くちびる ためいき さくらいろ 第７話「くすりゆびにキスしたら」

　瞳は美人でプロポーション抜群。小さい頃から
彼女を知っている奈々なら、瞳が最近どんどん美しく
なっていくのを、誰よりも強く感じているでしょう。
ですが同時に思うのは、相手と自分とが不似合い
なのでは、という事。女の子同士の秘密の恋でも、
やっぱり相手の隣に自信を持って立っていられる
女の子に、奈々はなりたいのでしょうね。

　コミック「くちびる ためいき さくらいろ」（森永みるくさん作）
第７話「くすりゆびにキスしたら」です。
　中間テストの最中なのに、奈々は毎晩のように
瞳の夢を見てしまい、勉強に集中できない。その
夢というのも、彼女とキス以上の関係になる、という
ものだ。テスト期間中は瞳との電話やメールも
控えていたため余計に相手を思ってしまうのかも
しれない。ようやく期間が終わり奈々はまた瞳に
会えるようになったが、瞳の美しさに改めて
感じ入ってしまうのだった。

　クラスどころか学校が別だから、勉強を教え
合ったりとか、テスト明けの開放感を味わったり
とか、一緒にできない事は多いでしょう。でも
そんなのは彼女達にとってものの数ではないの
でしょう。電話もメールも（さすがにテストの
最中は控えますが）めいっぱいやりとりしますし、
放課後のちょっとした時間でも会っています。
それに２人は幼なじみで家も近所でしょうから、
両方の親もわかっていて、いつでも行き来
できるんですよね。

　でも、女の子同士の恋だから人には言えない、
という切なさはあるようです。「恋人」なら、一緒に
街を歩く時に手をつなぐなんてよくある振る舞い。
というか奈々自身がそうしたいと思っている事
ですね。そんな、当たり前とも言える気持ちを
素直に表に出せない所が、奈々の消極さを強めて
しまっているようです。

　さらにもう一つ、彼女をさらに悩ませているの
が、瞳と自分との落差のようです。奈々の目から
見たら、美人で背が高くて頭も良くて、非の打ち所
のない瞳が、いつも自分の隣にいてくれるのは、
第１話でも言われていましたけれど、奈々には
誇らしい事のようです。でも、そんな瞳と自分がいざ
恋人同士になったら、果たして彼女と自分は恋人
としておかしくない組み合わせだろうかと心配に
なっています。この辺りは、恋愛に対してうぶな奈々
だからこその反応なのでしょうか。

　、、、いえ、瞳だって、恋愛はほとんど初めてで、
しかも相手は幼なじみの女の子です。２人には実は
共通点は多いのでは、と思えます。
　それなら瞳は自分達の恋にどういう思いを抱いて
いるの、という部分が後半で描かれていきます。
奈々の前で事情を説明する瞳の服装や表情などが、
彼女の本心を、言葉よりもうまく表していますね。
　まあでも考えてみれば、第１話で描かれていた
中学生の頃から瞳が言っていた事、していた事を
思い出せば、奈々も瞳の気持ちにはすぐにたどり
着けたのかも、という気もします。この話数でそれが
できなかったのは、今目の前にいる瞳の美しさに
圧倒されていたから、なのかもですね。

　ところでこの話数では、ストーリーとは別の部分で
ちょっと気になった事があります。それは、絵としての
瞳の描かれ方だったりします。プロポーションの良い
彼女ではありますが、ややきりっと描かれすぎている
感じがしたり、、、。奈々とは身長差があるため仕方が
ないのかもですけれど、首が長く、あごや肩も張って
いて、どことなく男子のような雰囲気が。
　まあたぶんこれは私が個人的に感じているだけなの
でしょう。でもできたら奈々と瞳には、これこそ
女の子同士の恋愛、と見えるような姿といちゃつき方(?)
が描かれていったら良いなという気がします。

　まあこのエピソードでは彼女達の間にはいろいろ
ありましたけれど、考えてみると、自分の恋人がとても
美しく見えてしまって不安になる、というのは、実は
他の人から見たら単なるのろけ、なのかもですね。
周りにはなかなか打ち明けられない関係ですけれど、
彼女達には順調に愛情を育てていってもらいたいもの
ですね。

　といった感じで、第１話以来で主人公になった
奈々と瞳ですが、この後の（今発表されている範囲
での）話数では、続けてヒロインとして描かれていく
ようです。他のカップルや新しい女の子達の物語も
見てみたい所ではありますけれど、奈々と瞳が恋心を
育てていくストーリーにも注目、ですね。

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