響が「小さな事に
気持ちが乱されて」みたいに言っていた事、だったり
します。この「小さな事」というのは、未来と仲違い
した事、ですよね。それも、ちょっとけんかした、とか
ではなく、未来は「もう友達じゃいられない」とまで
言っていました。
 これが本当に、響にとって「小さな事」だとしたら、
2人の関係はとても冷え込んだものになりそうです。
響が翼達と戦う限り、未来とは以前のような関係には
なれなくなってしまうでしょう。
 たぶん響は、「自分から見て」ではなく、「周りで命を
かけて戦っている人達から見たら」小さい事だと言おうと
したのかもしれません。話している相手が翼なので
よけいにそういう気持ちになった、とも思われます。
 でもやはり、何がどうなったとしても「自分にとって
一番大きな事」だと、響には言ってほしかった気も
します。本当に守りたいのは、何気ない日常なんかよりも、
未来が無事でいる事なんだと、彼女には意識してもらいたい
ように思ったりもします。いつノイズが攻めてきて命を
落とすかわからない、日常とはかけ離れた危険な世界で
あっても、未来さえ隣にいてくれれば何でもできる、と
感じていてほしい所ですね。

 後半の場面では響と未来がようやく本音で話し合える
ようになります。お互いの気持ちが同じなのか違うのかが
はっきりする展開なのでしょうけれど、彼女達にはいつも
お互いを見つめ合っていてもらいたいものです。
 少し前までの2人から変わってしまった点は、響が
シンフォギアを発動させてノイズと戦い始めた、という
部分でしょう。それは響にだけ与えられた力ですが、
未来だって響にだけ重荷を背負わせたくはないはず。
これから戦いが続いていくとしても、何とか彼女達が
手に手を取って一緒に進める未来が開けるようになると
良いですね。

・「戦姫絶唱シンフォギア」レビューリストレビューセンター

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