淡島百景 第２話

　素晴らしい才能を持った人がいて、その人と自分は
大の仲良しで。相手の輝く姿をすぐそばで見られるのは、
良子には嬉しい事のはずですが、同時に切なくもあり
、、、。こんな気持ちになってしまうのは、女の子同士
だから、なのでしょう。物語の舞台は藤が谷、という
事で「青い花」とのつながりが感じられます。

　ネット上でコミックなどを配信するサイト
「ぽこぽこ」に連載中の、志村貴子さん作
「淡島百景（あわじまひゃっけい）」、第２話
「竹原絹枝と上田良子」です。
　藤が谷女学院の初等部に通う上田良子は、５年生
から始まるクラブ活動で演劇をする事にした。友達の
竹原絹枝も同じだ。やがて演劇祭で初等部が上演する
作品が「ロミオとジュリエット」に決まり、良子は
ジュリエット役に、絹枝はロミオ役に選ばれる。
６年生を差し置いての抜擢に２人は興奮を隠せない。
良子は、絹枝なら上手にロミオ役をこなすだろうと
考え、ちょっとふざけて相手を「竹原王子」と呼んだ。

　２人で一緒にお芝居を始めて、舞台で演じる面白さ
を知り、先生方にも実力を認めてもらえて。良子と
絹枝にとって最初は楽しい日々だったようです。
けれど良子の中で思いは少しずつ変わっていった
みたいです。
　同じだと思っていた絹枝と自分との間に、何か差を
感じるようになったらしいですね。作中では２人の
演技が描かれているわけではないため実際にそれほど
実力差があるのかどうかはよくわかりません。でも
少なくとも良子には、絹枝の振る舞いは、思わず
目を奪われてしまうほど素晴らしいものだったの
でしょう。
　また彼女が絹枝の一番近くにいる事も影響しているの
でしょうね。一番の親友なら、相手が実力を伸ばすの
を素直に喜べるでしょうし、または反対に伸び悩む
自分をふがいなく思ったりもするかもしれません。
良子の場合は、どんどん輝きを増していく絹枝に
なかなか近づけなくて、惨めな気持ちになって
しまったようです。

　こういう気持ちは、良子も絹枝も同じ女の子だから
生まれるのかもです。同じ女だから、それ以外の
違いが際立つし、例えば「王子」と「姫」のように結婚
できるわけでもない、、、。良子は、絹枝と一つに
なれない自分を思い知ってしまったのかもです。

　その後、時間が過ぎ、大人に近づくにつれて良子も
落ち着いて２人の関係を考えられるようになって
いくのでしょう。そうすれば、彼女達はまた友人
関係を築いていく道を選べるようになるのでは
ないでしょうか。

　といった感じで、百合的には想像の余地はありそう
です。けれど、今のこの関係を百合と言うとしたら、
世の女の子達の友達関係はおおむね百合という事になって
しまいそうかも、、、。まあそれはそれ、なのでしょう。

　作品では、１ページ目から藤が谷女学院の校舎が
描かれています。この話数では、「青い花」の藤が谷
女学院がずっと舞台になっていますね。淡島歌劇学校は
名前だけが登場します。
　上田良子も初登場はあちらの作品です。また、
２人が久しぶりに会話するのは、良子が演劇祭で
「鹿鳴館」に参加していた時とされています。なので
「青い花」の本編ともかなり重なる部分がありますね。

　それと直接は関係ないですけれど、誰かがふざけて
呼んだあだ名が学校中に広まる、というエピソードで
言うと、あちらの作品にも「図書室の君」というのが
あります。こういう所も近い雰囲気が出ているようです。
というか藤が谷の生徒は、そういうリリカルな呼び名に
敏感に反応する女の子達なのかもですね。

　作品の紹介ページでは、「『青い花』のあのキャラも
登場するかも？」みたいに書かれています。第２話で
これだけがっつり藤が谷やその生徒が登場するなら、
これからも頻繁に関係してきそうにも思うのです
けれど、どうなるでしょうか。次からはさりげなく
全く別のエピソードになったりする？

　次と言えば、次回はいつぐらいに配信されるの
でしょうね。一応「偶数月上旬配信」という設定は
変わっていませんが、第１話が６月、第２話が１０月
となっていますので、もしかしたら変更される可能性も
あるかもしれません。できれば２ヶ月よりも早く
次を見てみたいかも。

　前回第１話のサブタイトルは、「田畑若菜と竹原王子」
でした。なぜ絹枝が「王子」なのかについては前回は
一言も触れられていませんでした（というか作中で
絹枝を「王子」と呼ぶ人はいなかったような？）。
そこがこの第２話では説明されていましたので、次は
若菜のエピソードが見られたりするでしょうか。
いずれにしても百合なテイストが見られたら素敵かも
です。