姫神の巫女 其の四
思いもよらない出来事があったため、千華音は
少しの間、媛子との「おつきあい」から離れる事に。
そうなってから改めて千華音は、自分の気持ちに
気づかされたようです。そしてそこから目をそらす
事をやめたみたいです。これで彼女の迷いが消えるのか、
もしそうならその先には何が待っているのか、大きな
展開が始まりそうです。
「神無月の巫女」のスタッフによって構築された
物語「姫神の巫女~千ノ華万華鏡~」のサイトが
更新されています。「其の四」のページが公開されて
います。
この部分のストーリーは、、、激しい雨に打たれ
ながら、寝間着姿で夜の町をさまよう千華音。媛子の
部屋で自分のしでかした事にいたたまれなくなり、
飛び出してきたのだ。行き交う人々は彼女を心配し
手を差し伸べようとするが、千華音はことごとく
それを拒む。ついには隠行の技を使って気配を消し
去った。当てもなく歩く彼女が行き着いたのは、
小さな公園だった。
冒頭の場面で、呆然として雨の中を歩く千華音の
姿は、いつもの彼女からは想像もできないですね。
それぐらいの事が、媛子の部屋であったのでしょう。
前の「其の参」の最後の場面がよくわからなかったの
ですけれど、これって、千華音が媛子にキスした
(またはしそうになった)、って事でしょうか?
御神娘の定めを終わらせようと刀を突きつけていた
はずなのに、いつの間にかそんな事をしてしまった
自分に、千華音は驚いたのかもですね。
そしてそれ以上に、媛子の反応が、彼女をあそこまで
落ち込ませていたのでしょう。それまでの千華音は、
媛子と自分がいつかは命を奪い合う役目を背負って
いる、と自分に言い聞かせてきていました。その
考えを頭の中で繰り返す事で、自分を保ち続けて
いた、とも思われます。
そうまでしなければ御神娘に徹する事ができない、
というのは、つまり既に媛子にとても惹かれていた、
と言えるのでしょう。そんな自分の気持ちに背中を
向け続けようとしていたのが、あの時までの彼女の
姿だったと思えます。
そんな状態にあった千華音は、弾みだったのか
何だったのか、とにかく媛子に触れてしまいました。
その感覚は、千華音にいろいろ想像させたのでは
ないでしょうか。
もし媛子と自分が御神娘などではなかったら、
これだけ近くにいても緊張なんてしないで安らぎを
感じられたのではないか、とか。もし自分達がもっと
親しい関係だったら、媛子とのふれあいに、今とは
違う感じ方をしていたのではないか、とか。
そういう考え自体も、千華音を浮き足立たせた
かもしれません。でもここではそんな思いなど
簡単に吹き飛ばしてしまうような強い衝撃が、
彼女を襲っていたようです。
自分が媛子に必要以上に近づくなんて思いも
よらなかったぐらいですから、千華音の行動に媛子が
どう反応するか、千華音は考えもしなかった事
でしょう。ですがここで千華音は、媛子の反応を
見てしまいます。それが彼女の大きな悩みに
なったようですね。
親しい人、または親しくしたい人に拒まれたら、
悲しい気持ちにもなってしまうでしょう。特に
千華音の場合は、今までの15年の人生の中で
必要以上に人と交わる事はしてこなかったみたい
ですから、人に興味を持つのもほとんど初めてなら、
興味を持った人に顔を背けられるのも初めてなの
かもしれません。
そういう経験をした後、1人で考えてみて、
千華音は大切な事に気がついたようです。本当の
自分が何を求めているのか、誰を一番大事に
思っているのか、、、。
素直に認める事で、何かすっきりしたような
気持ちにさえなっているようです。今までの
固まっていた思いが解きほぐされていくような。
この辺りの千華音の気持ちを表している言葉が、
なかなか良いですね。「少女として少女を愛する」
なんて百合的には素敵な表現なのではないでしょうか。
この言葉で重要なのは、千華音が自分自身を
「少女」だと認めている所なのでは。これまでの
彼女だったら御神娘だの自分の役目だのを振り上げて、
自分は他の十代の女の子達とは違う、と言って
いた事でしょう。それをこんなにあっさり認める
ようになったという事は、女の子の千華音として媛子
に向き合いたいという思いがとても大きくなった
と言えるのでしょう。
それならこれから改めて媛子と「おつきあい」を、
いえ、これまでよりもっと深い関係を結ぶように
努力すれば良いのでしょう。媛子に気に入ってもらう
だけではなく、島の掟に逆らわなければならない
重い責任を負う事になりますけれど、この時の千華音
なら何があっても立ち向かおうという気持ちは固まって
いるのではないでしょうか。
けれど、という所が大きな展開になっていますね。
考えてみれば千華音にも媛子にも、1日中監視役が
ついているわけですから、2人がどういう考えで
行動しているか、少しぐらいはわかるのでしょう。
そして皇月家と日之宮家は、相手の家の御神娘を
最終的に倒そうとしていますので、その弱点を
探し回ってそこを突こうと考えているはずです。
(千華音本人の気持ちまでは常に正確につかむ事は
難しいでしょうから(特に媛子との関係で揺れ動いて
いる時は行動があやふやになるでしょうし)、日之宮家
の方はかなり臨機応変に千華音に対応していた、
とも考えられます。)
千華音が媛子に抱いた気持ちも、当然(数少ない)
弱点の一つとしてリストアップされていた事でしょう。
千華音が自覚して覚悟する前に、日之宮家はその
感情から相手を崩す計画を立てていたかもしれません。
つまり、日之宮家が利用しようと思うぐらいには、
千華音の恋愛感情は相手に認められていた、という
事かな、と感じられます。別の言い方をすれば
日之宮家にとってはそれだけのものでしかなかった
とも考えられますけれど。
でも千華音の中では、この感情は、自分の人生や
命をかけてもいいぐらいに思っている大切な気持ち
なのですよね。千華音がこれからどうやってその
思いの行方を確かめていくのか、気になる所です。
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