スイートプリキュア♪ 第４４話

　２つの異なるメロディが激しくぶつかり合います。
戦いの余波は加音町の人々を巻き込んで大きな
ピンチに。でも今の響達では、ノイズとの力の差は
明らかなようです。それに彼女達が追い詰められる
ほど、ノイズには有利になるのですよね。響達は
再びプリキュアとして立ち上がる事はできるの
でしょうか。

　テレビアニメ「スイートプリキュア♪」、第４４話
「ドレラド～♪聖なる夜に生まれた奇跡ニャ！」
です。
　クリスマスが近づき、加音町は華やかなムードに
包まれている。まりあは娘の響のためにたくさんの
プレゼントを用意し、団も腕によりをかけて料理を
作るという。しかしながら、当の響はあまり楽しい
顔をしていない。不思議がる両親の視線を避ける
ように、彼女は外へ出て行く。調べの館で行われる
クリスマスコンサートについて奏に相談するとは
言ったが、本当は、ノイズにすべての音符を奪われた
事が気がかりだったのだ。

　最初に第１話で「伝説の楽譜」を奪われ、今度は
すべての音符、それにキュアモジューレに託された
ハートのト音記号も全部ノイズの手に渡ってしまい
ました。マイナーランドでは、ノイズ達の前で楽譜に
「不幸のメロディ」が書き込まれ完成してしまった
はず。これが歌われれば、世界は不幸の底に沈め
られてしまいます。
　トリオ ザ マイナーの内、バスドラとバリトンを
一時的に正気に戻す事ができたものの、結局はまた
ノイズの側に引き込まれています。それに２人を
救うために力を使いすぎたメフィストは倒れたまま
意識が戻っていません。響達にはもうどうする事も
できず、ノイズの侵略を黙って待つばかりになって
いるようです。

　でもそうやって悲しみに暮れる事こそが、ノイズに
力を与える結果になってしまうのですよね。ノイズの
力の源は不幸のエネルギー。悲しみや苦しみが深く
なるほど、ノイズは強さを増していきます。
　対抗する手立ては、悲しみに屈しない気持ちを持つ事、
なのかもしれません。でもこれって実は、プリキュア
としての力を高めるよりも難しい事のようにも
思えます。これを成し遂げられるかどうかは、響達の
気持ちにかかっている、と言えそうです。

　その一方で、音吉も準備を整えていたようです。
今人間界にいる仲間の中では、ノイズと直接対決
したのは音吉だけですね。しかもその時は音吉１人
だけでノイズを封印する事にも成功しています。
　その後ノイズの復活を予感した音吉は、時間を
かけて対策を練っていました。それがここに来てついに
完成しています。

　最大級の不幸を手に入れるためにタイミングを
狙っていたノイズとファルセットに立ち向かうため、
音吉はパイプオルガンを演奏します。この場面では、
メイジャーとマイナーのすさまじい戦いが火花を
散らしていますね。相容れない２つのメロディが
ぶつかり合っています。

　でも真の戦いは、まだこれからなのかも、という
気もします。「不幸のメロディ」を完璧に歌いこなす
には、エレン（セイレーン）やハミィほどの歌い手が
必要になると思われます。ファルセットもそれなりの
実力はあるのでしょうけれど、以前メフィストが言って
いたように、エレン達に比べれば力不足なのかも
です。
　それに、ここで音吉が奏でていたのも「幸福の
メロディ」そのものではなさそうですね。この旋律を
歌うのはやはりハミィなのでしょうし、それを実現
するにはキュアメロディ達が全力で音符を取り戻す
必要がありそうです。
　戦いは新しいステージに進んでいくようです。
うまくやり遂げられるかどうかメロディ達は不安
でしょうけれど、残された人達のためにも、今は
前進していくしかないようです。そしてもしうまく
楽譜を完成させる事ができたなら、響達は穏やかな
気持ちでクリスマスコンサートをする事ができるの
でしょうね。

　さて百合的な場面としては、、、家を出て奏の所へ
行った響は、広場のモニュメントの前で奏に会います。
たたずむ奏の隣に響がすっと寄り添って立つ様子は、
待ち合わせをした恋人同士といっても良さそうな。
折しも空からは粉雪が降ってきて、正にホワイト
クリスマス。ムードは満点なのではないでしょうか。

　もう一つ、伝説の楽譜がネガトーンにされて
しまった事に胸を痛めた響が、楽譜に向かって必死に
呼びかける場面で、心細くなっている彼女を最初に
元気づけるのが奏なのですね。きつく握った手のひら
からは、響を懸命に支えようとする奏の思いが
伝わっているのでは、と思います。
　、、、激しい戦いに向かっていく展開の中で百合な
表現がこれだけあったのは、実は喜ぶべき事なのかも
ですね。といっても響と奏のつながりをもって見て
みたい所です。

・「ふたりはプリキュア」レビューリスト、レビューセンター