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2011年12月22日 (木)

ひらり、 Vol.5

 「お姉様のきもち」では、「お姉様」の世界に憧れる
杏奈と、彼女にツッコミを入れているようで実は
けっこうそのノリにつきあっている皐の関係が
面白いかもですね。「先生は思春期」では、教師
としてちゃんとしようとする真保が、新しい気持ちに
気づいていった結果どうなるか、という所が描き
出されていくようです。

 発行新書館による、年3回刊の「ピュア百合
アンソロジー」こと「ひらり、」のVol.5を見て
みました。

 今号の表紙は松本花さんが担当されています。
夏祭りの騒がしい空気から少しだけ離れた神社の
境内。浴衣の女の子と制服を着た女の子がいます。
浴衣の子は鼻緒が擦れてしまったようで、制服の
子が手当をしています。黙って治療をする制服の
子の横顔を見て、浴衣の子は顔が熱くなっている
みたいです。口をへの字に曲げているのは、精一杯
の照れ隠し?
 巻末に乗っている松本さんのコメントによると、
制服の子は塾帰りで、浴衣の子は一緒に来ていた
友達とはぐれてしまった、という状況らしいです。
もしかしたら、この2人はここで初めて出会った、
とか、またはクラスメイトだけど普段はあまり
話さない、みたいな関係だったりするでしょうか。
そこから物語が展開していく、というのもあるかも
ですね。

 カラーのピンナップは高嶋ひろみさんが担当
されています。描かれているのは、本誌で連載中の
「~と加瀬さん。」シリーズから、山田とと加瀬です。
今号のエピソードの中にもちょっと出てくる状況
ですが、2人でヘッドフォンを分け合って音楽を
聞いています。2人で片耳ずつあてがって聞いて
いるのですが、あの着け方だと自然と頬を寄せ合う
構図に、、、。狙ってやっている?

 では収録作品を部分的にご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・さようならむつきちゃん(磯谷友紀)
 一緒に暮らしていたむつきが結婚するという日の
未明、かこはむつきから、一緒にお風呂に入ろうと
誘われる。今まで2人で入浴する事はよくあった
が、それも今日までになるだろう。
 ラムネに猫耳にお風呂、この組み合わせが少し
ファンタジックな雰囲気を醸し出していますね。
そのままずっと夢の中のような生活を続けていけたら、
と、かこは願っていたかもですが、現実にはそうは
いかないようです。でも最後の彼女の言葉は、2人の
気持ちのつながりを表しているようにも感じられます。

・さろめりっく(袴田めら)
 夢の中のひかりは、さろめの繰り出す魔法に
夢中になっている。呪文とともに次々と現れる
チョコを無心にほおばっていた。そんな彼女を見る
さろめの表情は、満足げだった。
 夢ならだいたいの事は思い通りになるのでしょう。
そこに映し出されるのは、さろめが胸の底で願って
いる事柄のはず。今の彼女の望みは、ひかりを虜に
する事なのかも。この冒頭の部分は百合な雰囲気の
ある場面ですけれど、できれば夢ではなく実際に
2人の間で百合なやりとりをしてもらいたいですね。

・先生は思春期(大沢あまね)
 茜女学院の新任教諭、吉田真保は音楽を教えて
いるが、生徒達は今ひとつ授業に集中してくれない。
自分のふがいなさに音楽室で涙していると、そこに
1人の女生徒、浅野那央子がひょっこり顔を出す。
 真保にとって学院の生徒達は、教育指導する相手。
自分が先頭に立って育てていかなければならない
、、、のに、うまくいかないため彼女は悩んでいます。
けれどそれさえもどうでも良くなってしまうぐらいの
変化が彼女に起きているみたいです。この愛情は、
彼女にとって特別なものなのでしょうね。

・ふたりの卒業式(平尾アウリ)
 優しくてかわいくて頭もいい、皆から好かれている
りさとの事を、華は大好きだった。大きくなったら
結婚しようと約束した2人は、中学、高校と同じ
学校へ進学し、いつも一緒にいた。
 りさとは皆に優しくて、賢くて、かわいらしくて。
それは高校生になった今も全く変わりません。華も、
りさとへの愛情は変わっていない、、、のに、どこかが
違っているようです。2人の愛を同じものにするには、
もっとお互いを知り合う必要がありそう。でも彼女達
ならできるような気もします。
 高校生の華とりさとが一緒にいる姿全体を描いた
カットが途中にありました。2人の遠近感がどこか妙な
感じがしたのですけど、それにはちゃんと理由があるの
ですね。そういうビジュアルな部分が少し幻想的な
感じを出しているのではないでしょうか。

・ラブソングと加瀬さん。(高嶋ひろみ)
 学校帰り、山田はポータブルプレーヤーでお気に入りの
曲、TOMOの「夕焼けとキミ」を聞いていた。そこへ
現れた加瀬は、まるで山田が歌っているような曲だと
言って気に入り、自分の着うたにする。
 山田は加瀬と一緒に帰るぐらいの仲良しにはなって
いるみたいですが、自分達の関係について、まだ自信が
持てていないようです。友達としては十分だとは思うの
ですが、今はそれ以上のものも意識してしまっている?
そこへさらに加瀬の思わせぶりな態度も加わって、
山田はどきどきしっぱなしって感じですね。

・お姉様のきもち(王嶋環)
 中高一貫のお嬢様学校、私立聖蘭女学院で、生徒会に
当たる「カトレア会」の会長を務める吹上杏奈(ふきがみ
あんな)。「お姉様」の世界に憧れるものの、そんなものは
ないと副会長の新見皐(にいみさつき)には否定される。
 中高一貫の私立の女子校だったら現実にはあります
が、そこで麗しいお姉様や妹の世界が繰り広げられて
いるかというと、そうではないのでしょう。生徒会長
という立場なら、学校の雰囲気を変えるように働きかける
事もできそうですが、杏奈はそこまでしていないっぽい
です。彼女が気にかけているのは、実は1人だけなのかも。
 杏奈の憧れる世界と、学院の普通な感じとのギャップ
が面白いですね。皐も、本人としては杏奈にツッコミを
入れる側だと思っているようですが、さらに外から
見れば、2人はお似合いの先輩後輩に見えるのでは。
カトレア会を「カト会」と略したりする辺りは、生徒達に
親しまれている証拠なのかもです。その生徒会にも、
瑠々と璃々(ともう1人)のように個性的なメンバーが
いるみたいで、彼女達とのエピソードも見てみたい
気がします。

・「ひらり、」レビューリストレビューセンター

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