« スイートプリキュア♪ 第46話 | トップページ | その花びらにくちづけを 「玲緒っぽいらじお」第23回 »

2012年1月22日 (日)

くちびる ためいき さくらいろ 続第3話「嵐の前」

 自分達だってようやく確信して育て始めた気持ち
ですから、それを他の人に理解してもらおうと
思ってもすぐには難しそうな気もします。瞳が
決心したのは、これからも経験するかもしれない
周りとの摩擦を、ごまかさずに受け止めようと
する意思の表れなのかも。では奈々の方はどんな
風に振る舞うのでしょうね。

 発行双葉社コミックハイ!連載が再開された、
森永みるくさん作「くちびる ためいき さくらいろ」の
続編第3話「嵐の前」です。
(なお、この作品はこれまでコミック百合姫などで
連載されていました。そちらの話数と区別するため、
ここでは「続編第1話」などのような表現としています。
それから、これまでに制作された9話分については、
現在すべてが無料でネット配信されています。)
 バスケ部の同級生の坂井千絵に誘われ、瞳は彼女の
家へ泊まりに行った。奈々以外の友達の家への
お泊まりは子供の頃以来だったが、温かい家庭に
癒される思いだった。その後、千絵の部屋で、瞳は
2人で話し合う。千絵が彼女を呼んだのは、相談事が
あったかららしい。中学の頃ボーイッシュだった
千絵は、ある女の子から告白された事があるの
だという。

 千絵は、瞳が東峰に入学した頃からの知り合い
らしく、ストーリー上でも、一番最初のエピソード
ともだちじゃなくても。」の時から姿を見せて
います。そこから今まで2人は同じバスケ部で
部活をしてきたのでしょうから、千絵は瞳がどんな
性格なのかはわかっているのではと思えます。
 それに彼女は、瞳と奈々が別々の高校に進学した後
初めて再会した時に、その場に居合わせていました。
いくら瞳が機転の利く人だったとしても、その
瞬間の表情の変化は隠せなかったと思います。
千絵は、その瞬間を見ていたただ1人の女の子
なのですよね。
 また、たぶんその日を境目に瞳の雰囲気は
変わっていったのではという気がします。奈々と
会ってお互いの気持ちを伝え合えたわけですから、
瞳としては人生が変わったような気持ちだった
でしょうし。それに、その後のバスケの試合に
頻繁に奈々が来るようになったのも、千絵は
見ています。「天国に一番近い夏。」の時は、
奈々の通う桜女との練習試合だったのでまだ納得
できる範囲ではあったでしょうけれど、他の学校
との試合の時にも奈々が来ていて、後輩の加賀見
でさえ気づくほどでしたから、千絵の印象にも
強く残っているのかも。

 もしかしたら瞳と奈々は、幼なじみとか友達
のような範囲を超えた関係なのでは、という
意識は、千絵の中ではほとんど確信だった、とも
考えられそうです。もしそうなら、千絵はどう
するのでしょうね。

 その結果がこのエピソードには書かれている
ようです。千絵は、奈々との関係について瞳から
聞いて、反応を返しています。その言葉には、
中学の時の自分の経験も反映されてはいるの
でしょう。
 でもそれよりももっと強い思いが、彼女には
あるように感じます。1年生の頃から瞳と一緒に
いた彼女には、瞳がどれだけ真面目で誠実で、
嘘が嫌いな人間なのか、よくわかっているのだと
思います。そんな瞳が何よりも大切にしている
気持ちなら、(自分自身は同じように考えられ
なかったとしても)尊重してあげたいと、千絵は
考えたのではないでしょうか。

 もし千絵が瞳の事を誤解していたら、自分の家に
呼んで2人で同じ部屋に泊まろうとは思わない
でしょう。千絵は瞳を全面的に信頼しているし、
一番の友達だと思っているのでしょうね。
 こういう人にはなかなか巡り会えないのでは
ないでしょうか。瞳は良い友達を持ったのでは、
と思います。

 千絵が瞳を家に呼んだのは、友達として力に
なりたい、何もできなかったとしても相談相手
ぐらいにはなりたいと考えたからなのかもです。
でも普段の瞳は、奈々とつきあってるなんて、
おくびにも出しません。頭のいい瞳を誘導する
ために考え抜いた結果、千絵はこういう作戦を
とったのでしょうね。

 瞳も、千絵の心遣いに触れて、改めて自分の
振る舞いに気づかされたようです。部活での仲間
とのスキンシップは極力少なくて、奈々以外の
友達の家に泊まりに行く事もほとんどない、、、。
これってもしかしたら、瞳なりに奈々に操を立てて
いたのかもしれませんね。

 そんな瞳の友達づきあいを聞いて、奈々も自分の
事を振り返ってみたようです。例えば同じクラスの
阿倍なるみ。彼女は演劇部の先輩の橘に憧れていて、
バレンタインにはチョコレートを贈ったり、皆の
前でも橘がどれだけ素敵な人なのか得意げに説明
したりしています(2人がつきあってるとか
愛し合ってるとかまでは言っていないっぽいです)。
そこまで女性同士の関係に理解があるなら、なるみ
に自分と瞳の事を打ち明けても良いかも、という
気にはなっているみたいですが、奈々はなかなか
踏み出せないようです。
 実の所、なるみは、奈々にはボーイフレンドが
いると思い込んでいるのですよね。奈々は何も
言わなかっただけなのですけど、やっぱり友達に
本当の事を隠しているのは後ろめたいようです。
でも、あまり焦らずにゆっくりと誤解を解いて
いっても良いのでは、という気もします。なるみ
だって、奈々が折り目正しいきちんとした女の子
だという事はわかっていると思いますので。

 ところでなるみと橘の方も進展があったみたい
ですね。橘は携帯デビューして、なるみの進学先も
、、、! 「ないしょの恋人」のエピソードの時は
どうなる事かと思ったのですけれど、とにかく
良かったです。そしてこうなると、やっぱり
奈々と瞳だけじゃなく彼女達の物語も見てみたく
なりますね。

 さてこの話数では、「ないしょの恋人」や「クラス
メイト
」の時のような奈々と瞳とのふれあいは
少ないようです。2人の間のいちゃいちゃも見て
みたい所ですけれど、ここではやはり外へ向かって
羽ばたいていこうとする彼女達の姿が描かれて
いるのが良いですね。
 この感じでこれからも周りとの関係をうまく築いて
いければ、と思っていたタイミングで、何か波乱が
起きそうな予感が。奈々と瞳はどうなっていくの
でしょうか。

・「くちびる ためいき さくらいろ」レビューリストレビューセンター

|

« スイートプリキュア♪ 第46話 | トップページ | その花びらにくちづけを 「玲緒っぽいらじお」第23回 »

百合レビュー」カテゴリの記事

作品 くちびる ためいき さくらいろ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: くちびる ためいき さくらいろ 続第3話「嵐の前」:

« スイートプリキュア♪ 第46話 | トップページ | その花びらにくちづけを 「玲緒っぽいらじお」第23回 »