つぼみ Vol.12
表紙と連動している作品「ウミニソラ」は、2人の
交流が印象的ですね。本誌では巻頭カラー作品ってない
気がしますので、掲載作品の登場人物をカラーの表紙で
見られるのは貴重なのでは。また「ひみつのレシピ」
では料理部の合宿前でちひろが盛り上がって(?)います。
でもゆうこも何だか嬉しそうですよね。
発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.12を見てみました。
表紙は小梅けいとさんが担当されています。以前は
Vol.5でカラーの口絵を描かれていました。今度は表紙と、
コミック作品も制作されています。
表紙では、ベッドの上に座った金髪の女の子、ソラが
投げ出す足の前に、栗色の髪の女の子、海が座り込んで
何かをしています。ソラの膝の部分はふたが外された
ようになっていて、中には機械の部品のようなものが
見えます。彼女はアンドロイドなのですね。海は、
ソラの部品をいじって調整しているみたいです。本編
でも描かれていますけれど、2人は信頼感で結ばれて
いるのですよね。集中して作業をしている海の横顔を
見るソラの表情は、とても穏やかで愛情にあふれている
感じです。
カラーの口絵は、カズアキさんが担当されています。
カズアキさんというと、リニューアル後のコミック百合姫
で表紙を連続して描かれていますね。
こちらのイラストでは、黒髪のメイドが金髪のお嬢様の
世話をしている、みたいな構図でしょうか。ベッドの上に
カードのようなものが散らばっている所を見ると、遊んで
いて支度ができていないのでしょう。メイドはお嬢様の赤い
パンストを無理矢理脱がせていますが、お嬢様の方は
いたずらっぽく笑っています。2人の間に何かハート
マークのような赤い軌跡と光が見えますけれど、これは
2人が相手に対して抱いている感情の表れだったり
するでしょうか?
では収録作品を部分的にご紹介、、、。
(・作品名(作者名(敬称略)))
・ウミニソラ~The Ocean Meets The Sky~(小梅けいと)
高野海は、学校の校庭に開いていた穴に落ちてしまった。
顔を上げると、ケーブルのようなものに絡まって眠っている
美しい少女が目の前にいた。助けようと手を伸ばすと、相手
は目を開け、「あなたは私を創った人?」と尋ねてきた。
中学では文系少女だった海は、今は猛然と科学を
勉強しています。理系に目覚めた、のかもですが、一番
なのはやはり、ソラと一緒に何かをするのが楽しいから、
なのでしょうね。15年前にソラが起動しなくなった
いきさつを聞いた後は特に、ソラへの思いが強くなったの
かなという気がします。
この作品は、上にも書きましたように表紙のイラストの
2人が主人公になっています。表紙のイメージそのものの、
愛情にあふれた作品になっている感じですね。
・星川銀座四丁目(玄鉄絢)
家を飛び出した乙女は、結局塾の講師のかなえの家へ
転がり込んだ。乙女を煙たがっているらしいかなえは、
着る服もないのにどうするのかと問いかける。が、乙女
には当てがあるようだった。
引き取った元教え子が家出、って実はけっこう深刻な
問題のような気がするのですけれど、湊も、そして乙女も
大丈夫なのでしょうか。下手をしたら引き離されるかも
ですし。かなえと櫻の方もまだちょっと素直になれてない
雰囲気ですね。そして観月は、何だか便利に使われてます
が、、、彼女の思いもあるのでしょう。
・ひみつのレシピ 10ページめ(森永みるく)
堀川ゆうこが料理部の部長になってから数ヶ月、若槻
ちひろに振り回される事も多かったが、部員も増えて部活は
うまくいっている。そんな1学期が終わり、夏休みに入って、
ゆうこは自分が受験生であるのを改めて思い出した。
高3で受験生のゆうこと、まだ1年生のちひろでは、
勉強に対しては考え方が違うのでしょうね。それでも
ちひろの電話につきあっているゆうこは、彼女と話すのが
楽しくなってきているのでは。その感情が何を示すのかに
気づくには、まだ少し時間がかかりそう? ちひろもまだ
相手を思いやるまではいっていないようですよね。
それにしても、「ピリ、、、」って、、、。ちひろ的にはそれが
当たり前だと思っているみたいですけれど、この分だと
もし本当にそういう事になったら珍妙な事態になるような
気もします。というかそれ以前にそこまではたどり着けない?
この作品は、次号Vol.13では表紙にもなるらしいです。
コミックスの第1巻も発売されますし、ますます2人の
ストーリーは盛り上がりそうですね。
・prism #3(東山翔)
宿泊研修の真っ最中、朝に恵が目を覚ますと、すぐそばに
光が座っていた。驚きながらも朝の挨拶をしようとした
所、恵みは彼女にキスされてしまう。その後も光は、周りの
目を気にせず恵にじゃれついてくるようになった。
光もそうですけれど、恵もずっと相手に恋愛感情を
持ち続けてきたのですよね。それが晴れて両思いになれた
なら、それはもういちゃいちゃしたいに決まっている
でしょう。でも女の子同士だと周りの反応が気になって
しまって、、、。前回怪しい動きを見せていたありすは
どうやら味方らしいですし、何とかなりそうでしょうか。
それにしても先生が、、、というのは驚きですね。この流れ
では、先生がそういう人だから相談に乗ってもらえたの
だとするとちょっと都合が良いような気もしてしまいます
けれど、まあともかく不安になりがちだった恵は、大人の
意見を聞けてとても落ち着けたのではないでしょうか。
作中でエリカがあんな態度をとったのは、女同士で
つきあうのがどうこうというのではなく、恵が自分に
何も話してくれないのを悲しく思っているからなの
でしょう。真実を知った時彼女がどうするのかはまだ
わかりませんが、彼女の恵への友情を信じたいですね。
それから、途中で光が恵に謝っている場面があります。
やや脈略がないようで、確かにあれだと恵が怒るのも
無理はない気もします。光はたぶん、これまでずっと
ああいう風にして暮らしてきたのではないでしょうか。
友達とは仲良くしたい、けれど男からは一方的に好かれ、
さらにその男に目をつけていた女子からはひどい目に
遭わされる。本当は女性を愛しているのにそれだけは
決して口に出せない彼女は、自分の周りで騒ぎが
起きるのをとても怖がるようになっていったのかも、
という気がします。もしそうだとしたら、恵はそれに
気づいているでしょうか。2人は再会してからまだ
ちょっとしかたっていませんから、会えなかった
間にどんな事があったのか、じっくりと話し合える
時間が持てるようになると良いですね。
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