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2011年9月 1日 (木)

くちびる ためいき さくらいろ 第6話「くちびるにチェリー」

 ちはると絵里はとても仲良しの、親友。2人の仲は、
自分達も周りの女の子達も認めています。そしてその
関係が成り立っているのは、ちはるが真実を隠している
かららしいです。でも本当にそれだけなのかどうかは、
本人達もまだよくわからないのかも。2人が一緒にいる
場面のちはるのせりふや、相手を思って胸を痛める彼女の
姿は、正に恋の物語という感じですね。

 コミック「くちびる ためいき さくらいろ」(森永みるくさん作)
第6話「くちびるにチェリー」です。
(なお、この話数は初出雑誌への掲載順になっています。)
 ちはるは絵里の手元をのぞき込んだ。彼女が持って
きたのは、新作の手作りお菓子。フルーツがたっぷりで、
特にチェリーがおいしそうだ。集まってくるクラスメイト
達を差し置いて、ちはるは一番に絵里のお菓子をほおばる。
2人は誰もが認める親友。だが、ちはるは絵里に恋心を
抱いている。彼女は、自分のこの気持ちが絵里を傷つける
事がないよう、ひた隠しにしている。相手に触れるのは
1日3回まで、決して近づきすぎないよう細心の注意を払い、
今の親友という位置を保っていた。

 この話数より、掲載誌が百合姉妹からコミック百合姫
へと移っています。出版社も別になっていますけれど、
内容は引き継がれている雰囲気です。

 今度の物語の舞台は桜女ですね。このエピソードも、
前回の「ホントのキモチ。」と同じように、他の話数の
ヒロイン達とのつながりはないようです。けれどそれが
かえって、2人だけの世界を作り出しているようで、良い
かもです。

 ちはるは中学時代、学校の演奏会で初めて絵里に出会い
ました(桜女こと桜海女子は中高一貫の学校です。ちなみに
中学と高校ではセーラー服のリボンの形が違っています)。
絵里の奏でるフルートの美しい音色がちはるを魅了した、
だけではなく、絵里という女の子の存在そのものが彼女を
ときめかせたのでしょうね。
 高等部に上がって同じクラスになれたちはるは、積極的に
絵里に話しかけ、すぐに友達になります。話してみて絵里
の性格を知っていくたびに、ますますちはるは惹かれて
いったのでは、と思われます。

 絵里の身の上に悲しい出来事が起きたのは、たぶん
ちょうどその頃なのでしょうね。もっと絵里に近づき
たい、と、ちはるが思っていたタイミングだったのでは
ないでしょうか。
 その結果、確かにちはるの望むように、絵里は彼女の
近くにいてくれるようになりました。けれど絵里が失った
ものは大きくて、彼女がちはるに見せる表情は暗いもの
だったのでしょう。

 この事が、ちはるに強い罪悪感を与えたのみたいです。
絵里が悲しんでいるのは決してちはるのせいではないの
ですが、ちはるは、自分だけいい目を見てはいけないと
考えたのでしょうね。
 その事がよけいに、女の子同士の恋愛に対して否定的な
感情をちはるに抱かせるようになったのかもしれません。
普通に考えたら女の子が女の子に恋心を持つなんて
あり得ない、絵里だってそう思っているはず。その上
自分がその対象になっていると知ったらどう感じるか
、、、。
 それでも、ちはるは自分の中の気持ちを消し去る
事ができなかったのでしょう。なくならない自分の
欲望と、相手を大切にしたい思いとの折り合いをつける
ために、彼女は自分だけのルールを作ったのでは。

 そのルールは何となくうまくいっているようでした。
このままなら、絵里の近くに寄り添うという、自分の
最低限の望みは叶えられそうだと、ちはるは考えていた
ようです。
 という所でもう一つ変化が起きるのですね。この前後
からの流れもなかなか良いかもです。

 ちはると絵里が2人きりでベンチに座っている場面で、
ちはるがふと思った事とか。今のこの瞬間さえあれば
他に何もいらない、というちはるの、刹那的ともいえる
感情が凝縮されている気がします。
 後は、絵里への思いが募りすぎてちはるの胸が苦しく
なってしまう場面とか。恋をしている女の子だからこそ
という感じがします。しかも相手は同じ女の子ですから、
切なさはより強くなっていくのでしょう。

 ちはるの恋心がどうなっていくのか、という部分が
気になりますね。クラスメイト達は、いつも一緒にいる
ちはると絵里が、実はデキてたとしても不思議ではない
と言っています。でもそれは冗談交じりの言葉であって、
それほど本気ではなさそうです。
 はしゃいでいるような所のあるクラスメイト達に、
絵里は客観的な意見を言っています。彼女はとても
冷静に判断していたと感じられますが、それは自分の
立場を切り離して考えていたからなのですよね。
ですから、ちはるの思いを聞いたらどう反応するかは
わかりません。

 でもたった一つ確かなのは、絵里はちはるととても
大切にしている、という事です。落ち込んでいる時に
一番に元気をくれたちはるにとても感謝していますし、
反対にちはるがふさぎ込んでいるなら何とかして助けて
あげたいとも思っています。

 百合的には断然ちはるを応援したくなってしまう
わけですが、ここは彼女達本人に任せるしかないの
でしょう。できれば、彼女達が愛し合っていける
ような展開になると良いですね。というかそういう
続編を見てみたいです。

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